2017年09月15日公開
高級料亭などでも超が付く高級魚として知られるアカムツ。希少価値もあって「赤いダイヤ」とも呼ばれ、多くの釣り人が憧れる魚でもある。しかし、夏から秋にかけての期間限定ながら高確率で“ダイヤの採取”に成功する地域がある。今年も良い報せが届き始めた。期待を胸に利根川河口の茨城・波崎港『仁徳丸』に車を走らせた。
夏から秋は“確変”チャンス!!
この時期に釣れる確率が上がる理由は2つある。1つは釣り場の水深が浅くなること。通常は300m程の水深にいるアカムツだが産卵時期には浅場に上がって来る。波崎沖では「寒猫(カンネコ)根」と呼ばれる水深120~130mラインが絶好のポイントになる。2つ目の理由は、浅場ゆえに道具の汎用性が大幅に上がるからだ。普段深場は道具も釣り方も敷居が高くて手が出なかった人も、普段やっている釣りと同様にアカムツに挑むことが可能になるのだ。
汎用性の高いタックルでOK!
どんなタックルでも大丈夫なのか?使うオモリは120号。水深120~130m程度なら多くのアングラーになじみ深いアマダイなどの道具で問題ない。アカムツは口が柔らかいのでやり取りを確実にするなら柔らかめの竿が更にお勧めだ。昨年初挑戦した私だが、今年はマダイ用のロッドで挑むことにした。そう、アマダイでもマダイでも大丈夫と来ればほとんどのアングラーは「自分も出来る!」となるのではないか?
派手な仕掛けが吉となる
釣り方も特別な事はない。海底から1~3m付近を遊泳しているアカムツ。胴突き仕掛けのオモリが着底したら糸フケを取り、ゆっくりと誘いを入れて待つ。底立ちを取り直すことでもいい誘いになるので難しく考えなくていい。しかし、どの釣りにも数を釣るためには拘りが出てくる。超高級魚のアカムツはその値段に相応しく派手好き?ケミホタルや水中ライトの“光物”。マシュマロボールやタコベイト等の装飾品には目がない様だ。良く釣る人はアカムツの気を引こうとプレゼント攻撃に出ている。船宿で推奨している仕掛けは胴突き2本バリ。「アカムツ釣りにしては数が少ないのでは?」と船長に聞くと、アカムツは2匹、3匹と一緒に釣れる魚ではなく2本あればタナもカバー出来て充分。むしろ3本以上の多バリでサバが掛かったり、オマツリが増えたりと悪い点の方を気にしていると言う。
ゆったりの船室でリラックス
集合時間は午前4時半。余裕を持って3時半に現地入りしたにも拘らず既にほとんどの釣り人が揃っていた。前週が台風で出られない中で迎えた今週がベタナギという事もあるのか?それにしても凄い人気だ。本来であれば集合時間のはずの午前4時半に三橋正幸船長の船は“ダイヤ”の山を目指して出発。航程は約1時間。辺りはまだ真っ暗なのだが、道中段々白んでくる空を眺めるのも気持ちがいい。「仁徳丸」には、リクライニングチェアを備えた船室があるので中でゆったり休むのもいい。
朝一から“本命”の顔を見る
ポイントに到着する頃には辺りも明るくなっていて、天気予報通りのベタナギ。穏やかな海面を眺めるとポツポツ波紋が。小魚が水面で餌を追いかけているようだ。朝から生体反応を確認出来て安心しながら、いざ仕掛けを投入。一斉に怪しく光る蛍光ライトが海中へと消えていった。
開始10分程で早くも動きが出た。右舷に訪れた最初のアタリは小気味よく竿を叩く。強い引きではないが、その動きは“本命”らしい独特の物。最初のアタリは船長も緊張の表情で凝視。海面に上がってきたのはサイズこそ25cm程だがオレンジ色に輝く魚体はまぎれもないアカムツ。ひとまず型を見て安心。
怒涛のアカムツラッシュ!!
その後もアタリはあるが、ムシガレイや大アジなどの“外道”中心。1時間弱で船長は移動を決断。ここで“確変”が起こる。怒涛のアカムツラッシュ!!船全体を確認したわけではないが目の届く範囲で6人同時。2人は2匹掛けだったので計8匹が一緒に釣れたのだ。「怒涛」と言う言葉を辞書で調べると荒れ狂う大波と出る。まさにこの言葉がピッタリだ。ここから船中でアタリがひっきりなし。冒頭でアカムツはその希少さゆえに「赤いダイヤ」と書いた。本当かいな?わが目を疑う光景が目の前で繰り広げられた。百戦錬磨の船長もご満悦。船長と上乗りさんと2人体制でもタモ入れが間に合わない。これは凄すぎる。早々と十分に写真も撮れたのでここで私も竿を出した。
ついに釣れた初のアカムツ
いざ投入。オモリが着底するとなにやらムニュっとした感触…なんだ?アカムツはこの辺りの泥地帯に産卵するそうだが、この感触はまさに泥にオモリが刺さった感覚なのだ。ここからゆっくりと1mほど誘いを入れる。そしてまた着底。すると…ガガガッというアタリ。少し余裕を持ってから合わせるとしっかりとフッキング。実は昨年、私には“本命”は残念ながら釣れなかった。つまりアカムツの引きをまだ経験した事がない。何とも言えない強いシャープな引きが“本命”のそれなのか疑心暗鬼。柔らかい口からハリが外れぬよう細心の注意で電動リールをON!緊張マックスで上がって来たのは、紛れもなく中々サイズのアカムツだった。
トップは驚愕の19匹!!
アカムツは、時合にバタバタと顔を見てもその後さっぱりと言う事も多いのだが、この日は終始いい時間が続いた。流し替える度に船中どこかでアタリが見られた。最終的に大ドモ(船尾)に入った常連の大木暁宏さんが驚愕の19匹でトップ。反対側の大ドモの佐藤博貴さんが惜しくも18匹で次点。アカムツとは思えぬ釣果に皆笑顔で納竿となった。波崎沖のアカムツはこれから暫く楽しむことが出来る。ハードルも大幅に下がった超高級魚。数も出るこの時期に是非出掛けてみては如何だろう。
今回利用した釣り船
出船データ
料金:1万2,500円(税込)※ホタルイカ1パック&氷付き
出船:午前4時30分集合、準備出来次第出航 正午沖上がり