2019年01月01日公開
神奈川県・真鶴岩港『緑龍丸』では、“カワハギ&コマセカワハギ”というユニークなネーミングの船を出している。一体どういう釣りなのだろうか。興味津々で仕立て船に同乗させて頂いたが、それはカワハギの生態に叶った納得の大型狙いの釣り方だった。
カワハギの補食の仕方に叶った“コマセ釣り”
真鶴岩港は、神奈川県西部の真鶴半島の付け根付近に位置する静かな漁港(車でのアクセスは、巻末の「緑龍丸HP」で詳しく紹介されているので参照)。風光明媚な岩場が続く海岸線、海はきれいに澄み、美味しい魚が豊富だ。さて、“カワハギ&コマセカワハギ”とは一体どんな釣りか?『緑龍丸』の向笠(むかさ)仁志船長に聞いてみた。「簡単に言いますと、カワハギの補食の仕方を観察すると、1度吸い込んだ餌を吐き出して改めて食い直しています。吐き出す時に餌の匂いやカスが撒き散らされ、これがコマセの役割をして周辺のカワハギも寄って来ます。それなら最初からアミコマセでカワハギを寄せてしまえば早いじゃないか、という釣りです」。
胴突き3本バリ仕掛けの上部にコマセカゴをセット
この日は晴れて暖かいナギの金曜日、11時30分集合という事で11時頃港の駐車場に到着した。既に仕立てメンバーが揃っていて釣り仕度に忙しそうだ。4人全員が同じ会社の釣りクラブのメンバーとのこと。『緑龍丸』の女将から駐車証を受け取り、11時30分に船着き場に移動。乗船名簿を記入し船に乗り込んだ。各自に配られたのは、アミコマセとコマセカゴ。そして、つけ餌のアサリの剥き身。道具は竿やリールから仕掛け、オモリまで、通常のカワハギ釣りに使う物と同じ。ただし、船長が用意してくれたコマセカゴを仕掛け上部にセットする。見た目は小アジのサビキ釣りの仕掛けのようだ。
着底したらコマセを撒き、餌とコマセを一致させる
正午、「第三緑龍丸」は定刻に出船。「かながわの橋100選」に選ばれた港口に架かる美しい岩大橋を潜り海へ出る。航程10分程で釣り場に到着。「はい、どうぞ」と船長の合図でスタート。ハリにアサリの剥き身を刺し、コマセカゴにアミコマセを入れ、仕掛け投入。水深は25m前後。一旦、オモリを着底させる。この釣りでは、「叩く」、「弛ませる」といったカワハギ釣りではお馴染みの釣り方はしない。オモリが着底したら竿を小さく鋭く何度か煽ってコマセを撒く。餌がコマセの煙幕の中に入るように少し巻き上げてアタリを待つ。まず船中第1号は右舷胴の間(中央)の石渡さん(厚木市)。右舷大ドモ(船尾)の松田さん(熱海市)に第2号。その後中々調子が上がらず苦労したが、右舷ミヨシ(船首)の勝俣さん(小田原市)にもヒット。型はいずれも20cm弱。滑り出しはまずまずだ。
コマセが効き始め、少しずつ活性が高まった!
これまでに釣れたのは全てコマセの流れていく下(しも)の右舷側。左舷側ミヨシの池口さん(小田原市)と胴の間の山川さん(平塚市)は、アタリがないままじっと我慢で潮変わりを待っていた。この日は15時過ぎが満潮、その少し前だった。左舷胴の間の山川さんにいいアタリ。ギューンッと引っ張られ、30cm級のサバをゲット。続いて“本命”カワハギ。山川さん絶好調。更に40cm近いウマヅラ、同型のメイチダイ。美味しい魚ばかりだ。左舷ミヨシの池口さんにもカワハギが来てオデコが消えた。コマセが効き始めると爆発的に釣れるようだ。池口さんは、「この釣りでは、1kg絡みのイシダイやカイワリも釣れるんですよ」と、期待に目を輝かせこの釣りの魅力を語ってくれた。
底から4、5m上まで誘いながらタナを探ると!
太陽が傾き、真鶴半島の山の端に沈もうとしていた。空は鮮やかなオレンジ色に染まり、マジックアワーが訪れた。船長が「タナをどんどん上げて!4、5mでも食って来るから」とアドバイス。小さくきき上げてはその分リールを巻き、上へ上へとタナを探る。「アタりまくっているけどバレるね」と、石渡さん。「よし!今度は掛けた。アタッても合わせず向こう合わせでしたよ」と言う石渡さんのカワハギは23、24cmの良型だった。この後釣れたカワハギは良型ばかり。山川さんは良型をダブルで、池口さんはこの日最大の27.5cmを見事釣り上げ、勝俣さんも25、26cmのビッグサイズを2匹連釣!
40cm級も夢じゃない岩沖のカワハギ釣り
良型カワハギの活性はどんどん高まった。17時頃、辺りが薄暗くなって盛り上がりの中で沖あがり。池口さん待望のイシダイは交じらなかったが、17~27.5cmのカワハギが2~26匹と上々の成績。竿頭は松田さん、2番手は勝俣さんで14匹。後半ほど大型だった。船長は、「コマセカワハギはまづめ時に大型を浮かせて釣る-これが醍醐味です。普通のカワハギ釣りとは釣り方が違うので、最初バラシが多かったようですが、最後には手が合って来ていましたね。カワハギがコマセに付いたら、カゴは外してもOKです。色々工夫して楽しんで頂ければと思います。それと、年に何匹か40cm級の超大型も釣れます。今度釣りに来てください」と船長。40cm級!是非釣ってみたいものだ。
今回利用した釣り船
出船データ
料金:予約乗り合い=1万円(餌・氷付き)、仕立て=土日祝5人まで4万円(餌・氷別、平日少人数割引あり)
出船:午前船=6時、午後船=12時
貸し道具:あり
※詳細はお問い合わせください。
この記事を書いたライター
0mの海面から水深1,000mの超深海までのレンジで、数cmのハゼやキスから、イカ・タコの軟体動物、数十kgのキハダやベニアコウまでの様々な魚を狙うフィッシング・ライター。