2018年07月01日公開
関東地区の釣り好きは、「走水」と聞くと大半の人が「大アジ」を連想する。アジは釣り人にとって馴染み深い魚の一つで、各地に様々な名前の付いた“ブランドアジ”が存在する。中でも有名なのが「走水の大アジ」。その“ブランドアジ”が「現在絶好調!」と聞き、走水港『広川丸』へ出掛けた。
走水の大アジも“金アジ”?
既に“ブランドアジ”としての地位を確立した東京湾の「金アジ」。一定場所に居付き、お腹にたっぷりと脂を蓄えて金色に輝く事から「金アジ」と呼ばれる。勿論、味は絶品で非常に人気が高い。東京湾内で釣れる“金アジ”は中・小型が多いのだが、走水で釣れる「大アジ」も“金アジ”なのか?『広川丸』の安田隆史船長に話を聞くと、「走水沖で釣れるアジは居付きや回遊のものなど多種交じる」との事。その中で居付きのアジは幅広で金色に輝くいわゆる“金アジ”で、サイズは35cmを超えるものも交じってくるとの事だ。
潮流が速いので「走水」?
「走水」という地名の由来には諸説あるが、釣り好きの私としては走水の位置が富津と観音崎に挟まれた東京湾で最も狭い浦賀水道にあるためにその潮流の速さから来ているものと思っている。その速い潮流にもまれ、ふんだんに餌を食べた走水のアジが大アジとなるのも頷ける。潮流が速いので、走水のアジ釣りではビシも重めの150号を使用する。
グループ、初心者に大人気!
『広川丸』の出船時間は午前7時20分。6時過ぎに到着するともう既に多くの人が。グループで釣行している人が多く、5人グループが2組、4人グループが1組の計18人で満船との事。しかも驚いたのが18人の内、13人が貸し竿組。『広川丸』は初心者やグループに非常に人気が高い。理由は乗船後に気付く事となるが、初心者でも本当に気持ちよく、不安なく釣りができる船宿なのだ。
至れり尽くせりのサポートに驚き
受け付けを済ませ、港で船を待つ。7時前に安田船長操船の「第八 広川丸」が接岸。なんと13本の貸し竿が既に全てセットされていた。HPに「クーラーだけ持参で気軽にお越しください」と書いてあったが、確かにその通り。乗船すると道具の使い方や釣り方を船長がレクチャーしてくれる。そして至れり尽くせりのサービス。最後に女将さんまで同船してくれ、船長と女将さんが船上でフルサポート。これなら初心者でも本当に何の心配もいらない。
朝イチは激渋からスタート
大アジのポイントまでは走水港を出て10分程。水深は40m前後。ポイントを見定めてアンカーを下ろしていざスタート。船長からの指示ダナは海底から3m。
「1回底まで落として、糸の1mのマークを使って3m上に巻き上げて待ってください」との丁寧なアナウンス。初心者のメンバーは見様見真似で指示ダナで待機。前日までは連日50匹近い数が釣れていたので、この日も朝イチから“爆釣”の期待。しかし…見事な肩透かしで、朝イチはアタリが全く来ない。雨予報もあり、どんよりした空気が流れる。
最初の1匹は35cmオーバー!
最近の傾向では上げ潮が吉と出ることが多いそう。この日は朝イチが下げ潮。下げ止まったと思われた午前8時丁度に左舷ミヨシ(船首)で最初の1匹が上がった。しかも35cmを超える大アジがいきなりお出まし。続いて右舷で会社メンバーと釣りに来ていた根本夏稀さんにも。実はコマセの交換のつもりで、魚がいるとは思わず巻き上げていたとは、彼女の名誉のために…秘密です。その後はアタリの出方をすっかりモノにして、数を上げていた。
午前9時半。いきなりスイッチON!
しかし、アタリは続かない。連日の“爆釣”が嘘のように穏やか。アジは釣れ出すと入れ食いだが、何か気に入らないと全く口を使わないということも多々ある。「悪い方に当たってしまったのか?」。不安な時間が流れる。走水の名前には似つかわしくないほど穏やかだった潮が、少し動き出した午前9時半。その時は訪れた。
何をもって急にスイッチが入るのか不思議だ。船中でアタリが続く。左舷トモ(船尾)でお父さんと釣りに来ていた湯脇翼君(6歳)。お父さんの慶介さんと釣ったアジをわざわざ見せに来てくれた。「良かったねー!」と記念撮影。右舷ではバイト仲間で釣りに来ていたグループも全員が顔を見た。
42cmの特大アジが顔を出す
コマセがすっかり馴染んでアジの入れ食いは続く。この日沖釣りデビューの翼君にもやっと魚が釣れた!初めて釣った魚に零れる笑顔はプライスレス。子供のサッカー教室でつながったお父さんグループで釣りに来ていた井上孝之さんには、ひと際強いアタリ。置いていた竿がガンガン叩かれる。上がってきたのはこの日最大の42cmの特大アジだった。
噂通りの大アジメインでお土産十分
前半の苦戦が響き、この日のトップは18匹と最近にしては物足りない結果となってしまった。しかし、釣れるアジは回遊性の筋骨隆々とした大アジ、居着きの脂たっぷりの“金アジ”など、様々なアジが入り交じってお土産としては十分な釣果。メインで釣れたアジは30cmを超える大アジなので、クーラー満タンの人も。この日は初心者が多かったので、見慣れぬ大きなアジに喜びの声も多く、楽しい釣行となったようだ。走水沖のアジ。是非、チャレンジして頂きたい。