2017年03月15日公開
ここ数年人気急上昇、今や瀬戸内の冬の風物詩となってきた“マダイサビキ”。やった事はなくとも聞いた事はある釣り人も少なくないだろう。私もそんな一人だった。そして今回、岡山県倉敷市児島の琴浦港から出船している『凱丸(カイマル)』に乗船、私は「やった事がある人」になった。
西日本エリア拡大中!
今年も大盛況だったフィッシングショーOSAKA。私は釣りビジョンブースで1度やってみたかった“マダイサビキ”の有力情報を入手。そして不安無く乗船打ち合わせを済ませ、児島『凱丸(カイマル)』へ向かった。三好勝己船長には予めこの釣りはやったことがないことを正直に話し、ポイントまでの約1時間はコツなどをみっちりレクチャーしてもらって期待に胸が膨らんだ。
今回は短ハリスのチョクリ(チョグリ)仕掛け!
“マダイサビキ”といえば、ゆっくり巻くだけというイメージが先行するが、今回は同船した釣り人4人全員が「チョクリ」または「チョグリ」と呼ばれる“マダイサビキ”でも短ハリス仕掛けでやるという。どうやら竿でサビく釣り方のようだ。私は初めての釣りだけに、まずは見学させてもらうことにした。この方法、実は意外と釣果へ結びつく近道なのだ。
まずは仕掛をセット、全長17m程の8本バリ仕掛けを道糸にスナップで連結。そしてその仕掛けを海に突き出た形で取り付けてあるフック(フックの間隔は1m程)へ巻いていき、最後に40号のオモリを付けてセット完了。その段取りが出来たのを見計らった船長はポイントへ旋回、船長の合図と共にそのフックにかけた仕掛けを解きながら投入してスタートとなる。通常“マダイサビキ”の仕掛けといえばハリス(エダス)は40cm程だが、チョクリ仕掛けは10cm前後。そうなるとハリをマグネットに付けながら仕掛けをスタンバイするより、船縁のフックに巻いてスタンバイする方が短ハリスを有効活用したトラブルレスという説明を下さったのは私の隣で竿を出していた伊藤政樹さん。
すごい反応に思わずビックリ!しかし…
『凱丸』では、4m前後のメバル用、オモリ負荷30~40号の船竿(出来れば中通し)に、道糸はPE1.5を推奨している。ここで気になったのが竿の長さだ。食い込み等を考えても妥当な竿ではあるが、チョクリ仕掛けは「ゆっくり上げて…ストンッ!」と仕掛けを落とすのを繰り返す釣り。短竿では誘いきれないということのようだ。また、慣れてくると誘いにアレンジを加えるのも有効だと船長。
始めのポイントは小豆島・北東エリアの“小磯”周り。既に船団がで出来始めている。そして船長の合図で仕掛けを投入。水深約40m。底から20m位の間に凄い魚探反応だ。そして「ゆっくり上げて…ストンッ!」を繰り返しながら、少しずつ巻いて反応の上の方まで探り、また底を取り直していくのだが…反応に似合わずアタリが出ない。周りでは普通のサビキ仕掛けで狙う船が目立っていたが、サビキ仕掛けの方もパッとしてなかった。
そもそも“マダイサビキ”とは…
話は前後するが…ポイントへ向かう道中、私は船長へ素朴な疑問を投げかけた。「この季節の“マダイサビキ”は越冬でじっとしているマダイの口元へサビキをチラつかせ、思わず口を使わせる釣りですか?」。答えは”NO”だった。そして船長はこう言った。「この季節、小豆島の周りではイカナゴ等の稚魚の群れが溜まる箇所がいくつもあり、そこへマダイが付く。その食物連鎖に合った仕掛けがサビキです」。さらに船長はノーマルなサビキと攻めのチョクリで使い分ければ良いという。これを越冬という言い方も出来るだろうが、越冬=じっとしているという訳ではないようだ。
ポイント移動で初ヒット!そして醍醐味の“連掛け”!
好反応の小磯周辺だがアタリがない。そこで船長は「少し移動します」とアナウンス。小磯から小豆島本島に近い金ヶ崎付近で流し直し。船はまばらだが魚探反応は良い。水深も似た感じ。すると左舷ミヨシ(船首)で竿を出していた南雅人さんから「来たよぉ!。大きくないね」と声が掛かって船中初ヒット。慎重に上げてきた魚は25~30cmの綺麗なマダイが“連”だ!小型でもマダイ。そして“連掛け”となると周りも活気付く。そして何やら騒ついている。掛かったサビキの色が何色かを聞いている。巻くだけ、誘うだけではない、色も重要だ。南雅人さんはピンクに来たという。しかし、ここからが悩みどころ。ピンク系に合わせるか、続行するかだ。悩むヒマはないのか?続けざまに南雅人さんが連続ヒット!単発だが30cmを超えている。そこへ右舷ミヨシで竿を出す佐上実さんの竿が大きく曲がった!マダイ特有の竿を大きく叩く引きに私もクギ付け。上がってきたのは40cm級と35cm級の綺麗なマダイ!
