2019年07月01日公開
関東地方も梅雨に突入、いよいよタチウオシーズン到来だ。冬までのロングランで楽しめる東京湾のタチウオ、中でも通称「夏タチ」の最大の魅力は「海面から見えるのでは?」というほど浅場で釣れ盛る数釣りモードだ。今シーズンのタチウオ船をいち早く開始した川崎『つり幸』に出掛けた。
梅雨空で出船危ぶまれる
梅雨真っ只中。折角の釣りだから、梅雨とはいえ少しでもいい日を選びたく、天気予報とにらめっこ。選んだ6月24日は前日予報で急変して終日雨予報になってしまった。悪い予報は見事にあたり、朝自宅を出るころは土砂降り。出船の1時間ほど前の5時50分に船宿に着くと釣り人はまだ1人。川崎『つり幸』と言えば、高い利便性と行き届いたサービスで非常に人気が高く、毎日多くの釣り人が訪れるのだが…「欠航」と言う一抹の不安が頭をよぎった。
前週は第2海堡周辺で“巨大魚探反応”
タチウオ船担当の水野聡船長は、「この雨でお客さんもまだ見えてないし、出船の判断はもうちょっと待って」との事。何をするわけでもなく談笑の時間を過ごす。最近の釣果を聞くと「6月に入ってポツポツ顔を出し始めたので乗合船を始めた。先週は“巨大魚探反応”があって、数釣れたよ!」との事。「ただ…昨日、一昨日の釣れてほしい土・日が食い渋ってしまった」と嘆く。タチウオは“幽霊”とも言われる神出鬼没な魚。昨日は爆釣だったのに今日は…なんて事は「タチウオあるある」。この雨模様でどうなるのか?こればかりは船長も全く読めないとの事。
朝一は“幽霊”の本領発揮
恨めしく雨模様の空を眺める事30分。もう1人のタチウオフリークが来た。私を含めて3人。船長も「出船」を決断。定刻より10分遅れの7時丁度に河岸払いとなった。降りしきる雨の中で最初に向かったポイントは前週に“巨大魚探反応”がいくつもあったという第2海堡周り。雨に加えて、北東から強め風も吹いていて、いつもよりも時間が掛かってポイントに到着。ここ2日間の不調を風が吹き飛ばしてくれるのではないか?期待とは裏腹になかなか反応が見つからない。辛うじて見つかった水深60mでの薄い反応でのスタートとなった。
糸の太さとオモリの重さでバランス
『つり幸』では、同船で餌釣りとルアー釣りの両方を楽しむことが可能。まず餌釣りの仕掛けだが、オモリの号数は使用する道糸のPEの太さで分かれる。基本はPE2号と60号のオモリの組み合わせ。PEが3号と太くなればオモリも80号となる。しかし、これはあくまで基本、その日の水深や潮の速度で多少変更があるので船長に確認したい。ルアーはPE1号以下。使用するルアーは80~120g。こちらも船長に当日の推奨を確認しよう。夏は浅場がメインになるとはいえ、狙うポイントは観音崎沖や走水沖と言った潮が速い場所が多い。隣とオマツリしてタチウオの歯でPEがスパッとなんて事が多々あるので少しでもリスクを減らしたい。
10m幅を攻める
午前8時丁度に第1投。船長の指示ダナは40~50mの10m幅。幅があるのはタチウオがいる層が幅広いと言う事もあるが、もう一つはタチウオの生態にもよる。タチウオは刀のような魚体を他の魚のように横に泳いでいるわけではなく縦に立っているかのように泳いでいる。目を上に向けて縦に餌を追いかけて捕食するのである程度幅を取った方がいい。1匹目が釣れてタナが分かっても、次からもタチウオが追いかけられるように、ある程度誘う幅を取った方がいい。最初の流しは薄い反応そのままに不発で終わった。
2流し目からは“爆釣”モード突入
次の流しは場所を西に変えた猿島沖。既に何隻かが集まっていた。ここでついに“幽霊”が出た!。見事な魚探反応。2人の釣り人は1人が餌釣り。1人がルアー釣り。ミヨシ(船首)の常連の藁田さんは餌釣り。指示ダナ下限からリール半巻き幅でハイピッチに誘いを入れてくる。指示ダナ上限あたりでカツカツッ。慣れた藁田さんはここで大きな合わせを入れずに、誘いのペースをリール1/4巻き程に落とす。すると1、2m巻き上げた位置でグイーンと大きく竿先が引き込まれた。バラシが当たり前のタチウオを、非常に高確率で取り込んでいく。
その日のあたりの誘いを試行錯誤
一方のルアーは、タチウオのご機嫌が好ましくない模様。ワンピッチジャークでリズムよくジグを上手にシャクって来るがタチウオがなかなか口を使わない。シャクるペースや幅を試行錯誤、この日のタチウオに合う誘いを探す。これは餌釣りにも通じるのだが、タチウオの好む誘い方はその日次第。前日はこれが良かったが、次の日は…って事はよくある。「大事なのは自分の基準を持つ事。まずそれでやってみてその日の微調整をすれば“あたり”が見つかる」と船長。ルアーの“あたり”が見つかったようだ。この日最初の1匹が上がった。
45匹の数釣り達成!
この日のタチウオは終始ご機嫌。サイズは夏時期らしい小型が頻繁に交じるが、それでもアタリが途絶えないので楽しい。時には“ドラゴン級”の良型も交じるので油断禁物。藁田さんには105cmの良型も顔を出した。
終日降り続いた土砂降りの雨が気にならないぐらいアタリが途絶えることがなく、ハイペースで魚を掛けた藁田さんは45匹のタチウオを釣り上げて納竿。この日のタナはまだまだ40m程。これから海水温の上昇と共にどんどん浅くなっていき、さらに数釣れる事だろう。魚探反応はかなり広範囲に出ている。今年も熱いタチウオシーズンが期待出来そうだ。
今回利用した釣り船
出船データ
乗船料金:9,500円(餌・氷付き)ルアー…9,000円
※レンタルタックルあり