2015年11月01日公開
オニカサゴの好ポイントが無数に点在する千葉県・南房総、布良沖。10月20日には乗船者1人ながら、大半が1kgオーバーの良型を8匹という釣果が出た。このチャンスを見逃すまいと翌21日、相浜港『安田丸』を訪れた。
いざ高級魚を狙いに
『安田丸』は、館山自動車道の終点で降りれば30分程だ。ICを出るとコンビニがあるので、買い物があれば済ませておくと良い。港に着く前に通る『民宿 安田丸』前に、通りに面して釣り座表があるので希望の札を取り、「釣り船駐車場」の看板に従い、集合時間の5時前に到着した。船のすぐ近くに駐車スペースがあり、飲み物の自販機もある。車中で待機していると、隣に停めた車から偶然、釣りビジョンAPCであり、知人の野口壮一さんが現れた。「今日は、“おかず”を釣り来た」との事。頼もしい助っ人に思わずほおが緩んだ。
仕掛けの工夫、餌の工夫
秋も深まり日の出も遅くなって来た。船の灯りが点るのを合図にタックルの準備にかかる。船宿仕掛けは片テンビンに2本バリだが、常連さんは自ら改造した2本腕のテンビンを用意、それぞれハリスの長さを変え、片方は2本バリをセットしていた。配られる餌は大き目のシイラの切り身。それとは別に野口さんはホタテのヒモなどの“特餌”を用意していた。
航程30分程の布良沖が釣り場
釣り場の布良沖までは航程30分余り。釣り場到着の頃には、天気予報では9時頃から吹き出すと言っていた北東風が早くも吹き出し、それに伴うウネリも出て来ていた。根を“直撃”するオニカサゴ釣り、野口さんはテンビンに捨て糸を介しオモリに繋いだ仕掛けで、ハリには“特餌”とシイラのダブル掛けで狙った。最初のポイントは水深120m。ここで早くも野口さんが、船中第1号のオニカサゴを釣り上げた。
日の出と共に大型が顔を出す
その後、水深90~120mの根周りを中心に狙ったが、前日に比べてアタリが遠いようだ。船長は、「昨日と違って全く潮が動いていない…」と困り顔ながら、右舷ミヨシ(船首)から風波が当たるよう角度をつけて船を操り、少しずつ左舷側に流し、潮の動きが無い中、船を絶妙にコントロールしてポイントをトレースして行く。やがて水平線に朝日が顔を出すと、それが合図であったかのように大型のオニカサゴが顔を出した。トモ(船尾)の常連さんも中型をコンスタントに掛け出した。
オニカサゴにはどのような誘いが有効か!?
段々と風が強まる中、私も竿を出した。底にコンタクトするオモリの感触では、そう大きな起伏は無く、凹凸のある岩盤のようだ。上から落ちて来る物に興味を示すと言われている“底物”。オモリが着底したら竿一杯に聞き上げることにより、全長1.8mの船宿仕掛けを底から浮かし、餌があたかも自然落下する位の速度で底へと落ちるように演出する。これがオニカサゴ釣りで最大の誘いとなる。誘い下げながら餌に続いてオモリが着底、この日はアタリが遠かった為、そのまま十分に食い込ます時間を与え、次にゆっくりと聞き上げた。この聞き上げで小さく「コッ」とか、「コツコツコツ」というアタリを感じたら、再度オモリを下げてハリスに弛みも持たせ更に食い込ませ、ハリがオニカサゴの口の中に入った頃合いを見計らって電動リールのスイッチを入れ、一気に巻き上げ合わせに入る。竿の胴中より手前の硬い部分を使ってハリを貫通させると竿の曲がりはマックスに、ウキブクロが無く、海面まで暴れて上がってくる大型には、思わず腰を落としてやりとりしてしまうほどだ。
嬉しい“ゲスト”も登場!
その後、更に風が強くなり、ウネリもより大きくなって底立ちが取り辛い状況になって来た。そんな中、トモの常連さんの竿が大きく曲がった。慌てて近づくと「カンコかなぁ、それともサメかもしれない」と、竿をためながら必死に巻き上げている。上がって来たのは60cm近いカンコ(ウッカリカサゴ)、これには船内が活気づいた。
“特餌”で“本命”ゲット!
底を取り直すことが誘いになるオニカサゴ釣りだが、当日はアタリのインターバルが長く、そんな中、どうしたらアタリを出すことが出来るか工夫を試みた。まず、シイラ餌は皮が固く餌持ちが良いのが特徴だが、中には身の部分が厚いものもあり、キッチンバサミを使って身を削ぐようにカット、自然落下中のヒラヒラ感を演出しアピールアップを狙ってみた。また、ホタテのヒモはよりたなびくのではないかと野口さんに頂き使ってみた。ポイント移動後、仕掛けを投入、底立ちを取って聞き上げ、アタリが無ければ竿一杯にシャクリ上げてフリーフォール、オモリが着いたらゆっくり聞き上げる間にアタリが来た。一呼吸送って合わせを入れたら重量感溢れる手応え!渋い時合いに“特餌”に食って来た。
悪条件での十分な釣果!
次第に風が強くなる中、残念ながらアタリも遠のき納竿となった。それでも大型も交じり、4人で3匹ずつのオニカサゴを釣り上げ、大きな“ゲスト”のカンコも上がった。風が強く、ウネリ風波が高く、尚且つ潮が動かなかったことを考えればまずまずの釣果と言えよう。この布良沖、大きなポテンシャルを秘めた釣り場なのは間違いない。
※オニカサゴは、広く知られているようにヒレに毒を持った魚。釣り上げたらフィッシュキーパーなどを下アゴに差し入れ、背ビレ、胸ビレ、尻ビレ、エラブタにあるトゲ類をキッチンバサミなどで切り落としておくと安全だ。