2016年11月15日公開
新たなアオリイカの釣り方として、関東でもすっかり人気が定着した感のあるティップランエギング。元々は関西方面での釣法だったが、今回出掛けた千葉県・富浦港『共栄丸』が、関東の先駆けとして取り入れるや否やアッという間に人気となった。その人気の理由は何なのか?ハロウィンに町が沸く10月最後の日曜日、富浦まで探りに行った。
幅広く探れるのがメリット
従来のエギングとティップランの違いとは何なのか。簡単に言ってしまうと、ティップランは水平にエギを流して釣るので、幅広い範囲を探る事が出来る。そしてエギのオモリも30~50gと重いので、今まで攻め切れなかった水深も攻めることが可能だ。縦と横にチャンスを広げるので数釣りも期待出来る。
午前のマダイと午後のアオリイカ
『共栄丸』には、多くのティップラン愛好家が訪れる。マダイでも高い実績を出しており、午前をマダイ、午後をアオリイカと分けて出船している。勿論、リレーで一日楽しむことも可能だが、今回は午後船に乗った。集合の午後1時よりも少し早く港に到着して待っていると、午前のマダイ船が戻って来た。2kg弱の良型を筆頭にマダイも良い釣果が出たようだ。笹子宏宣船長が午前の片づけと午後の準備をキビキビと済ませて、定刻の午後1時半にいざ出船。この日は満船の10人が乗り込んだ。
エギのカラーは状況に応じてチョイス
基本的なタックルは、仕掛け図を参照いただき、ここでは一番迷うところのエギについて紹介する。前記の通りティップランのエギは重めになる。水深20m以下で潮がさほど速くなければ30号程度だが、水深が深くなり潮が速いと40~50号程度まで重くする。カラーに関しては周りの明るさ、海況、イカの活性により変わるが、セオリーでは潮が澄んでいる場合はナチュラル系、濁りがあるときはオレンジ、ピンクなどの派手目が良い。オールマイティにアタるのがパープル、マーブルなどというのが船長談。同じポイントを複数回流すので、流しの度にエギを変えて、その日のカラーを見つけるのが好釣果につながるそうだ。
片舷限定の釣り
アオリイカのポイントは富浦港を出てほんの10分程の大房岬周り。実はティップランは勿論、アオリイカそのものが初めての私としては、心の準備も出来ぬままにポイントへの到着となった。あらかじめ少し勉強していたので驚きはしなかったが、まず違和感を覚えたのは、釣り人が片舷にしかいない光景。2015年3月に進水したばかりの大型船だというのに、10人限定なのはここに理由があった。ではなぜ片舷限定なのか?ティップランでは船を“どてら流し”にして、糸を出して水平方向に幅広く探る。そのため片舷でしか釣りが出来ないからなのだ。
竿先=ティップに集中!
このところ連日のように好釣果が続いていた。この釣行の数日前にはトップで20杯上がったことも。期待に胸を膨らませて実釣開始。水深は18m。ティップランの基本的な釣り方は、まずエギを着底させる。そして糸フケを取ったら5回程度シャクリ上げてそこでストップ。あとは竿先に起きる小さな変化に集中だ。まさにティップランの名前の通り、肝は竿先=ティップにある。注意しないといけないのは、シャクリ上げた竿先を下げないこと。竿先を下げると、せっかく追ってきたイカがエギから離れてしまうそうだ。竿先に何も変化が起こらなければ、また着底させて同じことを繰り返す。兎に角、竿先に集中して少しでも変化が起きたら合わせを入れる。
浅場でやっと最初の1杯が
開始から1時間。船中誰にもアタリがない。連日の好調が嘘のように厳しい時間を過ごすことになった。急に秋が深まり、今シーズン最低を記録した気温と同様に、釣果も寒いのか…ここで船長は浅場への移動を決めた。直後の午後2時45分。最初のアオリイカがミヨシ(船首)の菅野宏司さんのエギに抱き着いた。続けざまに胴の間でももう1杯。何とか型を見て一安心だが後が続かない。無線から聞こえる他船の状況も芳しくない。厳しい時間は続く。
小まめにエギを替えてヒットカラーを探す
ヒットカラーのエギを探して小まめにエギを替えて様子を伺う。流し替えの度にポツリポツリとではあるが、型を見るようになって来た。特に最初の1杯を上げた菅野さんはコンスタントに釣っていた。あとは時合が来れば船中で釣れるに違いない。実は、厳しい状況ではあるが、船長は夕方暗くなってからのゴールデンタイムに一縷の期待を抱いていた。このような状況でもほんの一時の間に、一斉に“食いが立つ”こともあると言う。この日の夕マヅメはどうなるのか?
夕マヅメのゴールデンタイム
午後5時前。あたりはすっかり暗くなってきた。ここで私も竿を出してみた。初めてのティップランという事で、竿先を注視したいのに暗くて見えない…なんとも…ここで周りに突然の変化が。船長の目論見的中だ。船中でアタリが頻発し始めた。折角竿を出したのに、撮影でエギを下ろしている暇がなくなって来た。さすがは時合。終日コンスタントにアタリを取っていた菅野さんに至っては怒涛の連発で、終わってみれば計8杯。沖上がりまでの1時間は、まさにゴールデンタイムと呼ぶにふさわしかった。しかし、それでも船長としてはかなり物足りなさそうだった。個人的にも初めてのティップランは、テクニカルな釣りっぽいなと言う事はわかったが、それ以上を確かめるほど釣りが出来なかったのが心残り。近いうちの再戦を心に決めてこの日は竿を納めた。
今回利用した釣り船
出船データ
料金:午後船のみ7,000円(氷付き)※女性・子供割引有
集合時間:13時00分(船着き場)
出船時間:13時30分頃、沖上がり:18時頃
※季節により変動あり(予約時確認のこと)