2017年01月01日公開
海水温低下が緩やかなことから、「今年は海が遅れている」といった話を耳にする。通常、晩秋にトップシーズンを迎えるカワハギ釣りも、12月になってからトップシーズンの扉が開いた感がある。年末、連日好釣果が記録され出した神奈川県・久比里『巳之助丸』を訪れた。
佐原ICで降りればルートは簡単
横浜横須賀道路を佐原ICで降り、料金所を過ぎたら信号を左折。その先、2つ目の信号を右折する。道なりに暫く進み、踏切を過ぎて2つ目の信号を左折、直進すると夫婦橋だ。橋を渡ってすぐ左に『巳之助丸』。右折して、2番目の入口を右折すると駐車場だ。
トップシーズンに合わせたタックル
リール、ラインは周年通して同じで構わないが、シーズンの移ろいと共に、竿のチョイスには気を遣いたいところだ。オモリは30号。水深が浅くても20m台、深いと40m近くを釣ることになり、潮の流れが速い剣崎沖を攻めることもあるトップシーズン。カワハギ竿の中でも、硬調なものがベターな選択となる。勿論、軟らか目の竿でも釣れないことはないが、水深による抵抗、それに加味して潮の流れがある場合は、それらに負けずに仕掛けをハンドリングできるパワー=硬さがある竿が望ましい。もう一つ、トップシーズンには、硬調竿有利を裏付ける要素があるのだが、それは後述する。
最良の剥き身が用意してある
カワハギ釣りの代表的な餌は、アサリの剥き身だが、『巳之助丸』では、女将さんを始めとしてスタッフ皆で、殻付きアサリを剥いて用意しておいてくれる。アサリの剥き身が入る袋の中は、良い塩梅の餌ばかりだ。軟らかな餌が有利な時はそのままで。食いが立ち、よく餌が取られるようなら塩などで〆て使うとベストだ。
先ずは近場のポイントを攻めた
13人の釣り人を乗せた「第二十一巳之助丸」は、やや北風の強い中、久里浜湾を出て北上、風裏となる鴨居沖からスタートした。開始早々は潮が速く、“コッパ”と呼ばれる小型カワハギが顔を出す。“コッパ”は小回りな泳ぎをしながらの餌取りは上手いが、遊泳力はあまりなく、速い潮の中、アタリはまばらなようだ。
潮が緩み出し、アタリが頻繁に!
開始1時間が過ぎ、段々と潮の流れが緩くなって来た。それに伴いアタリも増え出し、船中あちらこちらで竿が曲がり始めた。船の下には“コッパ”が群れているようで、その群れに当たると、着底直後にアタリはあるが、そのアクロバティックともいえる泳ぎと、超小型のおちょぼ口で、餌を千切り取りながら、3本のハリをツルテン(餌が全くない状態)にしてゆく。これが実に悔しいのだが、こんな場面を面白みに転化させてしまうのがカワハギ釣り。その“カワハギ地獄”を目の当たりにし、冬の船上で大の大人が熱くなる。
“コッパ”攻略法
カワハギ釣りのトップシーズンには、“コッパ”が出てくるのが一つの特徴だが、ここで“硬い竿が有利”のもう一つの理由を説明しよう。“コッパ”は、海中で真っ直ぐに立っている。幹糸の周りをクルッと回る回転半径も小さければ、縦横無尽に敏捷に泳ぐことが出来、小さな口と相まって、それだけ餌取りが巧みだ。したがって、一生懸命釣っていても、気配が無いのに“ツルテン”何て言うことも珍しくない。
また、口だけではなく、口の中も狭い為、餌を千切っては口の中に入れ、違和感があれば、一緒に口の中に入ったハリなどを吐き出しては、餌だけまた食べるなどという芸当をするので、餌が口の中に入っている時間がごく短い。こんな場面で軟らかな竿を使っていては、アタリがあって直ぐに合わせを入れたとしても、アタリを“目感度”や“手感度”で認識し、脳が「アタリがあったので合わせを入れよう!」と、腕に信号を送り、腕が動き、竿が曲がり、ハリが動くまでの時間が掛かってしまう。その点軟らかい竿より硬い竿の方が、曲がりが少ない分タイムラグが少なく、“コッパ”釣りには非常に好都合となる。
肝をもっと美味しく
「肝和え」や「肝醤油」、はたまた煮付けの最後にサッと煮上げても乙なカワハギの肝だが、持ち帰り方を工夫すると更に上等な食材となる。釣り上げたらエラを切り、バケツで泳がせて血抜きをした後、ツノの後ろをカット、そこから皮を剥ぎ、肝を取り出す。取り出した肝は、苦玉を取り除き、ジップロックに予め用意しておいた日本酒に入れ、空気を抜くようにジップを閉じ、密封容器に入れてクーラーに。こうすれば一段と美味い肝料理が味わえる。
大型を求め剣崎沖へ!
“コッパ”は十分に釣れたので、大型を求めて剣崎沖に移動した。剣崎沖は、“根”が林立しているポイントが多く、潮も速い為に筋肉質で引きのよいカワハギが多い。根掛かりに注意しながら、オモリで根をコンタクトしながらの“根歩き”をしながら、カワハギのアタリを探す。
小型程掛けるのが難しい
大型カワハギを釣り上げる確率を上げるために、“動かさない”という釣り方がある。“コッパ”と違い緩慢な動きの大型ならではの釣り方だ。“コッパ”が幼稚園児、大型が力士に見立てれば、ちょこちょこと走りまわる幼稚園児の方がすばしっこく、力士の動きは緩慢だ。そして極小のおちょぼ口なので、“尺ハギ”も価値があるが、いかに“コッパ”を数釣るかも、カワハギ釣り師の腕の見せ所。
この日の竿頭は42匹、次頭は33匹、私は取材の傍ら32匹のカワハギを釣り上げることが出来た。カワハギシーズン真っ只中、冬の海で是非熱くなられてみてはいかがだろう。
今回利用した釣り船
出船データ
カワハギ:料金8,700円(殻付きアサリ付き)アサリの剥き身 800円 7:30時出船
アジ:料金8,700円(鰯のミンチ、青イソメ、赤タン付き)7:00出船
アマダイ:料金8,700円(オキアミ付き)7:30出船
氷:100円
※ポイントカード有り
※駐車場有り