2017年07月01日公開
ここ数年、全国的にイカの釣果は芳しくなかった。今シーズンもと心配していたら「潮が遅れていたのか小振りが多いけど乗り出しましたよ」と、相模湾・長井漆山港『春盛丸』から情報。小振りのスルメイカは、肉厚で身も軟らかく刺し身は勿論、潮風に晒す船上干しも絶品だ。
大きさで呼び名が変わる
5月初めから姿を見せるムギイカ(麦穂の出る頃釣れ出すスルメイカの“子供”)が、徐々に大きくなって“青年”ニセイカになり、6月半ばを過ぎる頃には“大人”のスルメイカと呼び名が変わる。今シーズンは6月半ばを迎えても、まだ小振りが多いとのこと。前日の強い南風も収まり絶好の釣り日和、イカ釣りは「荒れた後が良い」の格言に期待を膨らませて長井漆山港に向かった。
定員は16人の船、イカファンで満席
午前5時前、港に着くと駐車場には既に何台もの車。イカ釣りファンの多さが分かる。沼田孝章船長が車を停める場所を指示してくれる。釣り座は先着順。港の待合所に船座席のボードがあり釣り座の番号を決めたら番号札を裏返しにしておく。集合は5時半だが、5時過ぎには女将の典子さんが受け付け開始、オマツリ等を考慮して定員は16人としているそうで、この日もイカファンで満席。
2投目からニセイカ級がポツリポツリ
5時45分、全員が揃ったのをみて沼田孝章船長、定刻の6時を待たずに出船合図、「春盛丸」は舫い綱を解くと女将の典子さんに見送られて一路ポイントへ。城ヶ島沖でエンジンがスローになり、まずは水深110mからスタート。釣りはイカ専門と言う右舷トモ(船尾)の土屋正さん(横浜市)、「潮が濁ってるね、朝の内は澄んでいた方がいいんだが…」と言いながら直結式の14本のツノを巧みに操って投入。14cmのイカヅノが120号のオモリに引かれて海底に。左舷トモの坂田進司さん(横浜市)も直結仕掛け。周りを見ると慣れた人は直結式、余り慣れてない人はブランコ式と別れている感じだ。1投目、全員空振りで直ぐに移動、2投目の水深も110m、指示ダナは90m。間もなくミヨシ(船首)でトモでシャクリ上げていた竿先が沈み電動リールの巻き上げ音が響き出した。船縁で勢いよく潮を噴き上げながら25、26cmの赤銅色の“ニセイカ”サイズが取り込まれた。だが1点掛けか2点掛け。イカの移動が速く2度目の投入は出来ずに直ぐ竿上げの合図。
群れに当たれば!
船長は、魚探を見ながらイカの群れを追う。船がストップすると「水深130m、浮いてきているので底から90m位まで探って!」の指示。指示ダナで3回、4回と竿をシェイクしながらリールを巻き上げると竿先が撓む。竿先がグイグイと持ち込まれる。トモの土屋さん、坂田さん、そして右ミヨシの吉野晴仁さん(横浜市)らが3点掛け、4点掛けと取り込んでいく。左ミヨシの大石幸憲さん(板橋区)が竿を撓ませながら釣り上げたのは大きなカガミダイ、刺し身もさることながらキモが旨い、嬉しいゲストだ。私の隣の北嶋均さん(墨田区)も「乗りました」とリールの巻き上げスイッチON、2杯を取り込んだ。左右の胴の間(中央)でも2点掛け3点掛けと取り込む姿が見えた。
魚探反応あるが、群れの移動が早い
イカの足が速く、船長も「群れを見つけても仕掛けがタナに着く前に移動しちゃうね」と思案顔。「晴天の上、潮も澄んでいるし、船数も多いのでイカが怯えているようだね」と言いながらもポツリポツリ釣っているのは土屋さん。右の胴の間の田山正一さんは、船長にレクチャーを受けてから竿を出していた。栃木県・小山市から来ており、イカ釣りは初めてと言う。私も「投入の合図があったら素早く投入すること」等とアドバイス。移動して暫らくして「釣れました」とニコニコ顔で報告してくれた。後で聞くと8杯を釣ったと言う。
探して追っかけて多点掛け
水深110mから150mのタナを探りイカを追いかける。群れに当たると船中は大騒ぎ、7時過ぎと10時過ぎの2回がハイライトタイムだった。胴の間でトモでミヨシで3点掛け、4点掛けと赤銅色のイカが船上を賑わした。圧巻は土屋さん、良型交じりの7点掛けを披露してくれた。坂田さんが5点掛け、ミヨシの吉野さん大石さん、左2番の井上雅昭さん(横浜市)、右3番の松浦昌宏さん(千葉市)らも4点掛け、私も4点掛けに顔が綻んだ。大石さんは4点掛け4回を達成したとか。他の時間はたまに2点掛けがあっても単発が多く、この日は数を伸ばすことは出来なかった。
午後1時、竿上げの合図で帰港。トップは28杯の土屋さん、2番手は26杯の大石さん、3番手は24杯の坂田さん。この日の感じで「イカは居る」と確信した。日毎に大きくなるスルメイカ、今後が大いに楽しみだ。
今回利用した釣り船
出船データ
基本料金=スルメイカ船 9,000円(氷付き) 女性1,000円引き
電源・投入器完備