2018年02月01日公開
欧米へ出掛けた時「アイスコーヒーはないか?」と店で聞くと一様にいぶかしがられる。「それはコーヒー味のアイスか?」と言うような感じだ。ホットこそコーヒーと言う彼らにとって冷たいコーヒーなどあり得ないのだ。同様の違和感を「ライト中深場釣り」に感じる。ライトと深場というおよそ相反する言葉が一緒になり得るのだろうか?その「ライト中深場“五目”」をメインターゲットの一つに掲げる平塚港『浅八丸』に出掛けた。
ライトと深場の共存を実現!
今回のターゲットはキンメダイ、クロムツ、シロムツ等の、漆黒の世界でほんのわずかな光をも吸収するために特大の目を持った魚たち。10~20本バリと2kg近いオモリを使って東京タワーの高さよりも深い400m以上の水深で釣る。中々ハードルが高くて手が出せなかった人も多いかと思う。しかし、これが150号のオモリで出来るとなったらどうだろう?普段のビシアジのタックルでも対応可能となれば一気にハードルが下がるだろう。
“濁り潮”が魚を浅場に上げる
何故オモリを150号と軽く出来るのだろうか?それは冬から春にかけてもたらされる“濁り潮”が魚を浅場に上げてくるからだ。“深海魚”たちには好きな明るさがあるのだろう。濁り潮が普段よりも周りを暗くすることで、水深200m台が好ましい明るさとなるようだ。春にかけてより濁りが入れば更に浅くなる。この水深なら道糸をPE4号程度まで細くする事で150号のオモリでも十分対応可能になる。この重さが「Light」かは議論の余地はあるが、少なくとも深場にしては「Lighter」である事は間違いないだろう。
狙う水深は200~270m!
『浅八丸』がある平塚港は、沖に少し出ればすぐに水深200mオーバー。急深な地形の相模湾にはこれら“中深場”のターゲットの好釣り場が数多くある。この日の最初のポイントは平塚港から15分程の水深200m前後。太陽の上昇と共に少しずつ深くなるが、それでも水深270m程までだ。定刻の午前7時に石井信幸船長操船で14人を乗せて出船した。
仕掛けの投入は船長の指示を厳守!
ライトで攻める“中深場”釣りとは言え、水深は200mを超える。オマツリを防ぐためにも仕掛けの投入には十分に注意が必要。百戦錬磨の船長がその日の潮の状況を判断して的確な指示をしてくれるのでアナウンスをしっかり聞こう。潮の流れが速い時等は流し途中での仕掛けの再投入を禁止されることもある。この日は潮の流れが緩やかだったので細かな注意は不要だった。
白(シロムツ)対赤(キンメダイ)で運動会のよう
第1投は午前7時15分。辺りがまだ暗い朝方にアタリが集中することも多々あるので、朝一は特に集中したい。この日も第1投から魚信が訪れた。最初は白(シロムツ=和名・ワキヤハタ)が優勢。シロムツは水圧の変化に弱いので、巻き上げ途中に静かになるのですぐ分かる。これに対してキンメダイは水圧の変化に強いので最後まで強い引きをする。シロムツに交じってメダイも顔を出す。中々最初のキンメダイが顔を出さないので心配したが、中盤からは赤(キンメダイ)が盛り返す。“白組対赤組”で、さながら運動会のようだ。これらの魚は群れでおり、1匹掛かると船中でアタリが連発する。流すポイントによって魚が異なるのも面白い。
中盤は「黒いダイヤ」クロムツが
シロムツもキンメダイも朝一の流しの後は沈黙。次に来た群れは黒(クロムツ)。脂のたっぷり乗ったその美味さと希少さが相まって「黒いダイヤ」とも言われる。そんなクロムツが3匹一緒に釣れてくるという夢のような流しもあった。クロムツもキンメダイ同様に最後まで強い引きを見せるのでやり取りが楽しい。しかし、中盤以降は潮が完全に止まってしまい、ポツポツとしか上がらなくなってしまった。
サイズ狙うも不発に終わってしまった…
潮が流れないので船長もポイントの移動を決心。ここ数日30cmを超える良型のキンメダイが数多く釣れた場所。同様の釣りを期待したが、ここも潮はいたって静か。中盤以降は潮の流れなさに苦戦、結局このポイントでも狙いのキンメダイではなくクロムツとメダイを船中で何匹か追加してこの日は終了となった。
2月、3月の最盛期に向けて視界良好
この日は、残念ながら小型主体で最近の中では低調だったが、今シーズンは開幕直後から好調な日が続いている。この日も魚群探知機には底付近にハッキリと濁りを確認できた。今後春の潮がより多くの濁りを運んできて2月、3月と“中深場”の五目釣りは最盛期を迎える。今後釣果が高値安定となっていくのは間違いなさそうだ。
今回利用した釣り船
出船データ
料金:9,500円 女性、大、高校生:6,000円(サバ餌付き)
集合:午前6時
出船:午前7時 沖上がり:午後2時
レンタルタックル有り(要電話確認)