2017年04月15日公開
サクラの便りが聞かれる頃になると、関東近辺の海は春の気配となる。この頃釣れるマダイは“桜鯛”と呼ばれ、魚体をサクラ色に染めて産卵のため浅場に乗っ込んでくる。そんな“桜鯛”の「気配がでてきたよ」と千葉県・大原港『新幸丸』の山口新一船長からの情報に心を弾ませて出掛けた。すると、“満開”とはいかなかったものの2.5kg、2.3kg、2.2kg、2kg…と“中鯛”が上がり「爆釣近し!?」が感じられた。
釣り座はクジ引きで
釣友の野口壮一さんを誘って深夜、大原港『新幸丸』に向かって出発した。午前3時30分に待合所に着く。集合時間の4時には女性2人を含む14人が集まった。待合室に明かりが灯ると受け付け開始。釣り座は岸壁でクジ引きで決めるので、釣り人はゆったりしている。煌々と輝く『新幸丸』のライトの下、クジ引きで決まった釣り座に左右7人ずつ座った。私は右舷のトモ(船尾)から3番、釣友の野口さんが隣トモ寄り2番の座席で出船を待った。
タナ取りは小まめに入替えを!
漆黒の闇の中、水平線がわずかに大海原と空を切り分ける5時前、女将さんに送られ、山口新一船長の操船でポイントの岩船沖へ向かった。40分程走ったところでエンジンが止まり、若船長の山口大地さんがミヨシ(船首)からオレンジ色の浮き球の付いたシーアンカーを投入。シーアンカーが潮に馴染んでロープが張ると「やって下さい!48m!」と船長から合図が出た。配られた冷凍エビの尾羽を切って切り口から8号のテンヤの親バリを刺し入れ、孫バリを頭部に刺してテンヤを投入。スピニングリールから引っ張り出される道糸に神経を集中、テンヤが海底に着底するのを注意深く待つ。着底後、海底から1m位までを誘う。潮の流れでテンヤが吹き上がってしまったり、底の凸凹でテンヤが底から離れてしまっては釣れない。キモは仕掛けの入れ直しを小まめにする事だ。浮き上がりを防ぐと同時に、新しいポイントを探れ、オマツリ防止にもなる。
最初のマダイは女性に、そしてワラサも
トモで、ミヨシで、胴の間(中央)で、「当たらないね」、「何かコツと来たよ」、「あれ餌が無いよ」等の声が聞こえる。少し移動して水深60mラインで再スタート。釣り初めて40分程経った頃「来たー!」。左舷ミヨシから2番の中尾未来さんの竿がグイグイと引き込まれる。慎重なリーリングで若船長の差し出すタモに収まったのは、800g弱の正にサクラ色のマダイ。その20分後には又中尾さんの竿が大きく撓んだ。グイグイと竿先が海面に持ち込まれる。時間をかけて無事タモに収まったのはでっぷりと肥ったワラサだった。すると今度は私にもアタリ。大きく合わせをくれると重量感ある引き込み。だが、マダイ特有の“三段引き”がない。姿を見せたのは30cmほどの茶褐色に白い線の入ったマハタ、嬉しい“ゲスト”だがやはりサクラ色が欲しい。
“ゲスト”のワラサが乱舞
風と潮で船がポイントを外れ、流し直した8時過ぎ、右舷トモの服部勇さん、左舷トモ2番の芝原均さん、そして野口さんの3人に同時にアタリ。竿を撓ませたのはショゴ(カンパチの若魚)だった。ここで船長から「イワシが回って来たよ!タナを上げて」のアナウンス。イワシを追っかけてきたワラサが竿を絞り込む“戦場状態”になった。野口さんの「入れ直そうと巻いてきたら食っちゃた」を皮切りに、「うわー!こっちも」と深谷裕詞さん、ミヨシ寄りの小峰一浩さんにと同時に3、4人の竿が引き込まれ、左舷に右舷に船長、若船長がタモを持って大忙し。4~6kgのワラサが甲板で躍った。
本命の“桜鯛”が花を咲かす!
船中を賑わしたワラサが一段落した9時前、いつもはブラックバスを追いかけていると言う左舷胴の間の五十嵐誠さんの竿にアタリ。マダイ特有の“三段引き”が続く。海面に姿を見せたのは、文字通りサクラ色の綺麗なマダイ(検量2.2kg)。そして隣トモ寄りの佐藤保成さんがタイラバ仕掛けで2.3kgを取り込んだ。こちらも綺麗なサクラ色のマダイ。魚探に映っていた“魚影”が口を使い出したかと思いきや後が続かない、春のマダイはそう優しくない。
終盤に2.5kg!そして船釣り初めて女性にワラサが
又々ワラサが食い出した。船酔いで休んでいた右舷胴の間の千ケ崎雛奈さんが“復活”して間もなく一気に竿が持ち込まれた。「アッアッ」と必死にリールを巻くが中々巻けない。それでも竿を立てながらの必死のリーリング。しかし、あと少しというところで他の釣り人とオマツリして痛恨のバラシ。気を取り直して餌を付けて投入した竿先が直ぐに海面に突っ込んだ。若船長が跳んで来て竿を支えながら「巻いて、我慢して」のアドバイスに無事4kg級のワラサがタモに収まってニッコリ。連れの深谷さんは3kg級のヒラマサをゲットしてこちらもニッコリ。そして沖上がりが近くなった11時前、左舷の五十嵐さんの竿が大きく煽られた。船長の差し出すタモに収まったのはこの日の最大2.5kgのマダイ。ピンクの魚体にスカイブルーの斑点が美しく輝いていた。
これからが本番、“大鯛”ゲットのチャンス
「これからが本番、魚探にも魚影があるし、良型が狙えますよ。楽しみにしてください」と山口新一船長。取材の翌日には、3.5kg級が交じって船中10匹と“シーズン突入”を思わせる釣果も上がった。
今回利用した釣り船
出船データ
■午前船
時間:4時15分集合、準備が出来次第出船、11時頃沖上がり
料金:1万2,000円 氷・餌付き
■午後船
時間:11時半集合、12時00分出船、日没沖上がり
料金:1万1,500円 氷・餌付き(冬季は割引き)