2016年09月01日公開
一年を通して様々な魚が釣れる三重県・紀伊長島周辺。特に夏から晩秋までは様々な魚の活性が高く、入門には最適との事から“夏真っ盛り”の8月18日、自身初となる“一つテンヤ五目”に挑戦すべく紀伊長島『石倉渡船』へ向かった。
暗い内から準備!
「出船は日の出から随時」と、石倉一徳船長。そして前日、石倉船長に出船確認の電話を入れると、常連さんが同行してくれるとのありがたい提案。逸る気持ちを抑えきれず、暗い内から出船に備えた。まさに夏休み中の子供といったところだ。事務所が開くと同時に乗船名簿へ記入し、同行して頂ける松葉さんへの挨拶もそこそこに出船する。思ったよりも沖まで走る。テンションはMAX!更にモチベーションが上がった。
思ったよりも本格的!水深も浅く釣りやすい!
先導の松葉さんがスローダウン。慣れないだろうからとボートを連結、まずはお手本という事で松葉さんの釣りを見せて頂いた。
【大石】~【エスキ】と呼ぶ磯の間のラインがボートを出せる限界線となるのだが、そのラインに近いところでも水深は25m程。深いところで30mちょっと。沖まで出た割には意外に浅いのだが、ロケーション的には完全に“船釣り”だ。それでもテンヤは5号が基本。餌は“冷凍ウタセエビ”がメインだ。
なお、テンヤの親バリにウタセエビを付ける際、尾羽を切ってその切り口からハリを刺す。そして頭と胴の境目辺りでハリを抜き、エビが“ピン”と真っ直ぐになるように付ける。そして孫バリを頭の部分に刺してセット完了となるのだが、孫バリをセットする際は外れにくいように刺すのが基本。なお、冷凍ウタセエビは傷みやすいので、クーラーボックスに保管して少量ずつ出して使う。
アタリを選ぶ?餌の残り具合とヒット率!
この日は朝一から“餌取り”が高活性。ボーっとしているとすぐに餌をやられる。しかし見切りを早くして回収すれば餌も残っており、テンヤの周りに居たかもしれないナイスな魚を逃してしまう。そんな中、松葉さんは底取りすると緩急・大小の動きで誘いつつ、餌の残り具合を確認しながらアタリを待っていた。更にこの日は、私のボートを連結しているために“パラシュートアンカー”が使えないため、思うように流せなかったが、先ずはアカハタが食ってきた!そしてお次はカサゴ。カサゴが釣れたという事は底をタイトに攻めている証拠だ。
縦横無尽!これぞレンタルボートの醍醐味!
ひとまず魚の顔を拝めたところで松葉さんもホッと一息。そしていつもと勝手が違う釣りにも慣れたところで、今度は別のラインを流すとの事。大石磯寄りの比較的浅い根周りを流し出した。するとポンポンとアカハタが釣れた。
なお、旬のポイントは石倉船長がボートマップを手に教えてくれる。そして所によりブイを設置しては目安になるよう配慮もしている。「操船は慣れているが初めてのポイントは…」という釣り人には有り難い。またトイレや休憩を兼ねて一時帰港をし、その際に情報を仕入れたり、リフレッシュ出来るのもレンタルボートならではである。
一つテンヤ初挑戦で五目達成なるか?
私は取材しながら“勉強”していたが、良型のアカハタ(巻頭写真)には参った。「釣りたい」スイッチが入ってしまったのだ。釣り人の性である。そして見よう見まねで一つテンヤをやってみる事に。
私は、「ウキフカセ釣り」を得意としている。基本、磯釣りだ。そして一つテンヤタックルと言ってもグレ釣りの合間にする「エギング」タックルしかなく、それの流用になる。竿は2.4m、道糸はPE0.8号、リーダーは2.75号をチョイスした。 まずは餌付け。はじめは孫バリにセットした途端にウタセエビの頭が外れたりと自分でも不甲斐無いと思いつつ、まずは形だけでもと仕掛けを投入。底取りに集中した。すると、アタリもないまま餌を盗られている。これは厄介だ。お次はテンヤに数回誘いを入れると、底が分からなくなる始末。私は脳みそをフル回転させ、自身が底を気にする釣りの引き出し、磯のイシダイ、船のカサゴ&マダコ、そしてエギングを想像した。徹底的に底を取るため、合わせにくいが、座りながらの釣りでテンヤを操作した。そこでようやく着底~誘い~着底までがスムーズとなり、アカハタをキャッチ!嬉しい一つテンヤ初の魚である。
また、松葉さんは私の釣り方に合う流し方を意識して下さったようで、その後フエフキダイ、メイチダイ、カサゴと“四目”達成。初めてなので贅沢は言えないが、ここまで来ると“五目”を達成したい。
間もなく潮が速くなり出したのと同時に餌が残りだし、餌取りのアタリも遠のいて来た。これは単にアタリが遠のいたのか、それとも着底がままならなくなって来ているためなのか判断出来ず、とにかく底を意識した。そして、底を取り直すために回収にかかった3巻き目くらいで手応えのあるアタリ!すかさず松葉さんから「マダイっぽい引きですよ!」と声が掛かった。竿を叩きながらの引きは、確かにマダイを思わせた。松葉さんに無事タモ取りしてもらったのは40cmを少し切る、綺麗なマダイだった。「ヤッター!“五目”達成だ!」。思わず叫んでしまった。
難しかった1日と偶然
キッチリと底を取れれば、誘いに派手なアクションは必要のない一つテンヤの釣り。しかし、時として変わったアクションが功を奏すかも知れないということを帰港後に感じた。この日は“タイラバ”で出船した釣り人が好釣果を出していた。勿論、腕や経験もあると思うが、テンヤを回収しようと巻き始めた矢先にアタッて来たマダイ、これはまさに“タイラバ”の釣り。偶然の一致ではあるが、これはこれで良い経験となった。 これからの季節は、一つテンヤ五目以外にも、良型カマスやアオリイカの数釣りも期待出来るようになる。また、アジは各所で釣れている。融通の利くレンタルボートでの釣り、私も四季を通して色々な釣りものにチャレンジしてみたいと思った。
今回利用した釣り船
出船データ
レンタルボート:手漕ぎボート4,000円(保険料1人200円)
船外機付きボート9.9馬力1万1,000円、40馬力までは2万4,000円、各タイプ有り(保険料1人500円)
詳細は船宿のHP参照。無料仮眠所・女性更衣室・バーベキューテラス等施設充実
(交通)
大阪方面からは西名阪自動車道もしくは名神・第二名神経由で~伊勢自動車道~紀勢自動車道・紀伊長島から約3分で港へ
名古屋方面からは東名阪自動車道~伊勢自動車道~紀勢自動車道・紀伊長島~港へ