2018年04月01日公開
例年、関東地方が桜の季節を迎える頃、東京湾ではマゴチ釣りのシーズンがスタートする。暫くはサイマキ(小型クルマエビ)を餌にしての豪快な釣り味が楽しめる。そのマゴチ釣りを3月16日からスタートさせた東京・大田区羽田の『かみや』に出掛けた。
羽田ICから5分
羽田、多摩川沿いにある『かみや』は、首都高羽田線・羽田ICから5分とアクセス抜群だ。『かみや』では、毎年3月に入るとマゴチ釣りがスタートする。この日も多くのファンが集まった。店の土手を越えた多摩川に桟橋がある。桟橋に舫ってある船がマゴチ船。好調な滑り出しとの情報に、この日も9人が集まり、「第12海宝丸」に乗り込んだ。マゴチ船担当の土田裕介船長が大きなクーラーボックスにサイマキを移し替えていた。
春霞の海を一路ポイントへ
この日は絶好のナギ。釣り場は千葉県・富津沖、航程は約50分だ。風が少し冷たいが春霞の中で木更津の工場群や富津岬の公園の松並木が見えたところでエンジン音がスローになった。『かみや』の常連でマゴチ釣りでは、土田船長が一目も二目も置くと言いう山本雄二さん(江東区)がお手伝い。クーラーボックスから小さなバケツにサイマキを5匹ずつ入れて釣り人に手渡す。船長から「餌を付けて準備してください」とアナウンス。船は大きく旋回、風上に船首が向くと「やってください。水深15m、エビは活きてないと食わないよ。エビがグターッとしたら付け替えて」と指示が飛んだ。
いきなり60cm近い良型!
開始間もなく「来たー!」の声。投入合図から3分も経っていない。左舷トモ(船尾)の平本裕幸さん(浦和市)の竿が大きく曲がる。船長の差し出すタモに収まったのは60cm弱の見事なマゴチ。ほぼ同時に右舷トモの山本さんの竿がググーッと海面に突き刺さった。引き込みを待って大きく竿を煽って針掛かりさせたのも50cmオーバーの良型。左舷ミヨシ(船首)の深澤和典さん(川崎市)は、「『かみや』とは川を挟んだ反対側に住んでいます。子供の頃は、こちら側に住んでいてよく『かみや』の周りで遊びました」と、昔話を聞かせてくれながら目は竿先の変化に集中。その深澤さんの竿先がモゾモゾとやっている。「このアタリはイカだな」と言いながら、そーっと竿をあげる。重量感のある竿の曲がりは途中でフッと軽くなった。やはりイカのようだ。スミイカかカミナリイカかシリヤケイカか?
アタリ頻繁もバラシも連続
続いて左舷の胴の間(中央)の吉田健一さん(大田区)から「食った!」の声。見ると竿が弓なり。しかし、リーリング開始直後「あっ、バレた」。直ぐに左隣の田口崇さん(さいたま市)の竿先もコツ、グーッと持ち込まれたが食い込みが浅かったのか針掛かりしない。そしてトモの平本さんにもアタったが、こちらもバラシ。3人連続のバラシは、潮温の関係か食い込みがイマイチなのだ。そんな中、山本さんは3匹を釣り上げた。
マゴチ攻略の秘訣を聞く
山本さんに秘訣を聞くと、「マゴチはハリスの太さは気にしなくていい。ハリス5号で長さは1.5m、オモリは三日月の15号。オモリが海底に着いたらタナはハリス分巻き上げてエビが海底を這っているくらいに。アタリがあったら竿先が引き込まれるまで待ち、マゴチは口が堅いので大きく竿を立ててしっかり合わせる。サイマキは目と目の間にある角を折り、針を口から刺して折った角の辺りに針先が見えるくらいに刺す。キモは頻繁にタナを取り直すことだね」との事。山本さん、話をしながらも4匹目を釣り上げた。
船中誰かにアタリ
船長はアタリがあった場所を流し直す。その度に誰かにアタリが来る。左舷ミヨシの深沢さんの竿が大きく弧を描くと、船長がタモを持って駆け付けた。グイグイのやり取りの末、褐色の魚体がタモに収まった。「大きい!60cmあるか!」。そして山本さんがちょっと小振りながら5匹目をゲット、平本さんが田口さんが吉田さんがと3人連続で竿を立てる。タモを持って船長も大忙し。その後も間を置かず田口さんの竿先が海面に引き込まれ竿先が震える。固唾を飲んで見ていると、体を大きくくねらせて抵抗しながら褐色の魚体が現れた。「デカイ!」。船長が差し出したタモから尾がはみだしている(後で測ったら60.5cmあった)。
ゲストはスミイカやスズキ
山本さんが「モゾモゾしたアタリだ、イカかな」と言いながらゆっくりリーリング。海面に姿を見せたのはスミイカ。サイマキに抱き着いている。イカは海面近くなると餌を離してしまう事が多いが、船長が素早くタモを入れ掬い上げた。800gもあろうかという大型だ。さすがマゴチが得意と言われる山本さん、その後も6匹目、7匹目と釣り上げた。右舷ミヨシの諸留眞和さん(練馬区)の竿が絞りこまれた。しかし、痛恨のバラシで悔しそうな顔。だが、餌を付け替えて投入すると直ぐにアタリ。今度はガッチリ良型を取り込んだ。残り時間も少なくなってきた終盤、右舷2番目の望田昭さん(江東区)の竿先がグンと引き込まれた。「タナを取り直そうと巻いてきたらアタった。“本命”じゃないかも」。暴れながら上がって来たのは、何と80cm級のスズキ。しかし、望田さん「“本命”ではない」とリリース。ところが、餌を付け替えて投入すると、竿が一気に引き込まれ、小振りながらマゴチをゲットしてしまった。そんな中、蚊帳の外だったのは胴の間の田村正嗣さん(練馬区)と私。田村さんは「マゴチは2回目です。海で竿を出せればストレス解消です」と欲のないお言葉。私は欲が竿先に出たのかマゴチに見放された。
今後の見通しは良好!!
午後3時に納竿となった。船中9人で27匹、オデコ(0匹)も出てしまったが、60.5cmを頭に60cm近い大物が5、6匹交じり、数、型ともに満足な釣果だった。トップ7匹の山本さん、他にも5匹、4匹の人が4人。「スタート間もないマゴチだが、梅雨時の産卵に向けて活性も上がり、段々浅場に上がって来て、水深3m位でも釣れるようになる」と船長。梅雨を過ぎると餌もハゼに変わり、また趣の違った食わせの楽しみがある。今シーズンのマゴチ釣り、期待大だ!
今回利用した釣り船
出船データ
料金:9,500円(餌5匹付き、追加餌1匹100円、氷別100円)
出船:午前7時30分 午後3時頃沖上がり
駐車場無料。連絡すれば、JR蒲田駅東口より送迎バスあり