2017年11月01日公開
強風が吹いたり台風が来たり、沖釣りファンには歯痒い天候が続く今年の秋。ところが、そんな時こそ“大爆釣”の手札が揃う絶好の釣り物があることをご存じだろうか。週末になると来る台風の合間に、千葉県・浦安の老舗船宿『吉野屋』からLTアジ船に乗った。
明るい船宿にテンションUP!
東京湾で釣りをしていると、何を釣っていても必ず見掛ける緑色の遊漁船、それが「吉野屋丸」だ。取材日は10月25日。まだ覚めやらぬ浦安の住宅街の一角に『吉野屋』はある。台風一過の晴天から一変、今にも降り出しそうな重い雲に覆われた肌寒い早朝の空の下、明るくさっぱりした店構えが温かい。「キレイにしてると『吉野屋』らしくないと常連さんに言われるので」と親方は謙遜するが、清潔感のある店構えは大変気持ち良く「なんだか今日はいい日になりそうだな」と気分も上がる。思い返せば、それは予感だった。
1投目からクライマックス!
『東京ディズニーシー』や東京ゲートブリッジ、羽田空港に風の塔と、東京湾の名所を眺めながら、到着した釣り場は、鶴見つばさ橋。橋脚周辺の水深13、14mのポイントでスタート。開始間もなく魚を取り込んだのは、「釣りビジョンは毎日観てる」とおっしゃる秋山弘次さん(墨田区)。いきなり3点掛けからスタートしたこの日の釣り、2番手は誰かも分からないほどの入れ掛かりに継ぐ入れ掛かりで、足元の桶はみるみるマアジで満たされていった。
“大漁”の決め手は「甘い雨」
本当によく釣れたこの日。LTアジのコツを舵を握る神野祐一船長に尋ねた。「タナ取りをしっかりやることですね。底ダチをマメに取って、コマセをマメに詰め替えて。魚が度々バレるようなら、タナを気持ち上げてみると良いでしょう」とのこと。この日は“豆アジ”が釣れることもなく、タタキにぴったりな23~25cmの食べ頃サイズが揃ったが、時には45cm(1kg級)と言う特大アジが掛かることもあるそうなので気が抜けない。「晴れてると魚が居ても口を使わないことがあるんですが、こういう雨模様だと一日釣れ続くのでチャンスです」(船長)。雨続きで気分が滅入った時に思い出したい言葉だ。
竿頭は驚愕の229匹!
この日の竿頭は「毎週、『吉野屋』に来ている」と仰る滝川静男さん(浦安市)。24Lのクーラーボックスを2つ満タンにした釣果は驚きの229匹!数釣りのコツを尋ねると「食いが良いときは手返し良く釣ることと、アタリがあったらちょっと待って“追い食い”させること。誰でも知ってることだよ」と笑って教えてくれた。実にこの日は大半の人が束釣り(100匹以上)を達成して、スソ(最低)の人でも85匹を釣っていた。この釣れっぷりは取材日のみならず、後日も束釣り、2束釣りの好釣をキープし続けている。秋雨の続くこの時期こそ、雨具と防寒をしっかり備えて、怒濤の大釣りにチャレンジして頂きたい。
初心者にもベテランにもお薦め!
東京メトロ東西線・浦安駅から徒歩5、6分のアクセスの良さと、手ぶらで行っても楽しめる貸し道具の充実振りは、これから釣りを始める人は勿論、年配の方々にもお薦め。釣り場への行き帰りは東京湾のプチクルージングも楽しめるので、海外から遊びに来る旅行者にもピッタリだ。タバコの分煙やライフジャケットの無料貸し出しなど、細やかな気配りが印象的な『吉野屋』で、東京湾の秋の豊穣を満喫してみてはいかがだろうか。
今回利用した釣り船
出船データ
乗船料金:9,800円(コマセ・エサ付き)
集合:6:30までに乗船/出船:7:00
各種割引き・貸道具あり
この記事を書いたライター
6歳から釣りに親しみ、海・川・釣堀・湖のルアー・フライ・餌釣りに節操なくのめり込む釣り好き。2019年JGFA沖釣りサーキット・総合優勝/2010年JGFAオールジャパンゲームフィッシングコンテスト・マダイの部・優勝(10.2kg)…他