2015年12月15日公開
暖冬とは言え既に12月半ば、暖海性の魚であるシロギスは、深場に移動し“落ちギス”の時期。通常なら活性が下がり、テクニックを要するベテラン好みの釣りになる。ところが、ここ数年は冬季でも食いは驚くほど活発で、以前の常識では考えられない好釣果が続いている。7日に横浜・本牧港『長崎屋』に出掛けた。
北風の中、釣り場の中ノ瀬へ
朝6時の開店を待って待合所で受け付け。氷と駐車証を受け取って、車で5分ほどの本牧港へ移動した。ここの漁港で遊漁船はこの「長崎屋」のみ。活きエビ餌のスズキやメバル、マゴチなど伝統的な釣りで知られる湾奥エリアでも有数の老舗船宿だが、周年出船しているシロギスも得意種目。8人の乗船者が全員集まったのを確認、定刻の8時30分より少々早めに出船した。舵を握るのは大船長の長崎恵夫さん。航程15分程でポイントの中ノ瀬に到着。快晴だが北寄りの風が7、8m吹きつけ少々釣りにくそう。水深は20~25mと夏季に比べるとさすがに深いが、この時期としては浅い。
仕掛けは胴突き式がお勧め!
船のシロギス釣りで使用する仕掛けは、片テン2本バリが一般的だが、最近は胴突き式が増えつつある。そのため、胴突き仕掛けが新しいスタイルのように思われがちだが、実際は胴突き式も長い歴史を誇るのだ。『長崎屋』でも昔から推奨していて、常連さんはほぼ例外なく胴突き仕掛けを使っている。勿論、片テン仕掛けでも問題なし。船長によれば今の時期はどちらも遜色なく釣れるという。
結構な釣れっぷり!
餌のアオイソメを付けて軽く前方にキャスト、徐々に船下まで探ってくるのが基本パターン。スタート直後こそなかなかアタリを捉えられなかった船内だが、徐々に調子が上がり、結構なペースでシロギスが釣れ出した。アタリを取って竿を立てても、ちゃんとハリ掛かりするとは限らないのがこの釣り。合わせのタイミングを少しずつ変えて、その日のパターンを見つけ出すのが面白くもあり、難しいところでもある。
数は勿論、サイズも上々
しかし、この日のシロギスは餌を見つけると迷いなく吸い込んでいるらしく、竿先にアタリを感じて竿を立てればほぼ百発百中でググッと重々しい手応えが伝わる。中ノ瀬の海底付近には一体どれくらいのシロギスが群れているのだろう。数だけではない。サイズも18~20cm級の良型が中心で、いわゆるピンギスと呼ばれる小型はほぼ皆無といっていい。
トップは3束の大台を突破!!
途中、船長は船を数回流し直したが、アタリは最後まで途切れることはなかった。午後2時に沖上がりとなり、トップは左舷大ドモ(船尾)の小林達也さん(茅ヶ崎市)の304尾。この時期の3束超え、イヤ、夏季でも滅多に釣れる数ではない。以下114尾、108尾と続き、スソでも80尾オーバーという大爆釣。いくら入れ食い状態でも、よほど手返しが早くなければ3束の大台には届かない。その点、小林さんは2本の竿を巧みに操り、見ている限りでは飲まず食わずの状態で最後まで集中力を切らさずに釣り続けていた。本来、最盛期といわれる初夏より冬季のほうが数釣れるのは、広範囲に散っていた群れが一カ所に固まることで、アタリが途絶えることなく延々続くからだ。もっとも、広大な中ノ瀬でシロギスが固まっている場所に遭遇できるか否かは、船長の経験によるところが大きい。いずれにせよ、シロギス釣果の自己記録更新を望むなら、これから年明けごろまでが絶好のチャンスとなるだろう。