2016年12月01日公開
今年もヒラメの冬が来た。11月1日から解禁となった茨城県・鹿島沖エリア。解禁直後は竿頭21匹という驚きの釣果を叩き出し、以降、ツ抜け(2桁)釣果も珍しくない高位安定傾向を見せている。12月1日の全面解禁を待ち切れず、11月17日、茨城県・鹿島港『幸栄丸』に出掛けた。
集合1時間前から大盛況!
『幸栄丸』の集合時間は午前5時。逸る気持ちで1時間前に鹿島旧港へ到着したが、駐車場は集合時間を間違えたかと思うほどの大盛況。船着場の桟橋脇にある舟形板から希望の座席番号を取って受け付けへ。車から釣り具を降ろして、桟橋脇でクーラーに氷を入れて貰い乗船。『幸栄丸』はこの一連の流れが、元気で手際の良いスタッフさんたちのアシストによって非常にスムーズで滞りがない。ヒラメ船は2隻出しとなった取材日。右舷7人、左舷6人の非常にゆったりとした釣り座で、定刻の5時30分、「第7幸栄丸」は出船した。
朝イチ、ピンチと思いきや…
穏やかな海を走ること30分弱。「昨日、良く釣れた」(船長)と言う鹿島沖の水深15mのポイントに到着。上乗りさんによって餌の活きイワシが配られ、この日の釣りはスタートした。期待の1投目。通常なら、ここで誰かしらの竿が曲がるのだが、その気配はない。一同「?」で釣っていると、程なくして左舷の座間光徳さん(三浦市)が船中1匹目を上げた。「こんなサイズですけど…」と謙遜する座間さんだったが、1匹出たことで船中には安堵とヤル気が波及した。
船が集まり過ぎて状況が芳しくないと判断した梅林船長。船を水深9mの釣り場に移しての2流し目、船上の雰囲気は一変する。右舷胴の間(中央)で竿を出していた田中美由紀さん(横浜市)を皮切りに、1.5kgほどの食べ頃サイズがポンポンと釣れ始め、船長の英断は見事に実を結んだ。やがて3kg超えの良型も上がり、ますます心地よい緊張感と期待感が船上に漲った。
この釣り場のポテンシャルは特筆!
この日の釣りを見ていて感じるのは、セオリー通りの釣りをしていれば本当に良く釣れるということ。道糸を必要以上に細くしたり、始終誘いを掛けなくても、タナ取りさえしっかりやっていれば置き竿でも充分にアタリがあった。時々交じる驚きのサイズのメバルや、外海の潮で鍛えられたマゴチ、豪快な走りのワラサなど、“ゲスト”フィッシュも魅力だ。もし、首都圏からプチ遠征でこの釣り場を訪れる釣り師がいたら、いつものヒラメ釣りよりおおらかな気持ちで、ゆったり構えてヒラメ釣りを楽しむことをお勧めしたい。そういう旧来のヒラメ釣りのスタイルが、このエリアの魚には向いているように見受けられた。
ベテランは勿論、入門にも最適
この日の竿頭は9匹を釣った津郷裕之さん(印旛郡)。「ここは数が釣れて面白い」と今季初のヒラメ釣りに満足げだ。梅林将人船長に、この日の釣りと今シーズンのヒラメについて聞くと、「今年の釣れ具合は平年並みで、竿頭9匹くらいは平均的な釣果。水温が下がれば潮も澄んで、ヒラメも身が厚くなってくる。港前にイワシが固まって来るこれからは更に楽しみ」と言う。
『幸栄丸』では、操船する船長の他に、餌の補充や取り込みの手伝いは勿論、餌付けや釣り方の指南まで手取り足取り面倒を見てくれる“上乗りさん”が常に乗船する。ここは魚が素直で、何より数が釣れるので、ヒラメ入門者でもタナ取り、アワセ、取り込み、活き締めの基本がしっかり体得できる筈だ。下船後は、昼食を取っている間にエンガワまで綺麗に解体してパックしてくれる“5枚おろしサービス”(有料)もあり、ビギナーは勿論、数を釣るベテランにも大人気。
最盛期はまさにこれから!
連日好調な釣果を維持したまま、大型魚が期待できる北部エリアの解禁を12月1日に迎える鹿島地区。冬が深まるにつれ、脂肪を蓄えながらも身が締まり、釣り味も味覚も一段と増す“寒ビラメ”のベストシーズンはまさにこれから。寒さや海況が厳しくなるこの時期こそ、スタッフの気配りと釣れる魚のウブさが温かい鹿島港『幸栄丸』のヒラメを、冬の釣りもの候補にぜひお勧めしたい。
今回利用した釣り船
出船データ
乗船料金:1万2,000円(餌・氷付き)
集合5:00 出船5:30
貸し道具あり
この記事を書いたライター
6歳から釣りに親しみ、海・川・釣堀・湖のルアー・フライ・餌釣りに節操なくのめり込む釣り好き。2019年JGFA沖釣りサーキット・総合優勝/2010年JGFAオールジャパンゲームフィッシングコンテスト・マダイの部・優勝(10.2kg)…他