2016年05月01日公開
これから初夏にかけて産卵期を迎えるイサキ。特に梅雨時期のでっぷり太った抱卵イサキは人気があり、“梅雨イサキ”とも呼ばれる。今後、水温上昇と共に産卵の準備で一気に食いが立つ。それに比例して脂も最高に乗ってくる。まだ少し気が早いものの、今年の“梅雨イサキ”の状況を占いに千葉県・大原港『長福丸』に出掛けた。
大原のスタートは朝が早い
大原港の出船は午前4時半。余裕を見て1時間前に到着したが、辺りが真っ暗な中でも既に船宿の受付は多くの人で賑わっていた。『長福丸』は3隻の船を所有しており、この日はヒラメが2隻出しの人気。この人気に押されてイサキ船の方はまだまだの様子で、この日の乗船者は4人。しかし、入梅に向けて魚と一緒に釣り人もヒートアップ間違いない。
さて、早々に受け付けを済ませて、船宿の目の前にある船着場に移動。数10mの距離だが、荷物は軽トラックで運んでくれる。随分大袈裟に感じたが、下船後には納得することになる。
最初から大型中心に好気配!
この日のポイントは、港から40分程走った大原沖。午前5時15分、藤井大佑船長の「タナ20~23mを探ってください」とのアナウンスでスタート。ミヨシ(船首)に座った常連の渡辺寿夫さんに最初のアタリが来た。早速、30㎝を超える良型イサキをゲット。続いて胴の間(中央)の高山将広さんにもアタリ。船縁まで上げて来たが、上手くコマセカゴを上げられずに痛恨のバラシ。高山さんは、この日が初のイサキ釣りとか。道具もレンタルだ。ここで元ホテルマンだった船長がきめ細やかな釣り方のアドバイス。初めての方でも心配なく乗船できそうだ。
イサキのアタリは止まらない
スタートして1時間程で桶はイサキで溢れていた。最初こそ仕掛けの扱いに手間取っていた高山さんも、船長のアドバイスですっかり釣り方のコツを掴み、30cmを超える良型イサキをコンスタントに上げていく。トモ(船尾)に座った飯田一正さんは1匹掛けた後、暫く追い食いを待って多点掛けでコンスタントに上げている。釣り人たちは思い思いに春のイサキ釣りを楽しんでいるようだ。
カラーバリでピンポイントにイサキを狙う!
船長のお勧め仕掛けは、『長福丸』特製のカラー3本バリ。付け餌は何も付けない。これにはキチンと理由があって、イサキは食いが立つとカラーバリで十分に食ってくるというだけでなく、逆に付け餌でアピール度を上げてしまうと、ウマヅラ等の“歓迎しないゲスト”が来てしまうとの事。実際この日も何匹もウマヅラが上がっていた。これで付け餌を付けたらなおのことだろう。
多彩な“ゲスト”も魅力
ほかにこの日はマダイも交じった。ハリスが1.5号のために大型を上げるのは難しいが、1kg級のサイズまでなら十分対応できる。実は私が竿を出した時にも、明らかにイサキとは違う強烈な引き込みがあった。しかし、痛恨のハリス切れ。前日には、掛けたイサキに良型のヒラメが食って来たそうだ。この海には思わぬ獲物が潜んでいるので、その対応を考えておいた方がいいだろう。
ただし、注意しないといけないのはハリスの1.5号を守る事。私は見えない獲物のバラシが悔しくてハリスを2号に上げたが、イサキの食いは明らかに落ちた。
一日中続いたイサキからのコンタクト
結局、この日は沖上がりの時間までコンスタントにイサキからのアタリが続いた。群れに当たると3本バリ全てにパーフェクトもあった。入梅を待たずともイサキは既に最盛期の様相。ミヨシの渡辺さんは、この地区の“規定匹数”の50匹を釣り上げた。飯田さん、高山さんも共に40匹前後を釣り上げ、沖上がり後は、クーラーボックスを、軽トラックの助けなしには船宿まで運べない重さになっていた。
初心者でも気軽に楽しめる!!
この日の水温は約18℃。水温の上昇に比例してイサキの食いも活発になってくる。これからの季節はきっちりタナさえ守れば、それほど難しい釣りではない。アタリを繊細に感じて合わせを入れるというのではなく、むしろタナが合えば、ガツッとひったくられるように掛かって来る。掛けた後も驚くほどの強さの引きを見せ、3本バリ全てにイサキが来るとそれこそスリリングなやり取りを存分に楽しむことも出来る。是非沖釣りのスタートとしてもお勧めしたい。
食味も抜群!
イサキはその食味の良さも魅力の一つ。たた叩いて味噌で和えたナメロウ、そしてナメロウを大葉で包んで焼いた千葉県の地料理の一つのサンガ焼もお勧め。魚嫌いの子供でも魚肉ハンバーグなら抵抗なく食べてくれる。数が釣れた場合は干物にすれば長くイサキ料理を楽しむ事も出来る。そしてこれからの季節は、真子、白子も絶品だ。