2016年03月01日公開
バレンタインデーに“春一番”は吹いたものの春本番はまだ遠い。それでも、暖かい日があると、釣果情報が気になったり、電動リールの糸を巻き替えたくなったりと落ち着かなくなるのが釣り人気質。そんな2月19日。「良型ヤリイカが釣れている」との情報で菜の花の咲く千葉県・南房総、江見港の『長七丸』を訪ねた。
最高8点掛け!?
予約電話で聞いた通り、江見港の無料駐車場に車を停め、そこから歩いて3分程の船宿にあるホワイトボードに名前を書いて釣り座を確保する。5時30分の出船に向け、船長が5時過ぎに駐車場へ来て、氷と一緒に荷物を船着き場まで運んでくれるので、車に戻って迎えを待つ。「その間にイメージトレーニングを」と思い『長七丸』のホームページを見ると、釣果情報には「4点、5点、最高8点掛けなど有り新群れで絶好調!」と鼻血の出そうなレポートが。逸る気持ちをおさえ、船長の運転する軽トラックにクーラーや投入器など道具一式を積み込み、徒歩2分の船着き場へと向かった。
1投目からアタったが…
定刻の5時30分。「第三長七丸」は右舷4人、左舷4人を乗せ、女将さんの「行ってらっしゃい」の声に送られて離岸した。
朝焼けの海を走ること1時間弱。水深180mのポイントからスタート。1投目から景気よくアタリがあるものの、水深130mまで上げてくるとサバが掛かって、ツノに乗ったイカを振り落としてしまう。再投入しても130m前後でサバに仕掛けを止められ、イカの泳層まで届かないという状況に陥った。そこで機転を利かせ、18cmヅノの直結仕掛けでサバ避けに成功した釣り人が、底付近でスルメイカを掛けはじめた。
直結か、ブランコか、それが問題だ…
ここで難問が発生する。サバに邪魔をされながらも、ブランコ仕掛けで頑張っていた釣り人が船中1杯目のヤリイカを釣り上げたのだ。直結仕掛けの方がコンスタントにスルメイカを上げている船中で、「あなたならどうする」だろうか。海面付近と底付近の潮の流れる方向が異なる“二枚潮”の影響で、他の釣り人の仕掛けが絡む“オマツリ”が起こりやすく、サバの猛攻があるので直結仕掛けを選ぶのがセオリー。折しもウネリが入りはじめ、風も出てきた。取り込む際に波の影響で、イカがバレる場面が度重なると、釣り人は「直結かブランコか?」で迷いが生じ始める。「男子家を出ずれば7人の敵あり」と言うが、イカ釣り師にも“7人の敵”がいるようだ。「サバ」、「二枚潮」、「ウネリ」、「風」。これに加えて「仕掛け選び」と「イカヅノ選び」、そして「釣った人の釣り方」だ。
風が強まり早上がり
9時30分。南西の風が強くなり、船長は早上がりを決断した。スルメイカ3~26杯、ヤリイカは船中3杯と数字を見ると厳しいイメージだが、あの海況で実釣3時間と思えば大健闘と言ってもいいだろう。
「ノリは良かったと思う。風さえなければ…」とこの日の釣りを振り返る竿頭の林浩さん(品川区)。海が悪いのでバラさないようにいつもより速い速度でリールを巻き上げたそうだ。イカの身切れを恐れてゆっくり巻き上げた結果、サバの餌食になったり波で糸がフケてバラすことが多かったこの日、この発想の転換は功を奏した。また、重田浩行船長は、「マツリやすいからWカンナはやめた方が釣果が伸びる」とのことなのでぜひ参考にしたい。
ヤリイカ本番はまだまだ続く!!
ヤリイカはこれからどんどん大きくなり、5月いっぱいまで楽しめるとのこと。「先週(取材に)来れば良かったのに」と常連さんに笑われたが、確かに前週は竿頭60杯以上、翌週は50杯以上と、どうやら釣果の谷間での取材となったようだ。釣りは自然が相手のことだけに、良い日もあれば悪い日もある。“パラソル級”がズラズラ連なって上がる「ヤリイカの春」を夢見て、これからも釣果情報から目が離せない日々が続きそうだ。
今回利用した釣り船
出船データ
乗船料金:1万円(氷付き)
集合5:00 出船5:30(季節によって変動あり)
貸し道具あり/宿泊施設無料
この記事を書いたライター
6歳から釣りに親しみ、海・川・釣堀・湖のルアー・フライ・餌釣りに節操なくのめり込む釣り好き。2019年JGFA沖釣りサーキット・総合優勝/2010年JGFAオールジャパンゲームフィッシングコンテスト・マダイの部・優勝(10.2kg)…他