2019年02月01日公開
冬の東京湾の風物詩の1つのスミイカ釣り。中ノ瀬沖の水深6、7mで釣れ始め、節分頃には久里浜沖から下浦沖の深場(水深60m前後)に落ち、型も800g級のビッグサイズが交じるようになる。「大型交じりで安定して釣れてますよ」。神奈川県・久比里港『山下丸』の山下克範船長からの情報に24日(木)、出掛けた。
北風の強風予報でも…
午前6時、『山下丸』に着くと三浦半島に強風注意報が出ているにも関わらず、駐車場は車で埋まっていた。受け付けを済ませた頃には、空が明るくなって来たのでスミイカの表示されている船を探す。カワハギ船やアマダイ船も出るので各船に釣り物の掲示がある。スミイカ船「第31山下丸」は、一番手前で桟橋に横着けされていた。両ドモ(船尾)と左舷のミヨシ(船首)に竿が立っている。私は空いていた右舷のミヨシに座った。7時を過ぎアマダイ船、カワハギ船が次々と桟橋を離れた。7時30分、スミイカ船は5人の釣り人を乗せて舫綱が解かれた。操船は東京湾を知りつくしている店主の山下克範船長だ。
スタートは久里浜港沖から
満潮に近い平作川を下る。途中潜る橋桁が低いので山下船長が「竿を寝かせてください。首を引っ込めてください」と注意を促しながら船を進める。5分もしない内に眼前が開け久里浜港に出た。帆柱が立てられ、久里浜港を出ると、北風が強い。「ウサギが跳ぶ」と言われる白波が立っていた。10分程で船首が北に向けられエンジン音が低くなり、「やってください。オモリ25号、水深55mです」と船長からスタートの合図。
北風の中、潮も止まってスタートは苦戦
右舷トモの中田利男さん(横浜市)は胴突き仕掛けのスミイカは初めてと言う。仕掛けを見るとアオリイカ釣りなどに使うエギ、色はオレンジ。「帰りに眠くなるので電車で来ました」と言う胴の間(中央)の殿谷武郎さん(浦和市)は、2.5m位の長竿でウキスッテは上部赤半分、下半分がブルーの2色分けの布スッテ。左舷では「スミイカ釣りが大好き」と言うミヨシの山口仁利さん(横浜市)は、スミイカテンヤ用の長竿でオレンジ色のウキスッテ。左舷トモの梶原文二さん(横浜市)は「アマダイ釣りに嵌まっているが、今日はスミイカ釣りに来ました」と言っていたが2m前後の柔らかめ竿でウキスッテはオレンジ。
期待の第1投。各自が選んだ色とりどりのスッテが25号のオモリに引かれて海中へ消えた。水深60m近い海底に着底するまでは少し間がある。オモリが海底に着底したら糸フケをとってシャクリを開始。殿谷さんは竿先を小刻みに振ってから大きくシャクる。中田さんはエギングのように絶え間なくシャクり、山口さんはスミイカテンヤでの釣りのように長竿を大きくシャクリを繰り返していた。トモの梶原さんも絶え間なくシャクる。しかし、潮止まりの時間でスミイカからの反応なし。
我慢で潮が流れ出すのを待つ
私は、スミイカテンヤにシャコを縛り付けてのオーソドックスなテンヤ釣りばかりで、胴突きはアオリイカで似たような釣りをしただけ。胴突きのスミイカ釣りはやったことがない。席に戻って急いで仕掛けの準備、1.75mのアオリイカ用の竿、中型両軸リールに道糸PE2号、仕掛けは幹糸4号、全長80cmで途中60cmの処に回転ビーズ、捨て糸の長さは20cm、枝スは50cmでブルーのウキスッテ(仕掛け図参照)。準備が出来て満を持して投入、オモリの着底を確認して15秒程待っては竿先1mくらい鋭くシャクリ上げてを繰り返す。オモリが着底した時に道糸を弛ませてイカが抱き着く間を持つことがキモ。それと飽きずにシャクリ続けることが最大のコツだ。しかし、ここでもイカの反応はなく、「移動します」と船長から合図。
イカを探して湾口に南下
