2019年07月01日公開
その昔、漁師が「行くと金になる」と話した事からその名がついたと言われる「金洲」。高級魚の宝庫だが、年によって釣れ盛る“主役”が変わる。それはこのエリアの魚影がそれだけ濃い事の証。今年は、キハダマグロ&本ガツオの爆釣に沸いている。しかもキハダマグロは20kg級が毎日コンスタントに上がっていると聞き、御前崎港『博栄丸』に出掛けた。
金洲は最も身近な“非日常”
大型魚に照準を定めた遠征釣り。非日常的なターゲットゆえに交通手段、移動時間、そして金額と全てが大掛かりでこれまた非日常的。そんな思いを抱いている方が多いと思う。実は私もそうだった。「金洲や銭洲などは夢のような釣りが出来るが、行くのが大変…」。ところがこれは大間違い。金洲は首都圏から身近な非日常だったのだ。御前崎港から行程約1時間半。御前崎港へは東名高速・相良牧ノ原ICを降りて20分程。用賀から2時間半程だ。これなら普段の釣りに少々時間を足せばいい程度。
遠州灘の好ポイントが金洲
金洲は、御前崎沖20マイル程の遠州灘に位置する。他の遠征エリアの様に島があるわけではないのでパッと見ではただの海と言う感じだが、実は海中は水深が3000m以深から50m程の浅瀬まで急にせり上がった瀬。黒潮の影響をダイレクトに受ける海の恵みの宝庫と言えるエリアなのだ。年によって釣れ盛る主役が変わるのもこの黒潮の流れが影響していると思われる。昨年はシマアジ、カンパチの豊漁に沸いたが、今年はキハダマグロ&本ガツオが絶好調だ。
現在の主役はキハダマグロ&本ガツオ
金洲を長く開拓してきた第一人者的な船が「博栄丸」。数マイル四方の広大なエリアだが、どこで何が釣れるのかを熟知している。大澤洋輔船長は、「今は兎に角潮が速い。この流れに乗って瀬のいたるところにキハダマグロ&本ガツオが付いているようで、連日クーラー満タンの釣果ですよ。潮が緩んできたら、またシマアジやカンパチが始まるでしょうけどね」と話す。
金洲のキハダマグロ&本ガツオ釣りはやり方が少し違う
相模湾や駿河湾でも夏に多くのアングラーを虜にするキハダマグロ&本ガツオ。しかし、金洲の釣り方はこれらとは少し異なる。ソナーで魚の進路を予想して船を先回りしてつけるという釣り方ではなく、瀬についている魚をコマセで寄せて釣る。一流しに掛ける時間が非常に長い。ベストのタックルも少し異なり、ゴリゴリのマグロ用の大型タックルではなく、むしろ柔らかめの青物用のタックルの方が海中で仕掛けが跳ねず、違和感なくコマセに長時間馴染むので食いが良い。魚がすれていないので20号と太目のハリスでも躊躇なく本ガツオが食ってくる。
夢のエリアまでは航程1時間半
朝4時に御前崎港に集合。海上保安庁の巡視船「ふじ」の前の駐車場に車を停めて待っていると船長が船を着岸してくれる。金洲までは航程1時間半。大型船でくつろいでいると「ポイントに着いたよー」と船長からアナウンス。外に出ると一見いつもと変わらぬ大海原の光景だが海面を見て驚く。遠征釣りと呼ぶにふさわしい群青色に輝く澄んだ海。たった1時間半でこれだけ海の色が変わるかと驚く。
第1投から連続ヒット
協定により仕掛けの投入は午前6時。15分程待機となったが、その間にいたる所でキハダマグロ&本ガツオが跳ねている。これだけ広範囲で跳ねていると言う事が魚影の濃さを物語る。指示ダナは25m。定刻の6時の号砲と共に群青色の海に仕掛けが吸い込まれた。開始1、2分。ここからは説明は不要。とにかくひっきりなしにアタリがある。ハリス分2m程深くコマセカゴを落としてコマセを手際良く撒いて指示ダナで待つだけ。あとは2~4kgの本ガツオが弾丸のようなスピードで仕掛けをひったくる。開始早々に全員が顔を見る。足しげく『博栄丸』に通う腕利きの柏木さんは、最初バラシに苦しむもハリの大きさに原因があると判断、小さめのハリに交換してからは本ガツオを次々に取り込んでいった。
朝は本ガツオフィーバーに船上が“戦場”と化す
速い潮に乗って船が瀬から外れてしまうと流し替え。するとまたアタリが続く。開始1時間ほどでクーラーが本ガツオで埋め尽くされ、残りのキャパが怪しくなってきた人も出始めた。しかし、この時点で、もう一つの“本命”キハダマグロが顔を出していない。
14kg、12kgと立て続けに2匹のキハダマグロ
「カツオはもう十分釣れたから後はキハダが欲しいですね」などと船長と話していた時、右舷ミヨシ(船首)で竿を出す松坂さんに明らかにそれまでと異なる強烈な引き。心地よいドラグ音と共に道糸が100m程引き出された。「これはキハダだ!」。船長にも緊張が走る。ここでまさかのトラブル発生。長い間使っていたリールがキハダの強烈な引きに悲鳴を上げてしまい、糸が巻けない。私もサポートに回ったがサミングしている道糸に伝わる重量感は明らかにキハダマグロ。巻けないリールを諦め、糸を手繰って引き上げる。するとその横で本日が2回目の船釣りと言う鎌田さんにも同じような強烈なアタリ。同じくキハダマグロと直感した船長が細かく指示して完全サポート。まず取り込まれたのは松坂さんの12kgのキハダマグロ。そして続いて大きな円を描きながら鎌田さんのキハダマグロも海面に顔を出した。こちらは14kg。初めて見る大きな魚に歓喜の声。
今年はロングランの予感!
前日は最大19kgまで計6匹のキハダマグロを上げた。この日も上がった2匹以外にもキハダマグロと思しきアタリは複数あった。本ガツオは全員がクーラーに入りきらないほどの爆釣。暫くはキハダマグロ&本ガツオフィーバーが続くと思われる。そしてその後に控えるのはシマアジやカンパチなどの“青物”達。今年も金洲は高級魚の爆釣に沸いています。
今回利用した釣り船
出船データ
乗船料金:1万3,000円(氷付き/コマセ3kg:1,000円)
集合:船着場へ4時※時期により変動あり、予約時に確認を
出船:準備が整い次第