2019年01月01日公開
このところ一般的に定着した感のあるアジのルアーフィッシング「アジング」だが、船から大アジを狙う通称「バチコン」と呼ばれる新スタイルの釣り方をご存知だろうか。「バチコン」とは、リグ(仕掛け)を魚のいるレンジ(タナ)にバーチカル(垂直)に落として魚にコンタクト(接触)することの意味。駿河湾で大アジ狙いのコマセ釣りの船で、話題の「バチコン」が出来る船宿があると聞き、静浦港『第八幸松丸』に出掛けた。
東名高速・沼津ICから20分程
カーナビには、「静岡県沼津市獅子浜243-1」をセット。静浦港へは、東名高速・沼津ICから20分程で到着。道中24時間営業の地元の釣具店もある。静浦港内に入り右手の『静浦漁協』の建物を過ぎたところの「つり舟→」の看板を目印に右折、岸壁沿いに進むと船着場に到着。『第八幸松丸』の船の前が駐車場となる。
集合時間の午前5時半少し前に到着。外気温は10℃。この時期にしては大分暖かいが、この日の予報は生憎の雨。まだ暗闇なので、船に乗り込むのは必ず船長の指示に従うこと。安全第一だ。また、LEDライト等を用意しておくと便利だろう。出船準備が整った定刻少し前の5時50分、餌釣り6人、バチコン2人の計8人が乗り込んで河岸払いとなった。
“初獲物”は、「バチコン」で!
30分程でポイントに近づくと船がスローダウン。暫しの探索のあと、船長から「はいやって!90mから振って82m!」とコマセ釣りへのタナ指示のアナウンス。天気予報通りの雨の中、6時30分頃、餌釣りより先にミヨシ(船首)のルアーマン、渡辺サニーさん(静岡県)のロッドが大きく弧を描いた。90m以上の水深からPE0.4号という細糸で繰り広げる大アジとのファイトは、非常にスリリングだ。巧みに大アジの突っ込みをかわし、船中最初の1匹目を手にした。
「3mからステップジャークで誘って、5mで待っていたらアタリました。いつも餌釣りが先に釣れるのに、バチコンが先なんて嬉しいですね」とご満悦。その後、続けて同じくバチコンで狙う市川太郎さん(静岡県)が良型アジを上げた。
エダスの長さは自由自在、逆ダウンショット
「バチコン」のリグは、通常ダウンショット、いわゆる胴突き仕掛けが基本。形状は胴突き仕掛けだが、リーダーとジグヘッドを直結し、リーダーに捨て糸をハーフヒッチで4回程結ぶ逆ダウンショットというリグを使う(通常のダウンショットは、リーダーとオモリが直結となるため逆)。このリグの利点は、エダスの長さを可変に出来る点だ。
「バチコン」の釣り方
ルアーマンの渡辺さんに「バチコン」の釣り方を聞いた。「底を取ったらトラギスやヒメ等に食われないようにするため3mタナを切ります。その後タナは、細かくステップジャークで誘い、5mまで誘ったらステイでバイトを待ちます。バイトは、“コツン”と出るときや、ひったくっていくようなアタリがあったら即合わせします」とのこと。アクションは、この他にカワハギ釣りのようなタタキを入れたり、ゆっくり誘い下が有効な場合等のパターンがあるようだ。レンジについては、餌釣りのタナ指示を参考に、3~15mの範囲で探るとのこと。
その後は、コマセ釣りはポツリポツリと釣れ出したが、「バチコン」勢は沈黙。ほどなく沖上がりとなった。
当日の釣果は、コマセ30~57cmの大アジを船中14匹でトップは4匹が2人。“ゲスト”に2.5kgのマダイ1匹。「バチコン」は40~55cmの大アジを2人で3匹だった。それにしても沼津沖のアジのサイズには驚かされた。
船長に聞いた今シーズンの状況と今後
今シーズンの状況と今後について松坂孝憲船長に聞いてみた。
「今年は、アジの“当たり年”でとにかく型が良い。シーズンは1月一杯位までだね。バチコンをやる人は、まだまだ少ないけど大歓迎ですよ。でも、コマセ釣り組と一緒じゃないと、アジの足が止まらないからね。コマセに着いた群れが船下に着けば入れ食いになりますよ」
誘い方と合わせについては、「バチコンのアクションは、ちょいちょい上げて誘って食う時と、ゆっくり落として食う時とがあるね。合わせは、アタリが出たら“即合わせ”すると上アゴの良いところに掛かる。バチコンは、他の釣りものにも広がりがあると思っている。今後、アマダイとかでもいけるんじゃないかな」 『第八幸松丸』では、今シーズン、コマセ釣りで65cmの大アジが出ているとのこと。バチコンで“テラアジ”も夢ではないかもしれない。天気が良ければ富士山を眺めながら釣りが出来る駿河湾。年初めの運試しも兼ねて大アジ狙いに出掛けてみてはいかがだろう。
今回利用した釣り船
出船データ
料金:バチコンルアー9,000円(氷付き)、コマセ釣り10,000円(餌、氷付き)
出船:午前5時30分集合、午前6時出船※出船時間は要確認
この記事を書いたライター
マルイカ、ティップラン、ワカサギなどを中心に海水淡水を問わず釣りの帰りに温泉に立ち寄り、「釣り&温泉」をテーマに釣り歩く。