船長はイカを求めて“ウサギの跳ぶ”久里浜沖から野比沖、三浦海岸沖、下浦沖と船を移動。これでは取材(写真に)にならないと心配が胸をよぎる。しかし、それは杞憂だった。潮が動き出した9時半過ぎ、長竿でシャクっていた殿谷さんの竿先がグイッと沈むと「乗った」の声。そちらに顔を向けたその時、私のシャクった竿にもズンと手応え、ほぼ同時に竿先が絞り込まれた。竿を立てスピードを変えずリーリングする竿先には茶褐色の姿が見えた。“本命”のスミイカだ。同時に取り込んだが、私のは400g級、殿谷さんのはデカイ、700g級だ。
強風の中、ポツリポツリと
強風も一時より弱まって来た。エギでシャクっていた中田さんにアタリ。胴調子の竿が弧を描く、60mの海底から500g位のスミイカが姿を見せた。ここで取り込み時に墨の歓迎を受ける。獲物を桶に収めた後に海水をくみ上げて周辺の墨を洗い流す。これも釣り人のマナーだ。船長は、ノリ具合を見ながら少しずつ場所を替えて流し直す。「今日はノリが悪いよ」と言っていた山口さんも、「やっと来ましたよ」と竿を大きく煽った。殿谷さんが2杯目の500g弱をタモに収める。続いて私も400g級をゲット。山口さんも1杯釣ると調子が出たのか、間も無く2杯目を釣り上げた。殿谷さん「何か変だ」の声、竿先がわずかに曲がっている。60mからのリーリングも可愛いイイダコに苦笑い。
下浦沖に移動した頃風も凪いで来た
船長は、船を灘寄りや沖に移動。すると、風と波も時間とともに凪いで来た。10時過ぎ、オレンジ色のウキスッテに変えた中田さんの竿先が持ち込まれた。そしてほぼ同時にオレンジ色のトトスッテに変えた殿谷さんの竿も弧を描く。並んでいるミヨシの私にもと思っていると、間髪いれずにズン。「時合か!?」。3人ほぼ同時に乗ったのだ。殿谷さんのは、またまた800g級、私のは600g級。「久しぶりに乗ったよ」の声は山口さん。「横着して座っていてシャクるには、長い竿がいいんだよ」と言いながら良型を取り込んだ。バケツを見ると墨にまみれて4杯の茶褐色の姿が見えた、他にマルイカも入っている。
ストのマルイカが竿先を賑わす、“ベンケイ”も
殿谷さんのシャクっていた竿先にモゾモゾとアタリで竿が僅かに撓った。上がって来たのは25cm位のマルイカ。嬉しい“ゲスト”だ。その後すぐに中田さんにもマルイカが釣れた。苦戦していた左舷トモの梶原さんにもマルイカが乗った。私のシャクリ上げた竿にズン。慎重にリーリング、グイグイの引き込みに「アオリイカか」と思った途端軽くなってしまった。上げて見るとカンナ(ハリ)にイカの身切れがついていた(カンナの身切れは綺麗に取り除いておこう。少しでも身切れが付いているとイカは乗らない)。またまた殿谷さんの竿が撓った。重そうだ。ゆっくりとリーリング、姿を見せたのは“ベンケイ”と呼ばれる大型マルイカ。続いて私の竿がフワーと重くなった。私にも20cmオーバーのマルイカ。船中全員に“ゲスト”のマルイカが釣れた。そして私にツキが回ってきた。シャクって間を置くと、竿先が持ち込まれ、スミイカの良型も交じっての怒涛の3連荘。そして、マルイカも最終的には4杯をゲット。中田さんに山口さん、殿谷さんも“本命”やマルイカが乗った。「2時半に上がります」の船長のアナウンス時に殿谷さんと私の竿に同時にアタリ。2人共7杯目を取り込んだ。朝の内の心配もなんのその。スミイカは7杯が2人、他は6杯、5杯、ツキに見放されてオデコも出てしまったが、“ゲスト”にマルイカも来て悪条件下では上々の成績だった。
3月一杯は楽しめそう!!
「まだ400g級も交じっているので、潮さえ流れれば3月くらいまで楽しめますよ。水深も今日のように最も深いところで65m位です。胴突きなので底にいるイカに抱き着く間(糸を弛ませて)さえつかめれば初めての方でも楽しめます」と、船長は明るい見通しを立てていた。
今回利用した釣り船
〒239-0828 神奈川県横須賀市久比里1-3-3
TEL:046-842-8856
定休日:第2・4・5水曜日(定休日が祝日の場合、変更して営業) 釣果・施設情報 山下丸 ホームページ
出船データ
氷別料金:150円
出船時間:7時30分
沖上がり:14時30分