2017年05月15日公開
静岡県・下田須崎港の『番匠高宮丸』では通常、新島沖の“ブランドキンメ”狙いで出船しているが、地元漁協が休み等の理由により協定で新島沖が“禁漁”となる日には、式根沖や伊豆大島沖狙いで出船する。前日、小澤長夫船長に出船確認の電話を入れると「式根海域は予報が悪いので、釣果のまとまる大島沖へ行ってみましょうヨ」と言われ、それが“吉”と出た!
大島沖のキンメ釣り場の特徴
『番匠高宮丸』が攻める大島沖のキンメ釣り場は、水深は220~300mと新島沖の400m前後の釣り場に比べると200m近くも浅い。新島沖で“ブランドキンメ”を釣る前に朝の数投だけ釣る事がある“石廊合わせ”に近い場所と言えば分かるだろうか。水深が浅いという事は潮の影響も受けにくく、それだけ魚のアタリも竿先に出やすいという事。大島沖は初心者にも楽しめる釣り場と言えよう。
午前2時半集合、揃い次第出船!
午前2時過ぎ、下田須崎港入口にある『番匠高宮丸』待合所の中にある黒板に名前を書き、ミヨシ(船首)から2番目の釣り座を確保。あとは港に移動して、船長の到着を待つ。暫くすると、軽トラで船長が到着。船を岸壁に回し、荷台の後ろに煌々と光るLEDライトがついたら準備開始の合図だ。ここでは通常、片舷(右舷)8人定員で出船している。出掛けたのはゴールデンウィーク中という事もあり8人満船で準備に取り掛かった。船長の軽トラには箱に入ったバラ氷があるため、各自出船前に氷をクーラーに適量入れて準備にとりかかる。大島沖までの航程は凡1時間30分。海が悪い時には竿をキーパーにロープなどでくくっておくとよい。ナギの場合は出船前に竿を起こしてキーパーにセットしておけば出船後に船長が竿を通常の位置にセットしてくれる。キンメ釣りが初めてで竿の無い人はレンタルタックルセットを頼んでおけば、船長や女将さんがセッティングまでしてくれるので安心だ。午前3時半過ぎ、少し準備に時間がかかったが大島に向けて出船。釣り場に着くまで爆釣を願いながら、ベッドで仮眠をとった。
1投目は浮いた反応を狙う!
午前5時過ぎ、大島沖に到着。「そろそろ着きますので、皆さん準備をして下さい」と船長からアナウンス。キャビンから出ると、予報よりも海は静かで大島の島影からは美しい朝日が出迎えてくれた。「そろそろ投入しますので、準備をして下さい。前から行きますよ」と船長。私は仕掛け8組付(15本バリ6組、20本バリ2組)のプランで乗船。船長が既に冶具に巻いてあるものをセットするだけなので手間取る事もない。黒いビニール袋から仕掛けを1組取り出し、黄色い色がついた捨て糸の輪に2kgの鉄筋オモリをセット、仕掛けの根元の透明な輪を道糸から伸びたクッションゴムにセットする。「いいですよ~、前からやって下さい」。船長の合図とともにミヨシの釣り人がオモリまで投入を終えるや否や自分の仕掛けを投入する。無事に仕掛けが投入出来きるか、いつも最初の1投はドキドキするものだ。大ドモ(船尾)の8人目まで投入が終わった頃に自分の仕掛けは着底した。すると、いきなりクンクンッと幸先良いキンメダイのアタリだ!「魚群探知機に映っている反応は浮いてるからね。着底したらすぐに糸フケをとって、アタリがあったらドラグを調整して伸ばしていって下さいね」と、船長からすかさずアドバイスが飛んだ。
アタリがあったら道糸が少しずつ出るようにドラグ調整
クンクンッと竿先のアタリを楽しみつつ、船長のアドバイス通り大型電動リールのクラッチレバーを真ん中より少し道糸が止まる位置に調整。波などで負荷がかかると少しずつ道糸が送られていく。船中見回すと大ドモまで全員の竿先にアタリが出ていた。操舵室で魚群探知機を覗くと、底から20~30mにキンメダイの反応がビッシリ。この日の爆釣を予感させた。「前から順番に上げて来ますよ」。船長の合図とともにミヨシから巻き上げを開始。仕掛けを手繰っていくと、5匹の淡い朱色のキンメダイが海中にキラキラと見えた。私の仕掛けには2匹のキンメダイ。後ろの6人の釣り人も2~6点掛け。1投目で全員がオデコを脱出した。
終盤は更に抜群の魚探の反応!1投で11点掛け!
沖釣りで良くあるのが、「最初の1投目は良かったのにね…」と言うセリフだが、この日は全く様子が違った。2投目こそ、大ドモ2人が2匹ずつ釣った程度だったが、3投目、4投目と毎回鈴なりにキンメダイが釣れてくる。そして、午前11時前に8投目を完了。着底するや否や、私の右隣の釣り人の竿がグワングワン揺れ始めた。「これは一杯いそうですね」。その釣り人もニッコリ。自分の竿よりも明らかに数が付いていそうだったため、釣り方を聞いてみると、着底後、糸フケを取り、仕掛けを手前に持ってくるイメージで鉄筋オモリを数度にわたって底を切って、落としてを繰り返していたのだそう。「私もね、実は右隣の人が良くアタッていたので見様見真似でやってみたんです(笑)」。釣れている人の釣り方を真似るのは釣果を上げる一番の近道だと言われているが、右隣の人が上げてきた仕掛けには1kg級の良型交じりで合計11匹。大ドモでも10匹がヒットし爆釣で沖上がりとなった。
これからは新島沖も大島沖も期待大!
今回取材した大島沖は、あくまでも新島沖が“禁漁”時に出船するエリア。「大島沖はね、型があまり大きくないからみんなやっぱり新島沖が良いと言うんですよね」と船長は、この日の釣果にあまり満足ではなかったようだが、メインの場所でなくてもこれだけアタリがあって数も釣れれば釣り人は大満足だ。大島沖のキンメダイは煮つけや塩焼きでいただいたが、小さくても脂の乗りが良く絶品! この日の竿頭は胴の間の自前の仕掛けでチャレンジした勝然直さんの38匹。釣果の平均は30匹前後の大爆釣だった。新島沖、大島沖ともにこれからが楽しみなキンメダイ釣り。釣れているうちに是非出かけてみて欲しい。
今回利用した釣り船
出船データ
時間:午前2時半集合※集まり次第出船、午後11時前納竿
乗船料金:19,440円~(税込)
※出船時間や乗船料金は場所やプランにより異なります