2016年07月01日公開
夏に向かって盛り上がりを見せるスルメイカ釣り。千葉県・内房、勝山港の『利八丸』では、関東地方の梅雨入り前から乗合船を出し始め、「今年も良い気配!」との情報。本番目前の“夏イカ”を狙って出掛けた。
『利八丸』へは、鋸南富山ICが便利
『利八丸』へは、館山自動車道・鋸南富山ICを降りて10分程だ。“買い出し”は事前に済ませておいた方が良いだろう。勝山港に突き当たったところで左折、港沿いにゆっくり走ると、右手に突き出た堤防が見えてくる。そのすぐ向こう側に舫ってあるのが「第一利八丸」だ。
受け付けを済ませて乗船
『利八丸』の看板と釣り座表のすぐ後ろ側が受付となり、そこで支払いを済ませ、船長の指示に従って、札の釣り座に乗船する。
多点掛けすると、かなりの重さになるスルメイカ釣り、リールはパワー切り替えのある中・大型電動リールが好適だ。直結仕掛け、それも10本以上のツノを配したベテラン氏もおり、長さが30m近くある仕掛けをさばく為に、取り込み時にプラヅノを置く、特性のマットを用意している人もいる。船のバケツには、被せるタイプのネットがあり、勢いよく飛び出してしまうスルメイカもおり、この配慮はありがたい。
直結か?それともブランコか?
複数のプラヅノを配すスルメイカ釣りの仕掛けは、基本的に2種類あり、どちらもプラヅノを使うのだが、ツノの上下に幹糸を結び、幹糸と一直線に配す「直結仕掛け」は、掛かったイカを取り込む際、ツノを逆さにすればイカが外れ、ハリスの無い分絡みなどのトラブルも無く、サバの攻撃にも強い反面、一瞬でも緩めると、掛かったイカが外れてしまう。
一方「ブランコ仕掛け」だが、幹糸から出るハリスにツノを付けるタイプ。自然な動きを演出することができ、掛かったイカも外れ難いが、サバなどが食って来た時にはツノが飲み込まれてしまうし、船内に無造作に取り込むと、高確率で絡んでしまう。ビギナーの頃はブランコ、慣れるに従って直結というのが一つのセオリーだろう。
ポイントは洲崎沖
舫いを解かれた「第一利八丸」は、南に向かって航程40分余りで洲崎沖に到着した。既に数隻の釣り船が集い、魚探やソナーを駆使して微速でスルメイカの反応を追っている。程なく船の行き足が鈍り、魚探に目を落とす船長、その刹那、船体を振るわすリバースギアの音。開始のアナウンスが終わらぬ前に、空中にオモリが弧を描き、プラヅノが宙に舞った。
洲崎沖のポイントの特徴
ポイントは、東京湾口にある“中ノ瀬(湾中央付近の中ノ瀬とは別)”付近だが、その海底形状は、まるで急テーパーでそそり立つ富士山のようで、頂上付近の水深は90m程だ。その斜面のカケ上がりに、潮の流れでプランクトンが溜まりやすい場所ができ、イワシなどのベイトが集まり、それを捕食するイカが回遊するという仕組みだ。そのカケ上がりの150~200m付近を捜索、広域を探る低周波魚探にベイト反応があると、その下には、高周波魚探に移るイカらしき反応があった。
スルメイカ釣りでの楽しみ
「さっきは良い反応だったんだけどね~、また船を(反応の)上に乗っけてみましょう」と船長。中盤は好反応があるにもかかわらず、イカの機嫌はあまり良くないような流しが続いた。船中ポツリポツリ上がる中、時折陽が射し、皆さん“船上干し(沖干し)”に精を出していた。私は、沖干しにする際の肝を取っておき、持参した塩の中に埋め込みクーラーへ。これは翌日、沖干しを使った塩辛作りに使う為、生きた新鮮な肝を脱水して持ち帰る工夫だ。
活性が上がり多点掛け
乗りが渋い時の対応策を、“釣り手”として同船した早川船長に「プラヅノのサイズを短くしてみては?」と聞いてみると、「18cmのツノを追っているスルメは、ツノを小さくしたところで効果は期待出来ない」そうだ。また、ガス糸を巻いたスッテで釣る人もいて、こちらは効果がある時もあるようだ。間もなく、船中で5点掛け、4点掛けと活性が上がって来た。
“夏イカ”本番間近!
朝一番はイカ船が固まり船団を形成していた。船団が出来ているということは、その下に好反応がある証拠なのだが、1時間程すると船数はまばらとなり、個々に捜索が始まった。シーズン初期、群れが小さいことが一つの要因になるのだが、良いファクターの1つには、どの船も、このエリアだけでイカを探し、そこそこの釣果(『利八丸』はトップ40杯)を上げているという点だ。これからトップシーズンに向かい、イカの群れは日を追うごとに濃くなる筈で“夏イカ”を存分に楽しめる時期到来となる。多点掛けのあの重さ、そして“沖干し”、“沖漬け”を楽しめるのもこの時期、是非出掛けて頂きたい。