2017年07月15日公開
関東地方の梅雨は、当初晴天の夏日が続いたが、中盤以降は梅雨らしい天候が続くようになった。例年この季節に旬を迎えるのが「梅雨イサキ」。好釣り場として知られる千葉・大原沖では、そのイサキ釣りにサプライズ“ゲスト”として釣り人垂涎のある高級魚も狙って釣れているという。その噂の真相を確かめに、大原港『つる丸』へ出掛けた。
外房・大原の“旬”を釣らせてくれる船宿
『つる丸』では現在、イサキと午後のテンヤ・マダイに出船している。10月には、ヒラメ釣りも解禁となり、豊かな漁場である大原の四季折々の釣り物を岩瀬松男大船長と正尚若船長の二人三脚で楽しませてくれる。リピーターの多いアットホームな船宿である。
“腹パン”が魅力の「梅雨イサキ」
シーズン当初は海水温も低く釣果にムラが目立っていたイサキだが、海水温が20℃前後に安定すると、地元の“規定上限匹数”の50匹釣果が度々上がるようになった。この時期のイサキは、白子と真子をたっぷりと蓄えた“腹パン”だ。
この日もそのイサキと冒頭で紹介したサプライズ“ゲスト”目当てに集まった総勢14人を乗せて午前4時に河岸払いとなった。
サプライズ“ゲスト”の正体は…シマアジ
ポイントまでは航程約40分。大原沖の根周りに到着すると、正尚船長から「どうぞ!13m。16まで落として13で止めて下さい」とアナウンス。「イサキはタナを釣れ」の格言通り、刻々と変化するイサキのタナを小まめに教えてくれる。ここでまず上がってきたのはお腹がデップリとした抱卵イサキ。そして「反応が上がって来ましたよ!10m!これシマアジですよ~」と言う船長の言葉通り、イサキとは明らかに違う力強い引きで上がってきたのはお目当ての高級魚・シマアジだった。
多彩な“外道”もイサキ釣りの魅力
魚探反応は大きく出ているものの、ここ数日の好釣果と比べると“本命”イサキの食いは今一つ。前日と比べ海水温が2度も下がったのと流れない潮が原因のようだ。それでもポツポツと“外道”交じりで取り込まれていく。
ここでイサキ釣りのおさらい。
「ビシの調整は、上窓は3分の1~4分の1開け、下窓は全閉が基本。コマセの振り過ぎは逆効果です。大原のイサキは型が良いのでどうしても取り込みでの海面バラシも多くなりますけど、ハリスは細めの1.5号のカラーフックがお勧め。そして25cm以下のイサキはリリースをお願いしています」と正尚船長。
中盤上向きダブル連発!
このいかにも梅雨らしい、時折雨がぱらつくどんよりとした曇天だったが、こんな日こそイサキ釣りには絶好の条件だ。ポイント移動した7時過ぎ、潮も効いて来たのか、やや深めの23mでアタリ連発。「深いからダブル狙ってね~、単発だと勿体無いですよ~」とアナウンス。やや小型も交じるものの一荷(2匹)で取り込まれる光景が目立つようになって来た 。
シマアジが狙って釣れる!魅惑のフィールド、大原沖!
イサキの“お土産”をある程度確保したところで、皆さん気になるのがシマアジ。船長もその気配を察知したのか、再びシマアジが交じる根の上のポイントへ移動した。シマアジと言うと、ウィリーやオキアミ餌で狙うのが一般的だが、ここで実績のある仕掛けは「カラーバリ」。しかも夜光グリーンのハリが効果大という。「ハリスが1.5号だと切られちゃうけど、2号だと食いが落ちる。その間の1.7号がお勧めだね。それでも細ハリスだからドラグはズルズルにしておかないとまず取れないよ。かといって走らせ過ぎると根に入られちゃうから難しいよね。あと、夜光ピンクのハリはマダイも良く食って来るよ」と松男大船長。
イサキと混泳してる場合が多いが、シマアジの群れの反応はコマセに釣られて上ずってくるのですぐそれと分かる。「シマアジの反応出て来ました!」の言葉通り、あちらこちらでシマアジがヒットし始めた。
「シマアジ警報」発令中!さぁ、シマアジを狙って行こう!
相手が相手だけに、ハリス切れも頻発。それでも丁寧にやり取りしている人は次々とシマアジをキャッチしていく。私も辛抱溜まらず竿を出したが、ハリス1.5号で2度ハリス切れ…。ドラグ性能の高いリールがこの釣りでは不可欠であると実感。それにしてもスリリングで面白い。さすが“青物”と思わせるスピード感溢れる疾走を細ハリスでドラグを滑らせてやり取りするのだからこの上なく楽しい。そして切られて悔しくない訳がない。リベンジ決定である。
シマアジはこれからが本番!数、型共に期待大!
ラストの流しではイサキがポツポツと上がっていたのだが、舵を握っていた松男大船長が突然「シマアジ警報~!」のアナウンス。それと共にまたまたシマアジ襲来!シマアジがバタバタとヒットしたがイサキに合わせてドラグを締めていた人や仕掛け回収途中にヒットした人達はバラシ連発。いやはや最後まで油断大敵である。
結果、イサキは25~37cmが15~37匹。“規定上限匹数”には届かなかったものの、良型が多くお土産には十分だ。そしてシマアジも0.3~1.2kgがトップ3匹と満足のいく釣果となった。
エンジン乗せ換え、新生「つる丸」が就航!
「意外に知られていませんが、大原沖にはシマアジが居着く根が数多くあります。これから海水温上昇と共に、活性の高いシマアジが海面を泳ぐのが見られるようになりますよ。今年はスタートが早かったけど、本来8月からがシーズン本番!産卵を終えたイサキに代わってシマアジが主役となります。今後は専門に狙っていきますよ!」と正尚船長。そして7月半ばには、エンジンを載せ換えた新生「つる丸」がお目見えしているはずだ。
今回利用した釣り船
出船データ
基本料金=午前イサキ 1万1,000円(コマセ・氷付き)、午後テンヤマダイ 1万2,000円(餌・氷付き)
駐車場=あり