そしてグリーンとイエローに食ってきたものだから困ったものだ…船上は「どの色?どの色?」と上ずる声が飛び交っている「あなたならどうする?」状態だ。そこにきて静かに釣っていた伊藤政樹さんの竿がさらに大きく曲がった!
そして上げてくる最中、船長は横で「ピンクに替えた1投目だ!」と言っている。慎重にやり取りしながら上がってきたのは良型だ。タモに収まり一安心。55cmクラスの綺麗なマダイ(巻頭写真)だった。
“サビキマダイ”で初ゲット!
良型に船内の活性も一気に上がったがアタリは続かない。船長は、金ヶ崎周りから少し南の水ノ子礁へ移動したが魚探反応が薄く一気に南下、小豆島南東に位置する風の子島(ふのこじま)へ向かった。
そして私はここから竿を出した。因みに色はピンク交じりの仕掛け。始めは長い仕掛けに戸惑いもあった。しかし、仕掛け回収後の船縁へ巻きつけるスタイルも理にかなっており楽だった。そして誘い等のアクションも目に焼き付いていたので見よう見まね。一言付け加えるとすれば、仕掛けをストンと下ろす際、誘い上げた竿を一気に振り降ろすような感じでやるとスムーズに行えた。そしてミヨシでは佐上実さんが良型のメバルを“連”で掛けていた。実は金ヶ崎のポイントでは南雅人さんもメバルを掛けていたのだが、サイズが全く違っていた。良型のメバルを見て羨ましがっていた南雅人さんだったが、その直後にマダイがヒット!40cmクラスのナイスなマダイだった。
そして私は黙々と誘いを入れていたところ、道糸に流れ藻がかかってしまう。私は藻を取ろうと底を切り、糸が張った状態で藻を外そうと竿を右左。そして藻が外れ、仕掛けを落とそうとしたところへ“コツン”と違和感。「ん?」と思うもクラッチを切り、すぐに着底したところで“コツコツ”。ゆっくり上げて来たのは小型のマダイだった。その直後、今度は着底してすぐ、誘いを入れだした途端にアタリ。特に合わせは入れず、“巻き合わせ”がこの釣りの基本。これに慣れない私は内心ハラハラしつつもマダイ特有の引きを堪能、そして無事船長に掬ってもらいキャッチ出来たのは40cmに少し届かないものの、体高のある綺麗なマダイだった。
満場一致で延長戦!
そして冬の午後というような太陽、「そろそろ終わる頃だろう」と思っていた矢先、皆で何やら相談していた。すると船長が「時間に余裕があれば帰りながらランガンスタイルで延長戦をしますけど、どうですか?」。全員が即OK!ここでは、この日に限らず“満場一致”であれば“延長戦”は可能だという。逆に天候急変での早上がりも“満場一致”なら行うそうだ。要は釣り人が良ければ「融通を利かせてます。私も釣り人ですから」と船長。『また乗りたくなる遊漁船!』をスローガンにしているのも納得だ。さらにはハンデキャップをお持ちの人への乗船も積極的にアピールしている。これは船長がヨットマン時代に”ブラインドセーリング”というものを知った事から来ているようだ。
延長戦の行方だが…小豆島南岸を下津井沖辺りまで回ったが、魚探反応は薄く、数ヶ所を一流し、二流し程度で回ったものの、釣果には恵まれなかった。しかし、ここまでしてもらうと悔いはない。
Xデーは近い!
この“マダイサビキ”、何と言ってもマダイの“連掛け”が醍醐味だが、Xデーと呼ばれる大爆釣の日があるという。時には、良型マダイが3連にスズキが“連”で掛かって凄いことになるという。そこまではなくとも、良型マダイの鈴鳴りも珍しくないのが小豆島の“マダイサビキ”だ。この記事が出る頃には一気に釣果が上向いてきているかもしれない。
レンタルタックルや仕掛けも充実、手ぶらで出掛けてもOKだ。また少人数での乗り合いが可能な『凱丸』。少人数ゆえに周りに気遣いすることも無く、親子やご夫婦、カップルでのデート感覚な乗船はもちろん、女性2、3人のグループでも安心だ。さらには小規模(5、6人)でも”仕立て”られるのも『凱丸』ならでは。気兼ねなく釣りが出来、素晴らしい瀬戸内のロケーションも堪能出来ること請け合いだ。
今回利用した釣り船
〒711-0906 岡山県倉敷市児島下の町9-17-17 「オーシャンビュー倉敷」前の桟橋
TEL:090-4149-0059
定休日:なし※時化の他、濃霧時も休船する場合があります 釣果・施設情報 KAIMARU・凱丸 ホームページ
出船データ
交通:瀬戸中央自動車道児島ICから約10分。国道430号線 堀江団地口を南へ、 突き当りを右折、10m走って直ぐ左折、琴浦港を左に見ながら、200m進み、 オーシャンビュー倉敷の東側
出船時間:季節により異なる他、乗船者との打ち合わせの上で決める場合もあります