2018年08月01日公開
「“江戸前”マダコ」。最近では、釣り人ならずとも知っている超高級食材。全国ブランドとして名を馳せる「明石のマダコ」にも勝るとも劣らぬその味は絶品だ。当然、その市場価格も超高級にふさわしくなかなか手が出ない。これは自分で釣るしかない。昨年初めてトライして、ビギナーズラックで2杯を手にした。その時の味が忘れられず“2匹目のドジョウ”を狙って鶴見『新明丸』に出掛けた。
噂通りの交通の便の良さ
既に過去のオフショアマガジンで、交通の便の良さは紹介されているので詳細はそちらをご覧頂きたいが、JR鶴見駅から徒歩7分という近さに加え、出船時間が午前7時30分と遅めなので、電車釣行も十分可能だ。しかも竿やリールが不要のマダコ船、クーラーボックス片手に気軽に電車で行ける(勿論、駐車場も完備)。
鶴見川沿いに船着き場
鶴見川に架かる潮見橋袂に船宿がある。受け付けを済ませ、鶴見川沿いにある船着き場に向かう。100m程下流に進むと船室に大きく「たこ」の看板が。釣り座は早い者順で確保。この日は8人が左舷に陣取っての片舷釣りとなった。マダコのポイントは港を出てすぐの場所から、東京湾一帯に点在。この日の最初のポイントまでは15分程。
自分の手と指の感覚が命
マダコ釣りの最大の特徴は、ロッドやリールを使わず、手と指がその代わりをする(一部地域では竿釣りも行われている)、いわゆる手釣りだ。仕掛けはシンプルで、竹板に50号のオモリと2本のカンナがついたタコテンヤに餌のカニを縛り付けるだけ。これをテトロンライン20~26号の道糸に結びつけて、マダコの潜む海底に沈めるだけ。
「だけ」と言いながらここからがテクニックのいるところ。マダコがいる場所はゴロタ石や根が点在して根掛かり必至の場所。着底を確認したらこぶし一つ分ぐらい上げて、指先の感覚を頼りに根掛かりに最大限注意しながら上下動を繰り返す。イメージはカンナの先が海底をコツコツ叩くような感じ。
根掛かりと“アタリ”の違いが分からないと…
コツコツと叩いていると、ガツッと鋭い重さを感じるのが根掛かり。ムニュッとした重さを感じるのがマダコ。初めてやった昨年は、この違いが分からずにガツッで合わせを入れて根掛かり連発。ここには2つの誤りがあり、まず1つ目がマダコに即合わせは厳禁。重さを感じてもしっかりとカンナにマダコが乗るまで10秒くらい待つ。そしてもう1つは根掛かりに合わせを入れてしまうとしっかりと根掛かってしまう。カンナはカエシがないのでテンションを緩めると根掛かりせずに済む。
夏から秋にかけては数が狙える
東京湾のマダコは、春先に生まれて基本は1年程の寿命。夏頃に海水温上昇と共に浅場に移動してきて餌を活発に食べてグングン成長する。つまり夏から秋口にかけて急激に成長するわけで、数、型共に狙える旬となるわけだ。
船中、初獲物は800g級!
午前8時前にスタート。連日の猛暑で海面付近は30度近い水温。一方海中は地上程季節が進んでいないようで、表層と底付近ではまだ水温に差がある模様。「型は見ているが、最近は若干の乗り渋り傾向」と、船長。不安があったが、開始早々に型を見た。左舷トモ(船尾)で手を出す(竿ではない)小林天さんが早々に最初の1杯を釣り上げた。サイズは800g程。これを皮切りにポツリポツリながら船中で型を見る。高橋英夫船長の話では、表層の水温がまだ上がらない朝の内が最近の“当たり時間”だそう。今回が初めての今田常秋さんにも待望のマダコが。底を取っているのかマダコが乗っているのか違いが分からなかったが、初のマダコで明確な違いを感じたそう。
痛恨の早合わせ!
中盤はミヨシ(船首)の阿藤浩司さんの独壇場。アタリを感じて待つこと10秒。マダコが乗ったのを確信すると右腕で大きな合わせ。あとはテンションが緩まぬよう右手、左手と交互に慣れた手つきで素早く手繰ってくる。怒涛の4連荘。ここで私も阿藤さんの横で実釣開始。昨年学んだ事をしっかりと思い出してコツコツと叩く。早々にムニュ…「来た!」。大きく合わせて右手、左手!「アッ、軽くなった」。痛恨の早合わせ。そしてまた15分程で2度目のムニュ…今度は自分的に10秒待つ。大きく合わせると明らかな重さ。今度こそ乗った!!手繰ってきて残り数m。ここでまた急に軽くなる。まさかの2連続バラシ。自分的には10秒待ったが、実は2、3秒程だったそう。反省しきりでこの日は惨敗となった。しかし、マダコのアタリと根掛かりとの違いが明確に分かり、テンヤを無くさなかったのが今回の収穫と考えよう。
万全の暑さ対策でいい思いをしよう!
『新明丸』の沖上りは午後3時。猛暑日の強烈な日差しも若干緩み始めた午後2時過ぎ頃からは小林さんが俄然猛追。立て続けに4連荘して、1.5kgを頭に合計6杯を釣り上げてトップ。阿藤さんが5杯で2位。最後に合田さんと一緒に初マダコに来ていた今泉健太さんが待望の初マダコをゲットした。
私は2回目だが返り討ちを食らう形となった。次回こそは「釣れた」ではなく「釣った」といえるマダコをゲットしたいと思う。
これから海水温が安定してきて、マダコも本格的に釣れるようになる。『新明丸』では、9月一杯は乗合船を出すとの事。「買えぬなら、釣ってしまおう江戸前マダコ!」。1度食べたら病みつき必至です。
今回利用した釣り船
出船データ
出船時間:午前7時30分~午後3時納竿
乗船料金:9,000円(餌付き)、女性・中学生以下は半額サービス。
※タコ枠(テトロン道糸など)レンタル無料、テンヤは1個700円