フグのカットウ釣りは、カワハギ釣りに匹敵すると言われる“難敵”。難しい釣りを経験するには、ベテランの多い船で釣りをするのが早道。見ているだけで参考になるからだ。『野毛屋釣船店』は1年を通してフグ船を出しており、“湾フグ”の老舗、船長からの初心者用のレクチャーもあるとの事。当日は日曜日で午前6時に到着したが、多くの釣り人が集合、私の乗った「第一忠丸」は午前7時出船となった。

航程約40分で千葉県・大貫沖に到着。アンカーが投入され船が止まると、黒川健太郎船長からビギナー集合のアナウンス。これを聞き逃したら釣りにならないと急いで船首へ向かった。

レクチャー①
餌の付け方。付け餌はアルゼンチンエビ。
1.頭をカットする。
2.頭から3枚目までの殻を剥き足も取る。
3.尾羽を根元を残してカットする。
4.ハリをカットした尾羽から入れて、ハリ先を背中（殻の残っている部分）に出す。チョンガケの状態から、エビをハリスの結び目までコキ上げて、半回転させて背中から腹側にハリ先を出す。エビが曲がらない様につける事。

レクチャー②
釣り方の基本動作。
1.仕掛けを投入して着底させる（当日水深7m前後）。
2.糸フケを取り、竿先は目線の高さに構える。
3.3～5秒待って、20cm程度誘い上げ、アタリが無ければゆっくりと落とす（エビが跳ねるイメージ）。
4.仕掛けが着底したら、竿先にオモリの負荷が掛からない様にして待つ。これが、いわゆる「ゼロテンションで待つ」。
3と4の繰り返しが基本形となる。
アタリはゼロテンションの時に出たり、誘い上げの時に向こうアワセで掛かる事もあるそうだ。

実釣を始めたが基本形が続けられない。ビギナーの私が陥った釣れないパターン。
1.竿先が段々と低くなり、水平になってくる。
2.誘い上げがカットウバリで引っかけるイメージが強くなり、きつい大合わせになる。
3.アタリが分からないので、竿先にテンションを掛けてしまったり、波の上下でゼロテンションを維持できず、オモリが引きずられたり、餌が動いたり。
基本形は教わったのだが…。

スタート時から、船中でボツボツながらフグが釣れるが、数を伸ばせるのはベテラン勢。船長から言われた「初心者は基本の形を守る事。」に集中。ベテラン勢の釣り方を横目で見ながら、午後に「誘い上げ向こう合わせ」でようやく1匹ゲット。連発を狙い即投入、ゼロテンションで小さなアタリが分かり、掛けるも海面で無念のバラシ。しかし、ピリピリするようなアタリが分かったのがこの日の収穫だった。

午後1時過ぎからは赤クラゲが掛かるようになり、南風も吹き出し、初心者には難しいコンディションになったが、船中ではボツボツとアタリが続き、午後3時終了となった。竿頭は11匹、次頭10匹2人、20人乗りでボウズも出たがまずまずの一日だった。お腹の中の白子はたっぷりだ。

「基本が大事」と船長
「今日はどのポイントでも型は見られたが、拾い釣りでした。初心者の方でも基本動作を守ればチャンスはあります。貸し道具、仕掛けも常備してます、気楽に相談して下さい」と船長。難しい釣りの扉が少し開いたような気なった一日だった。これからは暑くなるので、暑さ対策に注意して再度チャレンジだ。