2017年11月01日公開
待ちに待った秋のマダイシーズンがやって来た。今シーズンも水深30m前後の浅場で好調に釣れているとの情報を聞き付け、茨城県・日立久慈港『直重丸』に出掛けた。
走行距離の割にアクセスのよい日立港
日立久慈港は、都心から車で1時間45分程。渋滞の少ない常磐自動車道の日立南太田ICから10分程度というアクセスの良さから、走行距離の割にはかなり近く感じられる。この時期の集合時間は午前5時15分。夜明け前の気温は8℃と、冬の装備で丁度良い。右舷3人、左舷3人とゆとりの釣り座で「直重丸」は出船した。
ウネリは高いが、マダイは高活性!
港を出てすぐ、昨日から残っていると言うウネリの高さに驚かされる。宇佐美智大 若船長は速度調整や操舵を駆使して沖に出るが、船底を叩く海面や甲板を洗う潮は、慣れない人にはちょっと怖いレベルだったかも知れない。「こんな日がいいんだ」と言う上乗り役の勝幸大船長。その言葉通り、釣り場に着いて竿入れの1分20秒後、大宮司大さん(栃木市)のテンヤが着底するや否や、マダイからのアタリで竿先に乗った。魚は1kg弱だが朝日を浴びて輝く薄紅色の魚体が眩しい。幸先の良いスタートに、船中は俄に活気づいた。
一つテンヤ初挑戦の二人が大健闘!
実はこの日、島崎清美さん(蕨市)と大﨑義彦さん(蕨市)は、一つテンヤ・マダイ初挑戦。島崎さんはスピニングリールの扱いも初めてだったが、若船長のマンツーマン指導で人生初のマダイをゲット。その後もコンスタントに釣り続け、ツ抜け(10匹以上)達成と大健闘。一方、大﨑さんはイワナ釣りを嗜む“源流師”で、船長のレクチャーを受けると間もなく魚を手にした。この日は波風共に強かったが、アタリは兎に角多かった。釣れる水深が浅く、魚影の濃い日立沖は、初心者の練習に持ってこいのフィールドと言えるだろう。
大船長の仕掛けをスクープ!
上乗り役の大船長は自ら竿を出して魚の様子や、潮と船の流れを見ているのだが、やけに釣るのでよ~く見てみると、見慣れない仕掛けを使っている。オモリの部分は遊動式で、ハリは小型ジグのアシストフックのように伊勢尼バリ2本を段違いに結んである。聴くところによると、タイラバからアイデアを得た大船長のオリジナルで「小型で良ければ、この仕掛けが良く釣れる。大きいのを釣りたかったら普通のテンヤでやった方が良い」とのことだ。数を釣りたければアタリの出やすい遊動式、大物狙いなら太軸の大きなハリが付いたテンヤやカブラ。好みや釣況によって使い分けるのが得策だ。
“ゲストフィッシュ”あれこれ
日立沖の一つテンヤでは、様々な魚がハリ掛かりする。この日上がったのは1度食べたらきっとファンになるアイナメ、見た目より遥に強い引きを見せるイナダ、浮き袋を使ってグゥグゥと鳴くホウボウ、根掛かりかと思ったらゆっくり聞き合わせると海底から剥がれてくるマダコなど。この他、メバル、クロソイ、ハナダイ、カサゴ、ウマヅラハギなども定番の“ゲスト”だ。テンヤに食ってくるのは押し並べて型が良く、どれも食べて美味しい魚なのが嬉しい。
ゆったり楽しめる一つテンヤ・マダイの穴場
この日の竿頭は、遊動仕掛けでマダイ18匹を釣り上げた小野秀雄さん(蕨市)。最大魚は大宮司さんが釣った2.8kg。「今回は大丈夫でしょう!」と昨年の取材で思うような釣果を得られなかったことが心残りだった若船長にも笑顔。更に取材翌日、6.5kgの大ダイ(巻頭写真)を上げる“控えめさ”も健在だ。「沢山釣るのも、大物を狙うのも、お客さんに満足して貰えるのが第一!」と語る若船長。大船長や女将さんと交わす茨城弁も暖かい、居心地の良い船宿だ。
今回利用した釣り船
出船データ
乗船料金:1万円(餌1パック・氷付き)
集合午前5時15分、出船5時30分(乗船場所は変動あり、出船前日に確認を)
貸道具あり/女性・子供割引きあり
この記事を書いたライター
6歳から釣りに親しみ、海・川・釣堀・湖のルアー・フライ・餌釣りに節操なくのめり込む釣り好き。2019年JGFA沖釣りサーキット・総合優勝/2010年JGFAオールジャパンゲームフィッシングコンテスト・マダイの部・優勝(10.2kg)…他