2016年04月15日公開
千葉県・房総半島の春の人気ターゲット・イサキ。その中で北限と言われる太東沖のイサキが4月1日“解禁”になった。このイサキを狙う片貝港『二三丸』では、リレー船で後半は片貝名物・良型ハナダイも狙うことが出来るのだ。なんとも贅沢な釣り、満開のサクラへの思いを断ち切り、3日(日)、九十九里浜へと車を走らせた。
“北限”のイサキはワイルドそのもの
冬から梅雨時にかけて南房総では大人気のイサキ。しかし九十九里浜以北ではあまり話を聞かない。“北限”と言われる所以である。『二三丸』の小倉忠船長の話では、釣り物として狙うイサキは太東沖が北限。人間に例えるならアラスカなどの極寒の地で鍛え抜かれた猛者だという。餌への食い付きと引きがワイルドそのものだそうだ。説得力ある解説に是非一度対峙してみたいという衝動に駆られた。
ワイルドな魚を狙うアングラーもまたワイルド
外房の朝のスタートは非常に早い。集合は午前4時。私は午前3時半に港に到着したが、既に数台の車が。出船を待ちきれない様子だ。当然まだ周りも真っ暗だ。それでもこの魚を狙う男たちは、睡眠時間を削ってでも集まる。
この熱気に押されるように午前4時半、「第一 二三丸」は、この日の最初のポイント・太東沖を目指して出船した。前日は強風高波により出船できなかったそうで、この日もまだかなりウネリが残っている。船はゆっくりと進み、1時間ほどかかって到着した。それでも辺りはまだ薄暗い。
朝一から食いが活発!
第1投の指示ダナは27m。「指示ダナから1m落とし、そこから指示ダナ上2mまでをしっかりと探って!」と船長から丁寧なアナウンス。一般的には指示ダナからハリス分落とし、指示ダナまで探ってくるのがセオリー。しかし、船長の話ではあまり下げてしまうと小さいイサキが下から上がってきて、先に餌を食ってしまうそうだ。上目のタナに積極的に追ってくる活発な良型イサキを狙うには、このタナの取り方が適していると言う。
最初の第1投からミヨシ(船首)で動き。早速、右ミヨシで竿が小気味よく曲がっている。上がって来たのは37cmのジャンボイサキ。これに続いて船のあちらこちらで竿がしなり始めた。幸先いいスタートだ。
イサキは群れで泳いでいる。釣果を伸ばすには、しっかりとタナを守ることが必須だ。アタったタナをきちんと覚え、そのタナを集中して攻めるのが重要。もう一つは3本バリの仕掛けであれば、どのハリに魚が掛かったかをしっかりと確認しておく事。上バリであれば、最初の魚が掛かった後に、少し仕掛けを上げて下バリへの追い食いを狙う。下バリに掛かったのであれば、次は気持ち下に仕掛けを落として、上バリに魚を掛けてから追い食いを狙う。
ライトタックルで楽しめるのも魅力
最初の1匹から約2時間。飽きない程度にずっと船中で釣れ続いている。ここで私も竿を出してみた。3本のハリに丁寧にイカタンを刺して投入。『二三丸』では40号サニーチビライトを使ったライトタックルでも楽しめるが、私は持参したサニー60号FLのいわゆるノーマル仕掛けで挑戦してみた。最初の1投でいきなりだった。それこそ仕掛けをひったくるような強烈なアタリ。そしてガツガツとサオ先が海中に引き込まれた。追い食いを待って少し粘ってみた。上がってきたのは良型イサキの一荷(2匹)。船長が言っていたワイルドとはまさにこのことか。楽しい……すぐに虜になってしまった。アタリは続き、アッという間に桶に溢れるほど。20匹のイサキが釣れた。60号でもこの引きだ。ライトタックルを持参しなかったことが非常に悔やまれる。皆が一様に北限のイサキの虜になったところで後半戦に突入。
ハナダイは“デコダイ”も交じって高活性
午前9時半。船はハナダイの釣り場・片貝沖へ移動した。このリレー釣りのタックルは、イサキもハナダイも変わらない。仕掛けをイサキ用の3本バリからハナダイ用の4本バリに替えて、一番下のハリにオキアミを刺すだけだ。
釣り方もほぼ同じような誘い方でいい。しかし、船長が勧めるのは魚の特性に応じて、全く異なるアプローチ。イサキの釣り方は前述の通りだが、ハナダイは逆にタナ7、8m間を下からシャクリ上げてきて掛ける釣り方。誘いも50cm程の短い間隔で、細かくシャクってきた方が元気の良い良型ハナダイが掛かるそうだ。折角のリレー船。道具は同じで簡単に、でも釣り方は違うやり方を楽しむというのは大いに頷ける。
さて、ハナダイだが、イサキほどの連発ではなかったものの、最初から船のどこかでアタリが出ていた。中にはオデコの出た35cmを超える“デコダイ”も顔を出して楽しむことが出来た。また、ハナダイに交じってマダイ、良型の沖メバル、ホウボウ、そしてマトウダイなども顔を出した。
船長の話の通り、ハナダイは誘い方で釣果にバラつきが出る。実際この日も、ハナダイにきちんとアピールする誘いが出来た人にアタリが続いた。沖上がりの11時半までの2時間弱でトップは13匹のハナダイを釣り上げた。
梅雨に向けて更に上向く予想。今年は“当たり年”か!?
例年ならシーズン開幕直後は、イサキはまだそれほど口を使わないそうだが、この日は7~28匹のイサキが上がった。その後も連日好釣果が続いている。イサキは、これから梅雨時に向けて産卵期を迎え、真子、白子を持ち始めて食いが更に増す。片貝沖のハナダイはシーズンを通して釣れる。今年は“当たり年”になりそうな予感。大いに期待が持てそうだ。