2018年03月01日公開
今冬は寒かった。ようやく寒さも緩み始めた今日この頃、「梅は咲いたか、桜はまだかいな」と浮かれているところに「布良から白浜沖のヤリイカが釣れ過ぎてヤバい」との噂を聞き付け、千葉県・南房総は乙浜『しまや丸』に出掛けた。
南房総で春を先取り
乙浜漁港は房総半島の南端、富津館山自動車道の終点となる富浦ICから車でおよそ30分。道辺に咲く菜の花や川津桜といった早春の風景も、このエリアの楽しみの一つだ。集合時間の午前5時30分に受け付けが始まり、船の灯火が点いてから船長の指示で乗船となる。定刻の6時、女将さんの声に送られて「第三しまや丸」は滞りなく出船した。
波風は強いが、群れは濃い!
やや風の強い海を走ること40分程で布良沖へ到着。前日状況の良かった水深230mのポイントからスタートした。開始早々あちらこちらの釣り座でイカが乗るのだが、ウネリの影響で巻き上げ途中でのバラシが多かった。開始10分後、船中最初にヤリイカを取り込んだのは田口真也さん(川崎市)の5点掛け。風が強く、ウネリは高く、潮も速いという難しい状況下で幸先の良いスタートを切った。その後も派手さこそないが順調に釣れ始め、7点掛けに湧く場面もあったが、メスの小振りな個体が多かった。そこで船長は15分程走って水深235mの釣り場に形成された船団に加わった。魚群探知機に映るイカの反応は底から15mと幅広く、釣り人たちの期待は俄然高まった。
型も良い船団の中の釣り
期待の第1投。オモリの着底と同時にズンズンズンとイカが乗る「着乗り」のシグナルが手元に伝わるのだが、巻き上げ途中で外れてしまう場面がよく見られた。乗りを感じても暫くそのタナに仕掛けを止めて置く、ドラグを緩めに設定して気長に巻き上げる、と言った一見消極的に感じられる釣り方が、結果多くのイカを取り込んでいるようにも見受けられた。この状況でも着実に数を伸ばしたのは水野儀蔵さん(千葉市)。釣果が良型ばかりなので釣り方を見せて貰ったが、「この時期はもっと大きいのが居るはず」と嬉しさも中くらいの表情。群れは確実に濃い、ところが潮が速い上にサバも回り始め、釣り人たちの苦難は幾重にも積み上げられた。オマツリ解きや仕掛けの結び直しに時間を取られる様子を見かねた船長は移動を決断。船団を離れ、白浜沖へと舵を切った。
待ちに待った“爆釣”タイム、到来!
白浜沖、水深230mのポイントで再スタート。風は治まりつつあったが、依然としてウネリが高く、潮も速い。ところが船長の読みは見事的中。次第にヤリイカが乗り始め、船中は常に誰かのリールが唸りを上げ、次々とヤリイカが取り込まれる“入れ掛かり”の時合が訪れた。型は相変わらず大・中・小のミックスだが、大きな物は先程よりも一回り大きな満足サイズ。乗りもこれまでの3、4点掛けから、5点、7点、9点掛けと“爆釣”モードへ突入。桶はみるみるうちにヤリイカで充たされた。天候は最後まで釣り易い状況ではなかったが、これまでの難儀が各々のスキルを磨いた結果、時合の“爆乗り”を余すことなく手中に収め、心地よい疲れと共に沖上がりを迎えた。ある時点の困難が実はより大きな成功のために必要となるケースを目の当たりにしたような、感慨深い釣行だった。
今期のヤリイカは絶好調!!
今期の模様について、『しまや丸』の島野一男船長に訊いた。「今シーズンのヤリイカは良いですよ。(釣れるサイズが)大・中・小だから良いのよ。大きいのばかりだと(シーズンが)すぐ終わっちゃう。大きいイカは大きい上に、例年になく群れが濃い。最高です!」と自信の太鼓判。初心者へのアドバイスを尋ねると「5、6本ヅノのブランコ仕掛けが良いと思います。この時期は底から5~10m(泳層)の間だから、ツノ数を少なくすれば難しくないと思いますよ」とのこと。釣る人ほど長い仕掛けで多点掛けをしているものの、上達するには身の丈に合った仕掛けで地道に腕を磨くほうが、結果的には近道となるようだ。早春の恵みをのんびり満喫できる南房総の春イカ釣りを強くお薦めしたい。
今回利用した釣り船
出船データ
料金:1万円(氷・沖上がり後の軽食付き)
集合:午前5時30分 出船:午前6時
※ヤリイカの船宿仕掛けは無いので、各自ご用意を!
この記事を書いたライター
6歳から釣りに親しみ、海・川・釣堀・湖のルアー・フライ・餌釣りに節操なくのめり込む釣り好き。2019年JGFA沖釣りサーキット・総合優勝/2010年JGFAオールジャパンゲームフィッシングコンテスト・マダイの部・優勝(10.2kg)…他