2016年07月01日公開
フィッシュイーターとして獰猛な「動」の一面を持ちながらも、最初のアタリから“本食い”までの長い「静」のドキドキ感が一つの醍醐味でもあるマゴチ釣り。そんなマゴチの新たな楽しみ方“テンヤ・マゴチ”釣法が近年、常磐方面中心に新たなブームとなっている。エビに模したワームを使用し、マゴチの「動」の部分を存分に楽しむのだ。そんな新たな釣りへの挑戦に、鹿島港『作田丸』に出掛けた。
バリエーション豊かなワーム
出掛けたのは6月19日。2016年で最も昼が長い週末である。鹿島は朝が早く、集合時はまだ真っ暗な印象が強い。しかし、この日は既に辺りは薄明るく、いつもと違う鹿島港の光景が新たな釣りへの高揚感を高めた。
この日は10人が乗船したが、集合が待ち切れないとばかりに時間前に船に乗り込み、入念に準備を進めていた。タックルはいたってシンプル。一つテンヤやシーバスルアー用のロッドに2500番程度のスピニングリール。糸の先にテンヤかジグヘッドを結び、あとは思い思いのワームを装着するのみ。このワームこそが肝で、各社から様々な形や色のものが発売されていて選ぶのも楽しい。船上では釣り人同士が盛んに情報交換をしている。
浅場の砂地一帯が好釣り場
定刻の午前5時丁度、「第二十五作田丸」は、作田一美船長が舵を握り舫が解かれた。マゴチは砂地に生息し、鹿島港周り一帯がいい釣り場である。この日の最初のポイントは港から30分程の水深10~15mエリア。
実は数日前のシケによる底荒れの影響で、ここ数日の釣果は思わしくない状況だった。「前日にやっと訪れたナギがどう影響するのか?」、そして「選んだワームは正解なのか?」様々な期待と不安が交錯する中での第1投は午前5時半。
その日のアクションを見つけろ!
ワームの選択と共に重要なのがいかに美味しそうに見せるかのアクション。船長や同船した常連さんの話では「食いが立っていると置き竿でもマゴチが食ってくる」そうだが、食いが悪い時はその動かし方が重要になってくる。基本は前方にワームをキャストしてアクションを交えながら手前に引いてくるだけ。より確率を上げるためになるべく遠目に投げた方がよさそうだ。誘いはその日によって“正解”が違うらしく、ゆっくりと定速で巻いてくるだけでなく、底をトーン、トーンと叩くようにリフト&フォールを1mおきに繰り返したり、3mほど早巻きしてから動きを止めるアクション変化させたり、様々なパターンがある。その日のヒットパターンを色々と探してみるのも楽しい。
最初の1匹は50cmを超える“鹿島アベレージ”
実釣開始30分程で最初のアタリが訪れた。左舷トモ(船尾)で50cmを超える良型の“本命”が上がったが、これでもこの辺りでは満足のいくサイズではないアベレージだそう。なんとも贅沢な釣り場である。底荒れがまだ残っているのか?その後は苦戦が続いた。いい日はアタリがひっきりなしに訪れるそうだが、この日はかなり渋い状況が続いた。船の流し直しの度に何とか船中で型を見ることが出来る程度。トップで15匹とかの釣果が当たり前という魚影の濃さを誇る鹿島沖では、満足のいくものではない。毎週のように通う常連さんも打つ手なしの状況にぼやくしかない。
小突き釣法が吉??
この日は過去最低か?そんな雰囲気が漂う中、後半戦に向けて徐々にではあるが潮が流れ出した。誘いが合ったアングラーにはアタリが訪れるようになって来た。この日、最も多くのアタリが訪れたのは右舷ミヨシ(船首)から2番目の石橋憲一さん。カレイの小突き釣りのようなイメージで底をゆっくりとトントンと叩きながら誘ってくるのが良かったそう。最終的に4匹の“本命”を釣り上げた。
堂々の60cmの大マゴチ!
この日のハイライトは午前10時丁度。右舷ミヨシの小池宗功さんの竿が大きく弧を描いた。それまでも何度かアタリはあったものの、うまくフッキングせずに痛恨のバラシが続いていた。それだけに慎重なやり取り。無事にタモに収まったのは60cm丁度の大マゴチ。さすがの鹿島沖でも満足のサイズだ。続いて左舷でも同サイズが上がった。途中から竿を出していた私にも魚信があり、上がったのは60cmにはわずかに届かないものの自己記録更新の58cm。さすがは鹿島沖。悪いと船長が嘆く状況でもタダでは終わらなかった。
潮次第で“爆釣”の期待大!
結局、この日はトップが4匹といつもの鹿嶋沖の期待値からするとかなり悪い状況に当たってしまった。しかし、もう一つの期待である大型マゴチと言う点ではかなり楽しむことが出来た。浅場で楽しむ釣りだけにシケなどでの底荒れの影響が大きいのも事実。しかし、シケ後にある日突然“大爆発”と言うのもある。鹿島沖のマゴチは産卵のために浅場に集まっている7月一杯ぐらいまでが狙い目。これから最盛期を迎える“照りゴチ”、今後が大いに楽しみだ。