2016年07月01日公開
関東地方も梅雨空とのにらめっこの釣行、そんな折り、小田原早川港『坂口丸』から小田原南沖でスルメイカが乗り出したとの情報。今シーズンはマルイカやムギイカ(スルメイカの幼体)がやや不振でイカ釣りファンはガッカリしていただけに久々の朗報だ。梅雨の合間を縫って27日に出掛けた。
イカ釣りは、相変わらず大人気
イカ釣りは人気が高い。釣り人の中にはヤリイカとスルメイカそしてマルイカしかやらないと言う人も多い。そんなファンは、それぞれのイカのシーズンに合わせて周年イカを追いかけている。『坂口丸』にもそうした釣り人が多く集まってくる。
午前6時出船と聞いていたが、午前4時に港に着くと月曜日にも関わらず駐車場はほぼ満杯。『坂口丸』の久保田源太郎大船長が店先で迎えてくれた。「ゆったり釣ってもらい、オマツリを避けるため2隻出しますよ」とのこと。私は氷をもらって大きい方の船「ジャンボ船」に乗ることにし、空いていた左舷胴の間(中央)に入った。大きな船に左舷5人右舷6人の総勢11人の釣り人、ゆったりだ。もう1隻の1号船(幸司若船長)も同じようなものだ。
直結仕掛けか?ブランコ仕掛けか?
今の時期に使うツノは14cm中心。周りを見ると大半の人が直結仕掛け、それもタナを広範囲に探れるように、ツノ数も12本とか15本組を準備していた。勿論、10本前後の人やブランコ式仕掛けの人もいる、私はブランコ式7本ヅノ仕掛けを用意。上乗りとして久保田三喜夫船長が乗るというので話を聞くと、昨日のトップは強風の中94杯、一昨日は49杯とか。先週は50、60杯が続いたと言う。期待を乗せて6時ちょうど、久保田忍若船長の操船で出港した。
顔見せは20cm強の“ムギイカ”が
南に向かった船は、右手遠方に湯河原や熱海、そして伊東の温泉地を見ながら無風の海を1時間ほど走った。左手に初島を過ぎたあたりでスピードが落ちる。船長は魚群探知機を見ながらジグザグに船を進めて反応を探す。7時過ぎ、1投目の投入合図が出た。「水深120mタナは100mぐらいから下を探って」とアナウンス。一斉に120号のオモリがポーンと放られ、色とりどりのイカヅノが舞って海中へ吸い込まれていく。オモリが海底に着くと素早く巻きあげながら竿をシャクリ上げ、イカヅノを躍らせてタナまで探ってくる。その繰り返しである。竿先に“フワフワ”とか“ズーン”という重さを感じたらイカが乗った証拠。その感触を期待してシャクリ続けるが1投目は全員アタリなし。すぐに移動、2投目で「乗ったー!」、「ミヨシでも乗ったよ!」の声が聞こえた。左舷ミヨシ(船首)の磯貝敏明さん(武蔵村山市)がリーリング、右舷ミヨシの山口正一さん(綾瀬市)の竿先も絞り込まれた。山口さん、潮を吹きながら上がって来た少し小振りの20cm級を手に「1杯だが、やっと沖漬けの材料が」とそば汁の入ったタッパ容器に放り込んだ。だが胴の間から後ろは声がない。
スルメイカの活性低く移動が速い
同じポイントで2投出来ることが少ない。スルメイカのタナが広いうえに群れの移動が速いのだ。小さい群れなのだろう。船長は魚探と睨めっこしながら反応を追いかける。3投目は、「水深は110m、タナ90m」の指示。船首の張り出し席で様子を見ていた三喜夫船長も竿を出す。イカ釣りの船でお目にかかることが多いイカ釣り大好きと言う右舷2番の目黒弘樹さん(横浜市)、「触っているけど乗らないね、アレ、乗ったと思ったけど居なくなっちゃった」と苦戦の様子。そんな中で山口さんが3点掛け。磯貝さんも2点掛けとポツリポツリとイカが顔を見せる。トモ寄りの釣り人の桶にも小型だが赤銅色のイカが1杯、2杯と泳いでいた。
乗り渋りで苦戦
左舷トモ(船尾)の佐藤勝雄さん(入間市)は、「今まではブランコ仕掛けでやっていたのですけど、最近直結仕掛けの練習中です。今日で2回目ですがイカが触ってくれません」と嘆き節。2番目の伊東秀一さん(大磯町)が「何とか早くイカの顔を見たいです。1杯でも釣れれば落ち着くんですけど」とシャクリを繰り返している。右舷トモの青木昭次さん(日野市)の竿にクンクンとアタリ。リーリング中も引き込む。「これはイカじゃないよ。底でサバが食っちゃった」と苦笑い。時間と共にポツリポツリ乗っていたイカも小休止状態。
終盤に活性が上がり4点掛け!
「昨日は反応があって活性も型も良かったのに」と船長、必死に群れを探す。
正午を回った。右舷の胴の間でシャクリを繰り返していた3人は会社の同僚とか。トモ寄りの早川進一郎さん(平塚市)は、「頑張っているんですけど中々乗ってくれません」、五十嵐典保さん(厚木市)は「慣れてないし手返しも考えて4本仕掛けでやっているんですけど」、黒田政雄さん(厚木市)は、「昨日、関西から帰って来て、今日跳んで来ました」と話してくれている時、「乗った。重くなった」とリーリング開始。
突然、ハイライトが来た。型も朝方よりずーっと良い。ミヨシでも左舷でもリーリングの音。黙々と竿を上下させていた左舷2番の田辺克己さん(秦野市)も「やっと乗りましたよ」と良型を手にした。久保田さんが4点掛け、磯貝さんも良型の3点掛け、山口さんも2点掛け、3点掛けと連チャン。伊東さんも「型が少し良くなった」と桶に放り込む。私の竿にもズーンとした重みでリーリング、良型を手にした。もう少し早く乗り出してくれれば…。
結果はトップ34杯、2番手23杯、スソ(最低)4杯と苦戦の1日だった。忍船長が「昨日は数も型もよかったのに、今日は反応も薄く群れもばらけていましたね。イカ釣りはムラがありますが、“夏イカ”シーズンはこれから。型もだんだんとよくなります」とコメントしてくれた。水深100m前後の今はイカ釣り入門のチャンス、直結仕掛けの習得に出掛けてみては如何(イカ)が?
イカ釣りのキモ!
スルメイカはタナも広く群れの移動も速いので、合図が出たら素早く投入。少しでも早く指示ダナヘ。シャクリ上げた竿を一瞬止めてツノにイカが乗る間を置く(抱き付かせる)。ツノは常に動かして誘うこと。重みがかかったらゆっくりリーリングし、追い乗りをさせるのが数をのばすコツだ。直結式は取り込み時にバラしが多いので注意。ツノのカンナ部分の墨や身切れは歯ブラシなどでよく取り除いておくことも大切なポイント(汚れていると、まずそのツノには乗ってこない)。