2017年09月15日公開
マダイの好釣り場として通年楽しむことが出来る千葉県・飯岡沖。春の“乗っ込みマダイ”はあまりに有名だが、それ以上に楽しみな時期がある。晩夏から秋にかけて飯岡沖に現れる“イワシトルネード”。このイワシを狙って大型マダイやヒラメが集まって来る。浅い水深で楽しむ3kgオーバーのマダイとの対峙は恍惚と言う以上の言葉が見当たらない。8月中旬から連日HPを飾る多くの大ダイの写真。居てもたってもいられずに9日に飯岡港『梅花丸』へ向かった。
「ひとつテンヤ」が可能にした釣り味
マダイは、昔から人気のある魚種の一つ。それ故にマダイ釣りには古くから多くの釣法がある。その中でも近年、千葉県・外房地区を中心に人気を博しているのが「ひとつテンヤ」。最大の特徴はそのシンプルさ。細い糸の先にテンヤと呼ばれるオモリとハリが一体のシカケにサルエビなどの大きめのエビを付ける。専用の柔らかいロッドの弾力と高性能スピニングリールのドラグを巧みに使い、大ダイを上げてるのだ。余分なものを排したその釣法はマダイの力強い引きをダイレクトに楽しむことが出来る。
いよいよ秋に向けて本格化
『梅花丸』は、ひとつテンヤ・マダイを目玉の釣り物の一つとしており、シーズンによってベストなポイントを知り尽くす人気船宿。そんな百戦錬磨の『梅花丸』をしても今年は何かがおかしかった。春の乗っ込み時期も例年のそれではなく、いよいよ当たったかと思っても2、3日でまた静かになってしまうという一進一退を繰り返していた。しかし、8月中旬以降に“イワシトルネード”で釣る大ダイが本格化。秋に向けていよいよ好気配だ。
「ひとつテンヤ」に新たな楽しいゲーム性
釣行当日は連日の好釣果もあって朝から多くの釣り人で船宿が賑わっていた。午前4時の受け付け開始時には船宿の前は長い列。早々に準備を済ませ、まだ陽の出ぬ午前4時半にいざ出港。ポイントは飯岡港から東に20分程の所。ここで気付いたことがある。「ひとつテンヤ船」ではあるが、タイラバで攻める人もいる。そしてエビの代わりにスイムシュリンプと呼ばれるワームを使用している人もいる。どうやら「ひとつテンヤ」ならではの魚とのやり取りの楽しさに加わり、年々ゲーム性も高まっているようだ。果たして今日はどの策に勝利の女神は微笑むのか?期待の中での第1投は、午前5時丁度。水深は18m。
思いもよらぬ“外道”でスタート
「ひとつテンヤ」の場合は、コマセ釣りの様に魚を集めるわけではない。勿論、エビが多数上から落ちてくるので集魚効果は少なからずあるとは思うが、基本は魚がいそうなポイントに船を流して餌を食わせる。マダイを知り尽くす梅花亮佑船長が、この日最初に選んだポイントは開始早々に驚きの結果を出す。何と超高級魚のトラフグがポツポツと釣れたのだ。しかもどれも1kg級の良型。『梅花丸』では、フグの捌きは行っていないため、釣れてもリリースとなるのだがなんとも驚きの“外道”での開幕となった。
いよいよ“本命”のマダイが顔を出すが…
そして次の流しでいよいよマダイが顔を出した。しかし…船中でポツリポツリとアタリは出るものの上がってくるのはどれも小型サイズ。最大でも800g級。一応は“本命”のマダイだが、目的はあくまで3kgを超す大ダイ。船長は勿論、釣り人もこのサイズでは満足せずサイズアップを狙う。一般的には大型のマダイは小型に比べてタナが若干浮いている事が多い。船長も魚群探知機の反応を見て底から5m幅を適宜無線で指示を出す。試行錯誤を重ねるが午前中は潮が動かずにいかんともしがたい状況。頻繁にポイントを変えて最善を尽くすも厳しい時間が続いた。
午前中は終始潮の流れが緩慢
午前9時を過ぎると小型マダイさえも中々口を使わなくなり厳しさが度を増した。船長は、船の流し方を替えるなど様々な事を試みたが、残念ながら午前中はこのまま終了を迎えてしまった。小型のマダイに加えてイナダ、小カンパチなどの“外道”も交じったので“お土産”に困ることはなかったものの、当初の目的の3kg超えの大ダイが掛からずに不完全燃焼となった。
午後も乗船!
『梅花丸』では、午後船も出している。私としても大ダイを写真に収めるべく大きな期待を寄せていたので不完全燃焼は釣り人と一緒。急遽、午後船にも乗る事にした。1度港に戻り釣り人が乗り替わっていざ再出船。釣り人だけではなく、船長も亮佑船長から弟の政輝船長にバトンタッチ。兄弟ならではの緻密な情報交換で、午前の状況を踏まえて午後は南のポイントで型を狙う事を決断した。港からは45分程の航程。水深も若干深くなり25m前後。午前中苦しんだ分不安の中での開始となった。
“本命”連発!!
午前船の納竿からまだ1時間程度。一体何がこの1時間であったのだ?竿を出すと早々に午前には出なかったサイズのマダイが3連発。そして私にも1kgクラスのマダイが3連発。どうやらマダイが動き出したようだ。これに比例するように“外道”も賑わいを増す。午前には見られなかったヒラメ、そして圧巻はイセエビ。午後のピークは4時過ぎからの夕まずめのサービスタイム。それを迎えるまでもなく早くも気配は上々だ。
夕まづめに盛り上がり最高潮
そして太陽が日没に向かって傾き始めた頃にこの日のハイライトを迎えるゴングが鳴った。右舷ではこの日初めてドラグの唸る音。竿を強く叩くその引きは明らかにマダイのそれ。ついに待ちに待った時間が来た。期待を一身に背負って上がってきたのは2.8kgの中ダイ。近くを流す「梅花丸」別船でも同じようなサイズのマダイが上がった。ここからは大ダイが連発。別船ではこの日最大の4.8kgが。最終的に2隻で4匹の2kg超えを記録。しかし、これは上がった数である。実はこの裏にはあまりの大きさで根に潜られたり、根に糸を擦られたりが頻発している。実際の盛り上がりは相当なものだった。
逃がした獲物はデカイ!宿題盛りだくさん
この日は良い時間が夕方だった。しかし、一概にいつもそうだとは言えない。潮の流れに影響されることが大きく、朝一にアタリが集中する事もある。こればかりは運に任せるしかないが、現在の飯岡沖には明らかに大きな群れがいる。しかも大ダイの群れだ。恥ずかしながら私もこの日は腕が足りなく3匹の大ダイに糸を切られる結果となり大変悔しい思いをした。いよいよ本格シーズンを迎えた飯岡沖の大ダイ。すぐの再戦を誓って港を後にした。
今回利用した釣り船
出船データ
料金:予約時確認の事
集合時間:午前船 午前4時/午後船 午前11時