2016年08月15日公開
エリアを分け、毎年8月から3回の解禁が楽しめる片貝沖のヒラメ釣り。細いライン、華奢な竿でのLT(ライトタックル)で狙うヒラメ釣りは、餌の動き、底の状態など水中の情報が手に取るように分かり、初動から大きく竿を叩くアタリの直後、竿先が海面に突き刺さる。そんな魅力満載のLTを携え、解禁3日目に片貝港の『二三丸』を訪れた。
東京方面から一番近い外房
『二三丸』は千葉東金道路を終点の東金ICで下りて16kmほど。行きは20分余りで到着する。途中にコンビニがあるので買い出しには事欠かない。二三丸の看板を目印に走り、宿に到着後は釣り座表の希望するマグネットを取る。8月は3時30分集合となり、女将さんが来たら乗船名簿を記入し氷を受け取る。生きイワシが届くのもこの頃。危険回避のため、船には灯かりが点くまで絶対に乗らないこと。
ゲームロッドが面白い。リールは堅牢なものがベスト
汎用性のあるゲームロッドは、この釣りでも強い。長さも大切だが、40号オモリを使うことを鑑み、オモリを背負わせてもなおかつ、ヒラメの餌の食い込みを促す曲がり代が残る竿がよい。調子は7:3が使い易いが6:4でも良い。リールは相手がヒラメなので、堅牢なボディーを持つ小型ベイトリールがベスト。漁礁からゴリ巻きでヒラメを浮かすことができる。ラインは二三丸指定のPE2号が良い。
「生簀に泳ぐアジは、定点で止まっているようにホバリングして泳いでいる。一方イワシは、生簀の中を、グルグルと円を描くように泳いでいる」とは船長談。ということは、ハリを仕込まれたイワシは、海底付近で幹糸を中心に円を描いて泳いでいると考えられる。そうなると、リードのように繋がっているハリスは、短い程水の抵抗が少なく、泳ぐイワシの負担を減らすこととなる。二三丸のハリスは65cmと短め。こだわりの長さとなっている。
ポイント移動直後にアタリが集中
予約乗合なので釣り客が揃うと出船だ。まだ真っ暗な片貝漁港を「第一・二三丸」は離岸、微速で航行する。片貝沖の第一解禁の8月は蓮沼沖を狙う。ここは片貝より北の沖となり、ポイントは堀川根、中根などの根周りで水深は20~30m前後だ。ポイントで数分時間調整。開始直前のアナウンスに、手を水に浸して手のひらの体温を下げてから、イワシをハリ付けする。次に片手は竿、片手にはハリスを持ち、逸る心を解き放つ。待っていた船長の合図と共に解禁3日目はスタートした。
堀川根、中根は漁礁などと違って自然の根。起伏はあるものの、根掛かりに直結するような根ではないようだ。小回りの利く、中折れ式の舵を持つ二三丸。船長は魚探を睨みながら、船をクルリと半回転、好ポイントの真上に着ける。序盤は、ポイント移動して流し始めると、必ずと言ってよいほど竿が曲がり、カメラを持ちながら船内を慌ただしく移動した。
澄み潮で高水温
「竿出しなよ。俺が見張っててあげるから」。振り向くと笑顔の船長。それではと、中盤から私も竿を出してみた。イワシをハリ付けしようと、バケツの水に手を浸してみたら温かい。聞けば水温が27℃と例年より高いようだ。潮もほとんど動いていないようだが、前日のトップ12匹の釣果を念頭に「ヒラメはいるはず、スイッチが入れば・・・」と、たわんでは戻る穂先を見つめていた。
今は最初の8月解禁、9月には片貝の南側が解禁となり四天木(してぎ)根が、10月は片貝の真沖、漁礁や小関根といったポイントを狙って行く。今後2回の解禁を前に、「次はいつ来られるかなぁ?」と考えていると、殺気が無くなったからか? 手にする竿に、明らかに根とは違うシグナルが!・・・軽いオモリと高感度な竿との相乗効果で、手に伝わる情報「手感度」は、ヒラメの口の中にハリが触れ、嫌がって首を振る様子を釣り人に伝える。夏ビラメの特徴として、アタリから食い込みが速いことが上げられるが、まさにそんな1匹と、LTを通して出会うことができた。
下船後は船長のヒラメ釣り講座!
潮が動かず苦戦。大抵の人は型を見たものの、トップで4匹の釣果だった。下船後は名物の焼きそば。それも、お薦めの青唐辛子をかけていただいていると、研究熱心な船長のヒラメ釣り講座が始まった。今までの経験に基づく、ヒラメ釣り師なら明らかに垂涎ものの話に、箸を止めて頷く人たち。時折質問も飛び出し、さながら釣り教室のようだ。この話が今後のヒラメ釣りの糧となることは言うまでもない。また今回、今いちに終わった片貝沖のヒラメのポテンシャルも本来こんなものではない。これからの海況を窺いながら、また更に2度訪れる解禁も考慮して、是非出かけていただきたい。