2016年08月01日公開
キントキは一般に馴染みが薄い。鮮魚店で見かける事は少ないが、釣り人にとっては味良し、引き良し、姿良しの対象魚。さしずめ「ドレスを纏った貴婦人か、赤い鎧の荒武者か」……千葉県大原沖で好調に釣れているとの情報に7月22日、大原港『敷嶋丸』に出掛けた。
数を稼ぐには多点掛け。
大原港の朝は早いが、キントキ釣りは特に早い。集合時間は午前3時、当日は私も含め5人の乗船で、集まり次第出船した。航行中に「キャプテンズ・レポート4月8日号」の記事で予習。そして山本幸夫船長から「キントキは群れで来るので、追い食い多点掛けを狙う事」とのアドバイスを聞いて釣り開始に備えた。
水面直下まで強烈に引きまくる!
航程約1時間でポイントに到着。曇りで時々小雨が落ちてくる。早速、仕掛けを投入。指示ダナは海面から33mだったが、直ぐに36mへ変更になった。アタリが無ければ海底41mまで落とし、1~2m上げて待つ。すると右舷ミヨシ(船首)の馬場広美さん(つくばみらい市)にアタったが、船中1号は沖メバルだった。本命を待ち続けると右舷トモ(船尾)の福島辰夫さん(江戸川区)と、左舷トモの飯田芳則さん(八千代市)に続けてアタリがあり、大きなヒレを広げて、海面まで引き続けるキントキが上がってきた。朱色に輝く魚体。これぞキントキ釣りの魅力だ。私も堪らず釣りを開始。指示ダナ36mで一度待つ。アタリが出ないので仕掛けを着底させ、1m底を切って待つ。ゆっくり1m誘い上げ、落とし込むとゴツン、グイッと明確なアタリ。「底を狙ってください」とのアナウンス通りだ。胴突き仕掛けなので引きが直接竿に伝わり、想像以上の強い引きに追い食いを待つ事も忘れて、すぐ巻き上げ開始。慎重に巻き上げて本命を釣り上げた。
タックルに合った誘い方があるのでは?!
午前5時過ぎから船中でボツボツながら本命が釣れ続き、多点掛けも出始めた。各自のバケツはみるみる朱色に染まって行く。当日は2m前後のショートロッド使用が私を含め2人、3m前後のロングロッド使用が3人。リールはタナが浅いが全員電動リール。私は船宿常備の3本バリ仕掛けを使ったが、自作のハリ数の多い仕掛けを使う場合は、ロングロッドの方が楽に見えた。ショートロッドでハリ数の多い仕掛けを使う時は、マグネット板があると便利だ。
誘い方を見ると、小刻みに竿を動かしアピールさせる方法と、ゆっくり1m位誘い上げ、そして落とし込む方法が見られた。但し、どちらも激しく仕掛けを動かすのは良くない。胴突き仕掛けなので、激しい動作をするとハリスが幹糸に絡んで、目の良いキントキは警戒する。ハリスにヨリがかってしまったら交換した方が良いから、ハリス付き予備ハリの準備も必要。もちろん根も荒く、根掛かりでの交換も視野に入れてだ。仕掛けが絡んだり、自分だけアタリが来ない時は釣り方を工夫した方が良いと思う。
多点掛けが出来て一人前か!!
追い食いを狙う時は、1匹目を掛けたら少し巻き上げて2匹目、3匹目を待つ通常の狙い方で良いと思うが、意外に待っている間に1匹目が外れる事もある。当日は全員とも複数回、途中でバラシが有った。ネムリバリを使っている人でも同じだった。口は固いが横側は膜のようで、意外と柔らかいから注意。
曇り、小雨、土砂降りの繰り返しだったので、中層の指示ダナで釣れたり、底近くで釣れたり。いろいろな誘い方を試して忙しかったが、バケツの中の魚体を覗いていると綺麗で、そんな苦労も忘れてしまうほどの楽しい一日だった。竿頭は16匹の飯田さん、スソは多点掛けが出来なかった私の6匹。ゲストは沖メバル、ソイなどだった。なお、4本バリ以上の仕掛けを使う時は、付け餌を各自で準備する事と、サケ皮以外の特餌(サバ、イカ、アナゴ等)も効果が有るそうだ。
船長に聞く
「今日は太東沖を狙い、まずまずの結果でした。これから夏に美味しくなります。潮が澄んでいるので早朝が数釣りのチャンス。9月からはフグ船も出ますので、電話予約をお願いします」と船長。この釣りでは青物やハタなど美味しいゲストも交じるからうれしい。目が良い魚だからハリスを何号まで落とせるか、ハリスが絡まない工夫はないかなど、次回の釣行に思いを巡らすのも楽しいキントキ五目。大原地区は東風が数日続くと潮が濁る事があるのでは?もし濁りが入れば1日中、アタリが続くかもしれない。