2016年12月01日公開
関東近県で楽しめる大型魚ワラサ。その引きの強さは格別、多くの釣り人がこの季節を待ちわびている。しかし、今年は開幕が例年になく遅かった。相模湾のワラサのA級ポイントとして有名な初島周りも同様であり、中々「ワラサ釣れ出す」の報が聞けなかった。10月中旬になり、“模様”が出始めた。しかも遅れたせいか全般にデカイとの事。いてもたってもいられずに、11月13日、静岡県・網代港『つちそう丸』へと車を走らせた。
ワラサフィーバーは、もはや晩秋の風物詩!
ワラサとはブリの若魚。ブリはワカシ→イナダ→ワラサ→ブリと呼び名が変わる“出世魚”である。若魚と言っても60~80cmのサイズ、その引きの強さは格別。ワラサが釣れ始めると、各港に多くの釣り人が集まり、釣り場には大船団が形成される。関東圏では晩夏から晩秋にかけての風物詩と言ってもよいだろう。
駐車場は船着場の目の前
『つちそう丸』がある網代港は、ワラサの好釣り場として知られる初島沖のお膝元であり、東京からも比較的アクセスがよい。集合は午前5時半。午前4時前に東京・多摩地区の自宅を出発しても十分に間に合った。小田原厚木道路から西湘バイパスに乗り継ぎ、板橋ICを下り、熱海を通過して45分ほど。国道135号線沿いの「海上釣堀・太公望」を目印にすると分かりやすい。集合は船着場に直接となるが、駐車場は船の目の前なので荷物運びが苦にならない。
午前6時半の仕掛け投入を前にワラサ船団形成
集合時間の午前5時半。ワラサ人気を裏付けるように、総勢12人が受付に並んだ。餌、氷などの積み込みを終了し、定刻の午前6時、土屋旬船長操船で舫いが解かれた。勿論、目指すは初島沖だ。お膝元だけにポイントまでは僅か10数分と近い。振り返ると、薄暗い中に熱海温泉街の明るい街並みが見える。“協定”により仕掛け投入が午前6時半と決められているので、暫しその時を待つ。そうこうしている間に周りには多くの船が集まり、ワラサ船団が形成された。
指示ダナは底から10m。全員で守ることが重要!
定刻の午前6時半、ワラサ大船団から一斉に仕掛けが投入された。水深は80mほど。船長からの指示ダナは海底から10m。底立ちを取ったら仕掛けを3mほど上げ、そこからコマセ撒きスタート。ゆっくりと大きく竿をしゃくり、3、4回に分けて指示ダナまでコマセを撒き分ける。船長からの指示ダナは絶対! 船全体のチームワークが重要で、1人でも指示ダナを守らないと、全体が釣れなくなることも多々あるので注意!! 付け餌は船宿から配られる大き目のオキアミを、1匹掛けか2匹を抱き合わせにする。食いが立っているときなどは“特餌”としてイカの短冊なども効果があるそうだ。
最初の1匹は噂通りの良型!
ワラサは朝イチに食いが立つことが多いが、スタートから10分後、最初のアタリ。船長の「乗ったー!」の声と共に、左舷胴の間(中央)で竿先が引き込まれた。明らかに大型のワラサであることを確信させる力強い引き。『つちそう丸』では、上乗りさんが2人同船している。しかも1人は土屋通大船長。コマセの撒き方の指導から始まり、魚がかかるとドラグの調整、そして魚が上がってくると、素早く手繰ってタモ入れをしてくれる。勿論、オマツリの時などはすぐにサポートしてくれる。最初の1匹は全長70cmを超える5kg級、鮮魚店やスーパーなら“ブリ”と呼ばれるサイズである。
3人が同時ヒット!
「続けざまに…」と期待したが、この日のワラサは若干ご機嫌斜め。魚探反応はビッシリ出ているものの、魚が口を使ってくれないままひと流しを終了。潮の流れが十分でないと判断した船長は、次のポイントへと10分ほど移動。これが吉と出た。3人同時にヒット!! 大きく竿が弓なりにしなる程の力強い引き。デップリと重量感のあるワラサが立て続けに上がった。今度こそ「立て続けにフィーバーだろう」と期待したが、何とこれがこの日のクライマックスとなってしまった。
とにかくサイズがデカイ!
その後船長は、釣り場を替え、指示ダナを替えたり試行錯誤を繰り返したが、“フィーバータイム”は訪ずれず、トップ2匹で終了となってしまった。
連日の好釣果を考えると残念ではあったが、釣り上げられたワラサのサイズから、十分にそのポテンシャルを確かめることが出来た。沖上がり後、再訪への思いをゆっくりと日帰り温泉につかりながら考えようと熱海温泉へと向かった。
今回利用した釣り船
出船データ
料金:午前船1万4,000円、午後船1万3,000円(共に餌・氷付き)
時間:午前船…5時30分集合6時00分出船11時過ぎ沖上がり、午後船…12時集合12時30分出船日没沖上がり
※集合は船着場に直接。釣り座は船長が指示。