2019年05月01日公開
三重県・紀伊長島の『石倉渡船』では、ボート釣りの他に磯釣り(瀬渡し)も行なっている。知る人も多いのだが、今回はこの磯での釣りを取材。磯釣りも好きな私は、いつもと違う“素材”に心踊らせ、現場に向かった。
磯釣りは日の出直前に出船
今回出掛けたのは、『石倉渡船』。待合所、桟橋は大勢の釣り人で賑わっていた。磯釣りは日の出直前に出船するのがセオリーだ。レンタルボートよりも早めの出船となるのだが、駐車場で準備をするボート釣り師を横目に見ながら、午前5時30分、石倉徳光社長が操船する「あさひ丸」は静かに出船した。
湾内を選ぶか沖磯にするか
『石倉渡船』では、レンタルボートなどのスタイルから、マンツーマンの取材が多いのだが、磯釣りも同様。今回協力頂いたのは澄川太郎さん。とかく高齢化の波が押し寄せる磯釣り界ではあるが、若い澄川さんには勢いを感じた。船上では澄川さんをはじめ、磯釣り師たちが釣り談義で盛り上がっている。そんな中、「あさひ丸」は手前の湾内磯から順に付け、渡礁希望者を降ろしていく。そして湾内最後の磯に釣り人が降りた後、沖磯の大島エリアへ向かった。
狙うは乗っ込み最終のグレ!
この日は絶好の釣り日和。朝の凜とした空気を肌で感じ、さらに心地良い朝日の温もりを感じていると、「あさひ丸」は沖磯・大島エリアへ到着。私は澄川さんがどこに降りても良いようにスタンバイ。そして”丸山”と呼ばれる磯で釣り人が降りようとしていると、澄川さんも「降ります」と言いながら準備に入った。先に降りたのは東貞雄さんで澄川さんとは顔見知り。取材への協力も快諾して頂き、早速仕掛け作りに取り掛かる。狙いは良型のグレ(メジナ)だ!
ストロングスタイル
2人の仕掛け作りを見ながら、私は磯周りを観察。“丸山”という磯は港に向かった方角が釣り座となり、背面となる大島とは海で隔たれているものの、浅くて釣りにはならない。三重県の磯ではドン深と呼ばれる、釣り座から一気に水深のある磯が多いイメージだが、ここはそんな事もない。釣り座付近は目で確認出来るようなカケ下がりとなっており、やはりここがポイントだろうと感じた。そこへ東さんが教えてくれたのは「ここは沈み瀬が点在し、そこに着く魚を狙うのが基本。その為、仕掛けも太く、掛けたら一気に勝負をかけないと根ズレでやられてしまう」。道糸とハリスの号数を聞くと「3号通しです」。一方の澄川さんは「私は細めの仕掛けとなり、道糸2号のハリスは1.75号です」との事。また、コマセは東さんがオキアミボイルの素撒き、澄川さんは生オキアミにパン粉を混ぜたものを使用、刺し餌はボイル・生オキアミ、そして市販の加工オキアミだ。この仕掛けと餌の違いで釣果に差が出るのだろうか。そんな事を思っていると、各々が第1投した。
動かない潮と先制パンチ!
気合いを入れての第1投だったが、動かない潮に苦戦。しかし、潮が動けばガラリと変わるのも磯釣り。まずは朝マヅメに期待したいところ。竿先付近から様子を見ている2人だったが、そんな中、澄川さんがアタリを捉えた。難なく上がって来たのはこの辺りでイガミと呼ばれるブダイ。ブダイをキープした澄川さんはすぐに打ち返す。するとすぐに強烈なアタリと共に天を仰ぐ穂先と澄川さん。一瞬にして道糸から飛ばされていた。ウキ下は2ヒロ半(約3.8m)、ウキは5Bをチョイス。東さんは3Bのウキを使用。あまり動かないグレに対し、沈み瀬の周りをタイトにトレースさせるのを連想させる仕掛けである。バラしたのは残念だったが、期待は持てそうだ。そして暫くすると澄川さんがアタリを捉えた。竿は良く曲がっていたが、小刻みに叩いている。グレではないなと思っていると、アイゴが海面を割って来た。そしてすぐに東さんもヒット!しかし上がって来たのは同じくアイゴだった。
悪戦苦闘!
魚は居ると確信出来たが、後が続かず餌は残りっ放し。東さんは自宅から持ってきたというエビの剥き身も用意。剥き身は餌取り対策という事だったが、春の磯は海水温も低く、餌取りは少なかった。竿先付近は底が見える位の水深と透明度。暫くポイントを休ませた方が良いのか?澄川さんは軽く遠投したりと目先を変えていたが、動かない潮にヤル気も下がる。日和が良いのが救いだったが、餌も取られない状況に為す術もない。そして忘れた頃に澄川さんがアタリを捉えたが、またアイゴだった。ヒレに毒を持つアイゴだが、一夜干しにすれば最高のアテになる。ひとまずお土産は確保出来たのだが、この日の潮は納竿の午後1時まで殆ど動かず、周りの磯でも苦戦を強いられていた。グレ釣りには厳しい時期の取材だったが、湾内の磯ではチヌや小型グレが釣れていた。
これからが本番!
これからの時期は、産卵後のグレも回復して活性も上がり、海水温上昇と共に潮が走ればオナガグレもアタって来るという。また、シマアジが回って来るのも特徴だ。ウキ下を深くすればマダイも来る。磯からヤエンで狙うアオリイカは連日好釣果だ。5月からは半夜釣りも始まり、夕方の一発も期待出来る上に魚種も豊富になってくる。紀伊長島の磯はこれからが本番だ。
今回利用した釣り船
出船データ
レンタルボート:手漕ぎボート4,000円(保険料1人200円)、船外機付きボート9.9馬力1万1,000円、40馬力までは2万4,000円、各タイプ有り(保険料1人500円)
詳細は船宿のHP参照。無料仮眠所・女性更衣室・バーベキューテラス等施設充実
■交通
・大阪方面からは西名阪自動車道もしくは名神・第二名神経由で~伊勢自動車道~紀勢自動車道・紀伊長島から約3分で港へ
・名古屋方面からは東名阪自動車道~伊勢自動車道~紀勢自動車道・紀伊長島~港へ