2017年03月15日公開
年明けからボツボツと釣れ出した今シーズンのマルイカ(小型ケンサキイカ)。シーズン初期は、水深が深いものの魚群探知機には“巨大反応”が幾つも映し出されているとの情報をキャッチした。情報を頼りに神奈川県・葉山鐙摺港『たいぞう丸』を訪れた。
逗子駅で降り10分余り
『たいぞう丸』に向かうには、カーナビに「神奈川県三浦郡葉山町堀内39-2」と入力すると良い。横浜横須賀道路を利用の場合は逗子ICで降り、10分余り走れば到着する。途中にはコンビニもある。鐙摺港沿いの道路に船宿が並んでおり、その真ん中付近が、『たいぞう丸』だ。駐車場には誘導係がいるので、船宿名を告げ、指示された場所に駐車する。
船宿に貼ってある釣り座表に書き込む
出船1時間前から船宿が開くが、その前に到着したら、船宿の戸に貼ってある釣り座表に希望の場所を書き込む。HPにはサービス券があり、支払い時に割引が受けられるのでプリントアウトして持参するといい。船宿が開いたら受け付けを済ませ、裏手に舫ってある「第二十三たいぞう丸」に乗り込む。
電動か手巻きか?
初期のマルイカ釣りは、水深100m前後を攻めることになり、電動リールが便利だが、手巻きリールも捨てがたい。ポイント移動の合図の後、マルイカが掛かっていない、いわゆる「空巻き」では、電動リールに軍配が上がるが、繊細なアタリを創り出して掛けることを考えると、手巻きリールに分がある。マルイカ釣りの動作に「タタキ」があるが、電動リールのコードや尻手ロープが邪魔をしてしまい、1日中キビキビとしたタタキ動作を続けるには、軽量の小型ベイトリールが非常にやり易い。
スッテ、シンカーにもこだわりが
マルイカ釣りには、カラフルな“スッテ”を用いるが、近年のトレンドは小型であることと、糸や布が巻いていないハダカタイプとなる。また、カンナの線径を細くして数を増やし、更にはテフロンコーティングを施して、より刺さりの良い物も登場している。そして、速く仕掛けを落としたいマルイカ釣りでは、比重の大きいタングステン製のシンカーにアドバンテージがある。高価ではあるが揃えたい。
着乗りはゼロテンションで!
南の強風の後は北風の吹き返しが繰り返された早春、この日はナギに恵まれた。8人の釣り人を乗せた「第二十三たいぞう丸」は定刻に出船、港を出ると南下、定置網周りをくまなく捜索して行く。スローな船足からギアが抜ける感触、直後、船の行き足を止めるゴースタンのエンジン音、船長からの開始の合図が出た。
シンカーを前方に投げ、海面に吸い込まれて行くラインのマーカーに目を落とす。軽いサミングは、深度と共にラインの放出が遅くなって行くのを教えてくれる。90mで着底、即座にゼロテンション。微細なアタリに瞬間的に合わせを入れると「乗った!!」。その重さに思わず頬が緩む。
「魚のような反応」に苦戦
中盤に差しかかる頃、「反応の移動が速く、すぐ消えちゃうよ~。まるで魚のように泳いでる」とは船長からのアナウンス。船長はソナーで群れの泳ぎ行く方向を見定め、その先へと、至極丁寧な操船で反応にぶつけてくれる。
反応はあるが乗らない!?
中盤、「反応が出っ放しなんだけど…、誰も乗らない? おかしいなぁ…」と船長。それではと、カメラをロッドに持ち替えてみた。シンカー着底後、ゼロテンション。直後にトップガイドを僅かに押さえ込むアタリが出て、乗った。上げてくるとヤリイカだったが、すぐにイカを外し再投入、しかし着乗りはなし…。「反応があっても乗らないのだから、食欲ではなくリアクション(反射)だろう」と、激しくタタキを入れた後にゼロテンション。軟らかな穂先のトップガイドをフッと持ち上げるアタリで掛けた。
リアクションバイトを誘発させる
次の流しでも反応はあるが乗らない。右舷胴の間(中央)で、再度竿を手にしてみた。着乗りが無い事を確認し、底を切りリセット。海面がラインで泡立つ位に激しく叩いてピタッとゼロテンションで止める。トップガイド半個分が押さえ込まれるようなアタリを掛けに行き、この流しは4連チャンとなった。
さらに活性が落ちて行く中での一手
次の流しも同様、反応はあるが、イカが触ってこない様相が続いた。私も竿を出してみるが、やはりアタリは無い。そこで、流し替えての次の投入までに、メタル製のスッテを仕掛けの中ほどに入れ、タタキ動作でのスッテの横の動きを演出してみた。すると3連チャン、内1回はダブルで上がって来た。でも、時間と共にさらにアタリが出なくなったところで、直結仕掛けを直ブラに替えてよりスッテの動きを演出し、1杯、また1杯と掛けて行った。また、タタキ動作でスナップが開いてしまい、高価なシンカーが脱落してしまうことがあるが、スプリットリングを使うことによって解消できる。
今後の展開が大いに楽しみなマルイカ
この日、トップは16杯の釣果だったが、私は13杯と、小1時間の釣りではあったが、先の攻略法が見事に嵌った格好となった。ここで攻略のキーとなったのは、猫が猫じゃらしに興味を持つような反射=リアクションをスッテの動きに与えることと、微細なアタリを目感度で捉えられる柔軟な穂先、アタリをリニアに伝える高品質の極細PEライン、アタリを創りだすゼロテンションの精度だと言い切ることが出来る。今後マルイカは、海水温の上昇と共に浅場へと移動し、トップシーズンへと近づいて行く。繊細なテクニカル系の好敵手マルイカ、その食味は絶品である。
今回利用した釣り船
出船データ
料金:マルイカ船 9,500円 サービス券・女性、子供割引あり(氷300円)
出船:午前7時
貸道具:あり(電動は有料)
駐車場:無料