2018年08月15日公開
8月1日、東京湾のカワハギ一級ポイント「剣崎沖」が“解禁”を迎え、多くの釣り人が神奈川県・久比里に集まった。“夏カワハギ”の代名詞、剣崎沖は水深も浅く、大型も期待出来るので人気が高い。根がキツくテクニックを要求される剣崎沖のカワハギ釣り、秋、冬の本格シーズンを占うバロメーターにもなっている。今年は、どんな展開になるのか…。久比里『巳之助丸』に出掛けた。
乗り合い、仕立都合4隻が出船!
久比里『巳之助丸』は、周年カワハギ船を出し、春夏秋冬様々なカワハギポイントを熟知している老舗船宿である。横浜横須賀道路佐原ICを降り、夫婦橋を目がけると船宿が見えて来る。この日は乗合船の他に3隻のカワハギ仕立船が入っている盛況振り。平日でも駐車場は満車状態。朝方から「気温も暑いが釣りも熱い」そんな予感がする“解禁日”となった。
ベテラン達は複数の竿を用意!
乗合船は「第21巳之助丸」。本来なら竿を出し、解禁直後の剣崎沖の感触等もお伝えしたい所だったが、乗合船も混雑が予想されたので常連さんのテクニック、ノウハウを取材する事にした。撮影の準備をしていると、常連の北原さんが左舷ミヨシ(船首)で餌のアサリを剥き始めた。「いつも餌は剥いてますよ」と、見事な手捌きで綺麗な剥き身が出来上がって行く。昔は先輩から「これが出来たらカワハギを語って良し!」と厳しい指導も有ったが、アサリの剥き身も800円で販売されているのでビギナーや到着時間が遅くなってしまう人は、船宿が用意した良質な餌が手に入るので安心だ。注目したのは船縁に置いてあった仕掛け、完全な手作り。“集器”までがオリジナルだ。竿も3本準備され、それぞれ調子が違うとの事。殆どの人が調子違いの竿を数本持ち込んでいるのもカワハギ釣りの特徴だ。
いざ剣崎沖へ
午前7時30分、乗合船は臼井浩喜船長の操船で岸払い。橋を潜りながら平作川を下っていく。海上はナギで、剣崎沖に向けて走り始めると心地よい風で快適だ。航程約30分。船長の合図でスタート。水深は13mと浅く、まさに“夏カワハギ”のポイントだ。仕掛けを投入すると道糸は横に走り潮が速い。「アタリはあるが、潮が速くて掛け辛いな」と、右舷ミヨシで奈良さんが餌を取られた3本バリの仕掛けを見せてくれた。確かにこの時期、海水温も高くカワハギ以外の魚の活性も高い。「少し潮が緩んだ時がチャンスですね」と話していると、左舷胴の間(中央)の錦織さんにカワハギがヒット。船中初獲物は22~23cm級のカワハギのダブルでスタートとなった。直ぐに右舷大ドモ(船尾)、3人で乗船していた岡本さんにもカワハギがヒット。一旦釣れ始めるとパタパタと連続して釣れ始めた。ただバラシも多く「速い夏の潮」に加え、型の良いオキトラギス、ササノハベラの反応も高く苦戦を強いられた。これも“解禁”直後の「場荒れしていない」と言う証拠。大型が期待出来る。北原さんが「やっと来たよ」と“本命”を上げた。船を移動するたびに船中数匹上がるが、この時期カワハギは広範囲に散っているので「拾い釣り」になる。これも“夏カワハギ”ならではの展開だ。
潮が緩むと…
少し潮が緩み始めると、水深17~20mでカワハギのアタリがコンスタントに出て来た。道糸が真っ直ぐに立ち、アタリが取り易くなった。左舷大ドモの竹本さんが連続でカワハギをヒットさせ、錦織さんも良型を上げる。型のアベレージも一回り大きく25cm級がヒットして来た。2人とも「アタリから合わせのタイミングが合って来た」と話していた。この時合で竹本さんの29cmを皮切りに、あちらこちらで25~29cmの良型がヒット。ハリス切れも多発。更に大きいサイズが居たに違いない。水深が浅く、大型カワハギの引きが思う存分味わえる剣崎沖のポテンシャルの高さを垣間見る事が出来た。
奈良さんも「何とかなって来たよ」と嬉しそうにカワハギを上げていた。「大きいんじゃないの」と声が上がり、岡本さんの友人、伊澤さんが強い引きに耐えている。残り数mで道糸が円を描き始めた。間違いなく良型の動きだ。上がって来たのは29cmと22cmのダブル。後半は連続ヒットあり、ダブルありとカワハギの活性アップ。そのまま午後2時30分、沖上がりの時間を迎えた。
帰港しながら「夏カワハギの料理法は?」と聞いてみると「煮付け」、「干物」、「フライ」という声が返ってきた。様々な料理を試してみてはいかがだろう。
好調3人の仕掛けを見せて頂く
竹本さんと錦織さん、岡本さんに仕掛けを見せて頂いた。竹本さんは、中オモリは使用せずガン玉オモリを仕掛け上部にセット。「中オモリだとこの時期、潮の速さでアタリが取り辛い」との事で、通常の25号のオモリは底に付けて、ガン玉オモリを使い、「叩き」で誘い、食わせの間をかなり取って釣っていた。ハリは丸セイゴ系。錦織さんは、中オモリ、ガン玉共に使用せず“集器”を使用。これもシールタイプで重量の無い物だった。誘いは、誘い上げから誘い下げで、オモリは底に付けてアタリを待つ釣り方。ハリは最近流行の「スピード系」の吸い込み重視タイプ。共通していたのは「この時期の中オモリが潮の影響を受けると感度が悪くなる」と話していた事と、底からタナを切り1~2mを狙うという事だった。ハリは違うものの竿のタイプも酷似していて、微妙な釣り方の違いで釣れるタイミングが違ってくるところが面白い。岡本さんは中オモリに“集器”を付け、やや弛ませる釣り方。数は上げていたが弛ませ過ぎるとトラギス、ベラの確率も上がってしまい、根掛かりも多発。ハリはハゲバリだった。
剱崎沖は尺超えの実績も
「剣崎沖の水深10~20mを狙うカワハギは、水深が浅くて引きがダイレクト、そこが人気です。これから秋に掛けて竹岡沖等にポイントも広がるので是非楽しみに来てください」と臼井船長。
順調にスタートを切った剣崎沖のカワハギ。“尺(約30cm)”超えの実績があるポイントなので、ハリの種類やハリスの号数などしっかりと準備して狙った頂きたい。また、カワハギ釣りは難しいと考えがちだが、実はビギナーにも子供にもお勧めで、アタリが分かり易く色々な魚が釣れてくるので初心者程楽しいはず。虫餌が苦手な人もアサリ餌なので夏休みにファミリーで楽しんでみては如何だろう。
今回利用した釣り船
出船データ
出船時間:午前7時30分
料金:殻アサリ付き…8,700円、アサリ剥き身付き…9,500円、アサリ剥き身800円、氷150円
学割あり/小学生:2,000円引き、中学生:1,000円引き、高校生:1,000円引き