2016年10月15日公開
今秋は週末のたびに天気が悪く、多くの釣り人はフラストレーションが溜まっていると思う。「天気なんかに負けてたまるか!」。鬱憤を晴らすべく10月8日、一つテンヤ・マダイが数・型共に十分な釣果が上がっているという情報の、茨城・日立久慈港『大貫丸』に向かった。
常磐道・日立南太田ICを下りるとすぐ
日立久慈港は、常磐道・日立南太田ICを下りてからわずか10分程。都内からだと1時間ちょっとで到着する。私が住む多摩地区を午前2時過ぎに出ても、4時前には港に着いてしまった。集合時間は午前5時なので少し早過ぎた。思ったよりも近いなというのが印象だ。港の目の前にコンビニもあり、朝ごはんをしっかりと調達して皆の到着を待った。『大貫丸』は船前に直接集合となる。
人気沸騰!2隻あるから余裕の釣りスペース
午前4時半過ぎ、受け付け開始。港で乗船名簿に記載し、釣り座の順に船長指示によって船に乗り込む。合計24人も集まり、人気の高さを目の当たりにしたが心配ご無用。2隻に分かれて乗船のためゆったりスペース。午前5時過ぎに舫が解かれた。私は若船長の大貫翔平船長が舵を取る「第3大貫丸」に乗った。
シンプルな仕掛けでダイレクトな魚の引きを楽しむ
一つテンヤ・マダイの醍醐味は、何と言っても魚の引きをダイレクトに楽しめることにある。タックルは専用ロッドと2500~3000番程度のスピニングリールの組み合わせ。道糸は0.8~1号のPEラインに、3号程度のフロロカーボンのリーダーを3~5m。その先につけるのはオモリとハリが一体化したテンヤといういたってシンプルなもの。この余計な無駄を一切省いたタックルによって魚とのやり取りがダイレクトに楽しめるのだ。
テンヤの重さやカラーを状況に応じてチョイス
テンヤの重さは水深、潮の速さや波の高さによって変わるが、水深20m程の場所で波もさほどなければ3~6号でよい。深くなると5~8号となる。一番重要なのは底がキチンと取れることなので、初心者は重めでスタートした方がよい。テンヤの色は、一般的には潮が濁っていたり、辺りが暗い場合などはグロー系。明るい場合や魚の食いが立っている場合は、赤や金系がよいとされている。しかし、これはあくまで一例、普段食べている餌などによっても違いがあるだろうから、船長の意見を聞きながら自分なりの考えを入れるとよい。また、最近ではオモリ部分が動く誘導テンヤも発売されていて、砂地などの根掛かりの少ない場所を幅広く探る場合は効果的だ。
早朝のお目覚めは“子供”から?
現在、日立沖ではイワシを追って、マダイが浅場に上がって来ているそうで、この日のポイントは港から僅か数分の水深15~20m付近。パラシュートアンカーを下ろして5時15分過ぎにスタート。一つテンヤは他の釣りに比べて比較的食い出しが遅い印象がある。この日も開始から30分程はアタリもまばらで、ポツポツ上がってくるのは手の平より少し大きい程度の小ダイ。元気のよい“子供”は魚も早起きなのか? 一つテンヤ・マダイもコマセ同様に、ある程度のエビの出し入れで魚が集まってくる印象がある。つまりある程度の人数で餌を出し入れしている方が、魚の集まりがよい気がする。
予想通りサイズがだんだんと
ここでは「餌が馴染んで」と言わせてもらおう。ひとしきり時間がたった頃にやはりアタリが増え始めた。同時にサイズも上がり出した。開始から1時間程経った頃、右舷後方でドラグの出される気持ちよい音が響いた。マダイは三段引きと言われる独特の引きを見せる。竿先が細かく叩かれるので“本命”だとすぐ分かる。水深15m程なので魚も水圧変化に弱ることもなく最後まで力強い抵抗を見せ、やり取りを堪能して上がって来たのは1.3kg程の良型マダイ。
数だけじゃない。サイズも楽しい日立沖!
秋のマダイの特徴は数が釣れること。初心者にも是非お勧めしたいシーズンなのだ。この日もトップは9匹のマダイを釣り上げた。しかし、この日の日立沖は数だけではなかった。次々に1kg程の良型マダイが顔を出した。このサイズだとドラグも出されてやり取りにも緊張が走る。逆に言えばドラグ調整の目安としては1kg位のマダイの引きでドラグが出るようであれば調整としてはバッチリと思っていい。
“外道”も豊富な日立沖
日立沖では、“外道”も豊富だ。ヒラメ、マゴチ、イナダ、メバル、ショウサイフグ等々。どれもこのエリアでは“本命”で船が出るほどのラインアップ。“外道”と呼ぶにはもったいない。“青物”などは、引きも強烈なので、顔を見る最後まで周りのアングラーも「これは○○じゃないか?」など、勝手な予想合戦がこれまた楽しい。
ハイライトは3kg級の大ダイ!
この日のハイライトは後半戦にあった。1kgクラスの良型マダイとのやり取りを船中で十分楽しんだ後の午前10時40分、左舷後方の山内博文氏の竿がひときわ強い叩きを見せた。百戦錬磨の大貫翔平船長もその引きから良型であることを確信して、タモを片手に走って来た。私も慌ててカメラを片手に。皆の視線を一身に受けてのやり取りの末、姿を見せたのは堂々3kg級の大ダイ。釣り上げた山内氏も渾身のドヤ顔。
ロングランで楽しめます!
今年はまだ海水温が高く、この“マダイラッシュ”を当分は楽しめそう。この日は浅場を攻めたが、状況によってはもう少し水深が深い場合もあるそう。さすがの日立沖。ポイントは多数あるのでテンヤを幅広く対応できるように揃えておくといい。一つテンヤ初心者もマダイとのやり取りを覚えるには絶好の時期なので、是非お勧め。
今回利用した釣り船
出船データ
料金:1万円(餌・氷付き)
出船:午前:5時集合 準備が整い次第出船 午前12時沖上がり