2017年04月01日公開
当て字で“春告魚”と書かれるメバル。メバルは色によってシロ、クロ、アカと分けられるが、三浦半島の南端では黄金に輝く“黄金メバル”が釣れるらしい。黄金?およそ想像がつきにくいが一目見てみたく、イワシ餌で“黄金メバル”の高い実績を誇る神奈川・宮川港『二宮丸』に出掛けた。
三浦半島の南端に位置する宮川港
宮川港は三浦半島の南端に位置している。横浜横須賀道路・衣笠ICを下り、三浦縦貫道路の終点、林ICから三崎方面に向かう。城ヶ島を目指して進み、城ヶ島大橋手前を左折して2、3分。高くそびえる2本の風車の手前に橋がある。港はその橋の下だ。衣笠ICから20分程。
黄金色に輝く魚体
今回狙う“黄金メバル”はクロメバルに近いと思われるが、『二宮丸』の宮川剛船長の話ではクロメバルが居着きなのに対し、“黄金メバル”は回遊してくるそうだ。確かに、同じポイントで“クロ”と“黄金”が両方釣れていたので別の種類? なのだろうか。
宮川沖一帯がメバルの好釣り場
『二宮丸』は、夏のキハダ釣りで有名な船宿で、基本は仕立船である。釣行当日も会社の釣り部仲間で仕立て予約をされていた。集合時間の午前6時、まだ辺りは薄暗い中、釣り人8人が船のすぐそばの駐車場に集まっていた。船長から“イワシメバル”の釣り方を教わり、いざ出船。目指すポイントは港からほんの数分の宮川沖。水深は20m程度。宮川沖から松輪沖にかけての一帯がメバルの好釣り場となっている。
餌を弱らせないように
極細の胴付き仕掛けでカタクチイワシを泳がせて狙う。メバルは非常に目のいい魚なので仕掛けは細いに越したことはない。そして釣果を左右する80%は餌のイワシの付け方だそうだ。下アゴから鼻にかけてハリを抜く。釣具店に行くとエビメバルとイワシメバルと2つの仕掛けがある。ヤマメバリを使うイワシメバル用のハリはイワシが弱くなりにくい軽さになっているので間違えずに購入したい。そして重要なのは餌を毎回交換すること。ここで面倒がっては釣果に結び付かない。とにかく肝は餌のカタクチイワシを気持ちよく泳がせる事だ。
急な合わせは厳禁!ゆっくりと向こう合わせ
2本あるハリの下バリにまずイワシを付け、すぐ海水に泳がし、上のハリにイワシを付けていざ投入。底を取ったらゆっくりと誘いを入れる。カタクチイワシとはいえ、それなりの大きさがあるので、最初のアタリですぐ合わせるのはNG。アタリが来たら聞き合わせでゆっくりと竿を上げる。するとメバルが餌を咥えて下に走って“本掛かり”する。慌てないでゆっくりと向こう合わせで良い。そのためにはやはり食い込みのいい軟らかい竿がいい。
28cmの“黄金メバル”
港の目の前がポイントなので、スタート時はまだ日が昇りきっていない。この時間帯が一番のチャンスだ。目のいいメバル。朝の薄暗い状況がアタリも多い。この日も早々にアタリが来た。船中で1匹ずつではあるがメバルが上がっていく。この日は最初クロメバルが多く、中々“黄金メバル”が上がらない。最初の1匹は午前7時丁度だった。右舷胴の間(中央)の女性アングラーの竿に力強い引き。上がって来たのは尺には僅かながら及ばない28cmの堂々のサイズ。その魚体は聞いていた通りに黄金に輝いていた。まさに“黄金メバル”だ。
急な海水温低下が…
その後もポツポツとアタリはある。左舷ミヨシ(船首)では“クロ”と“黄金”の一荷(2匹)も。しかし、これでも普段の“サービスタイム”には遠く及ばないそうだ。この日は週初めに春特有の濁り潮が入り、海水温が一気に12度台前半まで急降下。潮の濁りは目のいいメバルにとって好条件なのだが、急に冷えてしまった海水温ばかりはどうにもならない。アタリがいつもよりも少ないことを気にして船長は、海水温の高い場所を探してポイントを移動した。
豊富なゲスト
新鮮なイワシを使っているだけに “本命”以外にも様々な魚が釣れて来る。“定番”はカサゴ。この日は“本命”メバルをも凌ぐ数が上がっていた。驚いたのがヤリイカ。ヤリイカは深場の釣り物の印象があるが、冬から初春にかけて産卵のために浅場に来るそうだ。驚きはあったが嬉しいゲストに船上が沸いた。
“主役”はメバルからカサゴに
朝の“サービスタイム”が終わると、“主役”が完全にメバルからカサゴへバトンタッチ。メバルは交じる程度となり、コンスタントにアタリを出すのはカサゴ。この日の扱いは“ゲスト”だが、“主役”で船を出す船宿も数多くある魚だ。カサゴも餌がイワシと言う事もあり、サイズも良型ばかり。引きも格別だ。船中皆が一様にカサゴとのやり取りを楽しんでこの日は納竿となった。
これからロングランで!!
“春告魚”とはいえ、まだまだ冬の潮と春の潮がせめぎ合うこの時期は、潮の流れ次第で釣果にムラがあるのも否めない。しかし、これから4月、5月と潮が安定するとメバル、カサゴ共に最高潮を迎える。実はこのエリアの“黄金メバル”の盛期は入梅の時期とか。まだまだロングランで楽しめる。他では中々見ることのできない黄金色に輝く良型メバルとのやり取りを楽しみたい人はこれからがチャンス。『二宮丸』では、餌のイワシの入荷があるうちは船を出すとの事。是非チャレンジして頂きたい。
今回利用した釣り船
出船データ
(平日は予約乗り合いを出している場合があるので要問合せ)
(生き餌のイワシを使用しているので餌の入荷状況を要問合せ)
乗船料金:5人まで基本料金5万5,000円。(餌、氷付き) 以降1人増1万1,000円
集合:船着場へ6:00 沖上がり:13:30 (時間は季節ごとに変わるので電話で要確認