2016年02月15日公開
大型交じりで結構な盛り上がりを見せている東京湾とは対照的に、中々調子が上がらず、ファンをやきもきさせていた駿河湾のタチウオ。まさに“幽霊”の本領発揮といったところだが、ここに来てようやく釣果が上向いて来た。6日、静岡県・沼津静浦港の『第八幸松丸』を訪ねた。
駿河湾では半夜釣りがメイン
東京湾と違って、駿河湾のタチウオ釣りはナイトゲームがメインとなる。日中でも寒い2月の夜釣り。“門外漢”からすれば正気の沙汰とは思えない。確かにこの時期、防寒対策を万全にしないと30分で音を上げるに違いない。それでも当日は、そんな寒さをものともしない10数人の熱きタチウオファンが船着場に集まった。午後3時30分、松坂孝憲船長の操船で出船した。
“ドラゴン級”を求めて田子の浦沖へ
ロングランで楽しめる駿河湾のタチウオ釣り、釣り場も広い。この時期は毎晩のように、千本浜沖に船団が形成される事が多いが、最近、数はそこそこ釣れるもののサイズが今ひとつ。そこで船長は“ドラゴン級”が交じる確率が高い航程40~50分の田子の浦沖まで足をのばした。日中は水深150m以深の深場に潜むタチウオだが、日没の頃になると餌を求めて浮上、浅場へと移動する。その行動パターンに合わせ、まずは魚探とソナーを駆使して流し釣りで群れを追う。水深は約90m。
様々な釣り方が楽しめる!
通常、乗合船ではオマツリなどのトラブルを防ぐため、仕掛けや釣り方を統一する。かつては餌釣りのみだった駿河湾のタチウオ釣りも、近年ではルアー(ジギング)、その後はライトタックルによる餌釣りや、松坂船長考案の餌とルアーのハイブリッドともいえるサーベルテンヤなど、様々なスタイルが開発された。本来なら各スタイルごとに出船するところだが、嬉しいことに『第八幸松丸』ではどんな釣り方でもOK。したがって、ノーマルタックルからライトタックル、あるいはルアーから餌釣りといった具合に、その日の状況や気分で釣り方を変えることも出来るのだ。
“指5本半”のドラゴン登場!
釣り始めてすぐに船中のあちらこちらでアタリが出始めたが、散発的で盛り上がりに欠ける。しかもサイズは“指2本半~3本”程度の中小型がほとんど。ところが「左舷大ドモ(船尾)でいいのが上がったよ」とのアナウンスで急行すると、1mオーバー(“指5本半”)の大物が足元でのたうち回っていた。その様はまさに“ドラゴン”。小型ばかりかと思いきや、突然こんなサイズがくるのだから油断できない。
最終的には海面下30mでアタリ!
その後、タナは徐々に浅くなった。タチウオがさらなる移動を開始したのだ。頃合いを見計らって船長は岸寄りの水深50m前後に船を移動してアンカーを入れた。このエリアのタチウオは海底の溝を通って深場から浅場へ向かうという。したがって溝の位置を把握し、その真上に船を持ってくることが出来るかどうかで釣果に大きな差が出る。アタリが乏しいのか付近を迷走する船も見える中、『第八幸松丸』は順調に釣果をのばしていった。タナも更に上がり、最終的には海面下30mでアタリが出るようになった。
午後10時に沖上がり。トップは37匹、以下35匹、31匹と続き船中トータル285匹の好釣果。ただし、調子がよかったのは餌釣りで、ルアーはトップが17匹と苦戦した。ところが、翌日は餌のトップ27匹に対しルアーは40匹と完全に逆転。その日の条件次第で状況は大きく変わる。万全を期するならば1つのスタイルにこだわらず、臨機応変な対応を心掛けたい。
今回利用した釣り船
出船データ
乗船料金:餌釣り1万円(餌、氷付き)ルアー釣り9,000円
出船:午後3時半
沖上がり:午後10時