2018年04月15日公開
「茶摘み」の歌でお馴染みの「夏も近づく八十八夜」も目前。東京湾の“夏の風物詩”マゴチ釣りもいよいよ本番だ。ハゼの幼魚が釣れ出す晩夏までサイマキ(小型クルマエビ)餌での釣りになる。神奈川県・金沢八景『一之瀬丸』で好釣果が連発していると聞き、出掛けてみた。
ビギナー向けに釣り方のレクチャー!
『一之瀬丸』は、金沢八景の国道16号線から海浜公園方面に入った右手にある。午前6時30分集合と聞き、6時前に店前に着いて荷物を降ろし、スタッフの案内で通りの反対側の駐車場へ車を入れた。店の壁に釣り物の座席ボードがあり、先着順に座席札を取ってから乗船代を支払い、目の前の桟橋へ向かう。各船に釣り物の看板が立っており、この日のマゴチ船は右手の奥の「第七一之瀬丸」。マゴチ船担当は渡辺直人船長。出船準備が整うと「初めての人は集まってください、釣り方を説明しますから」と船の中央に呼び集め、餌の付け方からアタリが出た時の対処まで丁寧にレクチャーしてくれた。初心者には実に有り難い。
釣り場は平潟湾の目の前!
金沢八景・平潟湾は、江戸時代から風光明媚な所として知られている。7時過ぎ14人の釣り人を乗せた「第七一之瀬丸」は桟橋を離れ、平潟湾を湾口へと向かった。右手に野島公園、左手に『八景島シーパラダイス』が見えたと思ったら間もなく船が止まった。船長がスパンカーを上げる。船室に戻ると「餌の準備をして下さい。直ぐですよ」のアナウンス。航程は僅か10分程だ。北西風が少し冷たく、僅かに波立っていたがまずまずの日並み。風に向かって舳先が向けられると「やって下さい。潮が行って(流れて)無いようだから、チモト(ハリの)のヒューズを取って。水深は18m、エビは生きていないと食わないよ。足が動かなくなったらダメだから替えて」と、アドバイス。
心配は杞憂だった
前日までの強い南風で底荒れや潮温の低下を心配したが、それは杞憂だった。釣り始めて間も無く左舷の胴の間(中央)に座ったマゴチ釣りは初めてと言う秋山勇樹さん(北区)の竿が大きく撓った。強い引き込みに船長がタモを持って跳んで来た。船長の差し出した大きなタモに魚体をくねらせながらマゴチが収まった。「デカイ!」。船中第1号は55cm級。船長、タモを持って今度は右舷のトモ(船尾)に走った。古田正和さん(鎌倉市)が50cm弱を釣り上げた。直ぐに右舷胴の間の久保田敬明さん(横浜市)も50cm級をゲット。そして、ほぼ同時にその隣の女性アングラー・三田綾子さん(杉並区)にアタリ。しかし、合わせが早かったのか痛恨のバラシ。そして又々古田さんにアタリがあり、直後にトモから3番目の滝沢宏さん(大田区)にもアタリ。30分程の間に40~50cm級5匹が上がってビックリ。船長も「潮温が昨日より1度下がったけど食ってるね」と満足そう。
ポイントに入ると絶え間なく
船長は小まめに船を流し直す。食いの良かった場所に入ると船中誰かにアタリ。「マゴチとスミイカしかやらない」と言う左舷ミヨシ(船首)の藤原信人さん(横浜市)も45cm級を釣り上げた。ベストサイズは65.5cmと言う右舷ミヨシの服部大輔さん(横浜市)にもアタリがあり、船長の差し出すタモにマゴチが収まった。「月8回通っているがマゴチしかやらない」と言う遠山晴基さん(熊谷市)も45cm級を。「第七一之瀬丸」は船尾にイケスを備えている。釣った魚は各自、印(安全ピン)をつけてイケスに放しておき、帰港後船長が〆てくれる。
船長は、ミヨシだトモだとタモを持って大忙し!
食いが渋くなる度にポイントを替え、その度に誰かにアタリが来た。「稀にアジやイシモチもやるがほとんどマゴチとスミイカしかやらないね。昨日の強風でも来ましたよ」と言う、左舷トモの佐藤和弘さん(横浜市)の竿にアタリ。食い込みを待って大きく合わせるとグイグイと引き込む。レギュラーサイズの40cm級をタモに収めた。右舷トモから2番目の木下義浩さん(品川区)、「深場釣りやタチウオもやっていたが、今はマゴチです」と言いながら、こちらもレギュラーサイズを釣り上げた。紅1点の三田さんにもアタリ。船長は、ミヨシだ、トモだ、左舷だ、右舷だとタモを持って大忙しだ。
千葉寄りへ移動後も食い活発!
正午前、潮の流れを求めて房総半島側の富津沖へ移動した。水深17mで釣り始めると、ここでもミヨシでトモで胴の間でと3人同時にアタリ。タモをもった船長も間に合わない。藤原さんはタモを待てずに跳ね込みで取り込んだ。隣の川口博史さん(横浜市)も「なかなか食い込まなかった」と言いながらレギュラーサイズをゲット。胴の間の餅田聡さん(横浜市)も「アレ?小さいな」と言いながらも取り込んだ。圧巻は遠山さん。竿先のモタレからコツコツ、間を置いてグーンの引き込み、巧みなやり取りでタモに収まったのは62.5cm!この日最大にニッコリ。トモでも良い引き込みがあったが、こちらは“長物”の大きなハカリメ(アナゴ)に古田さんは苦笑い。
バラシもあったが
私にもアタリが来たが、竿を立ててリーリング中にオマツリでバラシ。その後のいいアタリはアナゴ、それもギンアナゴにガックリ。どうもマゴチに嫌われてしまったようだ。そんな私の隣で秋山さんは2匹目をゲット、それも良型だ。右トモ2番の椎木成文さん(横浜市)も「小振りだけどやっと来ました」とニッコリ。藤原さん「小さいからタモいらないよ」と跳ね込みで9匹目を取り込んだ。終盤に三田さんが、何回かバラしながらも2匹目を取り込んでニコニコ顔。浅場を探ってみたが底荒れの影響かここではアタリがなかった。
絶好調に船長もビックリ!
潮が行かない中で終日絶え間なくアタリがあり、「1匹釣れれば御の字」と言う超高級魚が1~9尾(14人で44匹)と数も申し分なし。型もほとんどが40~50cm級と絶好調を目の当たりに出来た。渡辺船長に状況を聞くと「今シーズンは絶好調だね!これから浅場に入ってくるし型もよくなるので楽しみです」との事。釣り方のポイントを聞くと「エビ餌の付け方だね。エビが元気よく泳ぎまわるように付けること。もう一つはタナ取り。マゴチは海底に居て、目は上についているから餌が海底を這っているようじゃ釣れないね。マゴチの目に着くように海底から少し上にくるように常に海底の起伏を確認してタナを取り直すこと。日によっては海底から50cm位上で食う時もあるから自分でタナを探す事だね」と教えてくれた。
今回利用した釣り船
出船データ
料金:9,500円(餌、氷付き)、追加餌 1尾100円
駐車場:500円
集合時間:車…6時30分、電車…6時50分
出船時間:7時00分
納竿時間:15時00分