2018年06月01日公開
東京湾の初夏の風物詩とも言われるシロギス&アナゴのリレー釣り。正午過ぎに出船して夕方までシロギスを釣り、日暮れと共にアナゴ釣り―という「1粒で2度美味しい」欲張りな釣りだ。例年通り乗合船を出し始めた千葉県・行徳『伊藤遊船』から5月16日(水)に出船した。
リレー釣りは根強い人気
平日なので高速道路の渋滞を考え、9時過ぎに家を出た。やはり所々で渋滞があり、11時過ぎに江戸川放水路右岸側、地下鉄東西線鉄橋上流にある『伊藤遊船』に到着。店主の伊藤千鶴子さんがにこやかに迎えてくれた。既に数人の釣り人が店先で釣り談義をしていた。受け付け窓口横の船座ボードに名前を書いてから船代を支払う。この日は私を含め8人。南寄りの風がかなり強く吹いていた。正午を少し回った頃、小型船で沖に係留された本船(引き潮時は桟橋に着けられない)に渡った。これもまた趣がある。両舷に4人ずつの“大名釣り”だ。JR京葉線の鉄橋を潜って東京湾に出て一路中ノ瀬へ向かった。
南の強い風と速い潮流に苦戦
東京湾に出た途端、南風の強さが分かった。「支度が終わったら、波がかかるからキャビンへ入って下さい」と吉田正己船長。中ノ瀬に向かって速力を上げると波が船底を叩きウォーターシュート付きの快速艇のよう。波を被りながら風に向かって1時間30分程走ってエンジンがスローになった。スパンカーが張られ「水深は18m」のアナウンスでシロギス釣りがスタート。風が強いのでエンジン流し。一斉に仕掛けが投下されたが、オモリが勢いよくトモ(船尾)に流されて行く。潮が速いので小まめにタナを取り直さないとオモリが吹き上がってタナが取れない。ポツリポツリながら、ミヨシ(船首)でトモで「おっ、来た!」、「こちらも来たよ」の声。だが、潮温低下か食い込みが悪く「バレた」の声も頻繁に聞こえた。
釣れれば良型!ゲストはカレイやホウボウ
左舷トモから並んだのは幼馴染みで松戸市から連れ立って来たと言う3人組。まずは私の左隣の佐藤一郎さんがリールを巻き始めた。魚の引きと潮の流れで竿先が大きく撓む。釣れて来たのは25cmはあろうかという大型、まずはニッコリ。トモの大作節夫さんもハリスを掴んで白い魚体をぶら下げて見せてくれる。右舷のトモから並んだ3人は中学時代の同級生で、ゴルフ仲間だったが1人が目を悪くされてから釣りに変更されたとか。トモの斎藤誠さん(練馬区)は「潮が速くてタナが取れません」と言いながらもバケツには良型のシロギスが暴れていた。「遠くの方が見えにくくなってゴルフは止めました。先程これが釣れました」と話してくれたのは隣の高橋宏さん(練馬区)。バケツには綺麗なライトブルーのヒレを広げた中型のホウボウが泳いでいた。胴の間(中央)の谷口大二さん(流山市)は、「カレイが3匹釣れましたが1匹は余りに小さいので放流しました」とエビス顔。バケツを見ると手の平サイズのカレイが2匹と型の良いシロギスが4匹入っていた。ミヨシの吉畑篤さん(杉並区)は、「先日アナゴ釣りに来ましたが釣れませんでした。今日はリベンジです」と気合が入っている。型の良いシロギスを3匹釣っていた。
全員型を見る
幼馴染みグループの紅一点、金田まさ美さんは、タナ取りに苦戦していたが、「来たわ」と必死にリーリング。25cm級を釣り上げて思わずニッコリ。ここで私も竿を出した。硬めのシロギス竿にPE2号の道糸に片天ビン、オモリ20号、幹糸1.5号、全長70cm、上から30cmの処に枝ス10cm、ハリはキス競技用8号でチモトに蛍光玉。ハリにアオイソメを半分に切って通し刺し。風で絡まらないように投入、オモリがトモ寄りに流れる。チョイ投げして引いてくるがアタリなし。船下で小突いてもダメ、上げてみると餌を取られていた。餌を付け直してチョイ投げして引いてくるとひったくるような強いアタリ。竿先が引き込まれるので胸を弾ませてリーリング、白い魚体それも良型が2匹の一荷釣りにニンマリ。しかし、そう続くほど甘くはなく、次はサメだった。
食い込み悪くポツリポツリ
潮温が低下したせいか、食い込みが悪くバラシを連発。そんな中でも皆さん、ポツリポツリと釣り上げ、金田さんが5匹目を釣ったころで薄暮に包まれた。「あと10分でアナゴに移動します」のアナウンス。
この時点でシロギスはトップ9匹、スソ(最低)2匹。竿上げの合図で中ノ瀬を突っ切って木更津沖へ。辺りは暗くなり工場地帯や三浦半島のオレンジ色の灯りが色濃くなった。エンジンがストップすると暖かなカップラーメンが船長から配られた。
この風でアナゴの食い気は!?
竿はそのままで仕掛けだけを交換。釣り鐘オモリ25号、ハリス4号、7cmに蛍光ビニールパイプを通してハリはキツネバリ9号、オモリの20cm上部に集魚ライト(発光体)を取り付けて準備完了。6時半、「餌はアオイソメの頭部に少しハリ先を入れて真ん中にもハリを刺して団子状に何匹か付けるか、半分に切って何本も刺して房掛け状にして下さい。この風だからチョイ投げして、余り動かさない方がいいかも知れません。ゆっくり引いてきてもいいかも。アナゴの口は堅いからしっかり合わせて」と船長。
小型の“ハカリメ”が
投入合図間もなく胴の間の佐藤さんの竿に変化。クンクンと引き込み、間を置いて合わせると竿先がグングン、ライトの光の当たった海面にベージュ色の魚体をくねらせて上がって来た。小さいが“ハカリメ”だ(マアナゴを市場や年配の釣り人はハカリメと呼ぶ。側線に規則正しく白っぽい斑紋が並び、棒バカリの測量メモリに似ていることから付いた呼び名)。サイズは30cm強か?右舷のトモでも竿が曲がって40cm級が。リベンジに燃えたミヨシの吉畑さんは丁寧に小突きを繰り返し、30cm級をゲットして一安心。「キャー、来た、来た!」は金田さん。30cm級を取り込んだ。吉畑さんも2匹目をタオルで掴んだ。「やっと来ました」は大作さん、高橋さんも竿が曲がった。佐藤さんと吉畑さんが3匹を釣り上げた。
釣り期はこれから。条件さえ揃えば!
当日は生憎の強風で苦戦、アナゴはオデコ(0匹)も出て残念な結果だったが、風速18mの強風と速い潮で20号のオモリも吹き上がる状況下での釣果。「条件さえよければ…」と思われる結果だった。
※釣ったアナゴは、船長が捌いて身と骨をビニール袋に入れてくれる。
今回利用した釣り船
出船データ
集合:11時30分 出船:12時30分…沖上がり20時30分+