2019年09月01日公開
超の字が付く高級魚として知られるアラは、その希少性もさることながら高級レストランのシェフをも納得させる食味が最大のセールスポイントだ。根魚狙いの船の“ゲスト”で“小アラ”が交じる事はあるが、1kgをこえる良型を狙っている船は全国でも非常に少ない。そんな船宿の中でも高確率で良型を仕留めている新潟県・間瀬漁港『光海丸』に乗った。
餌で釣るかスロージギングで釣るか!?
『光海丸』でのアラ狙い、餌釣りの場合は、中型電動リールにオモリ負荷200~250号の竿、道糸はPE6~8号、そこに幹糸フロロ14号、枝ス12号、の胴突き4本バリ、オモリは200号。そこにマイワシの1匹掛け。スロージギングで狙う場合は6~7ftのスロージギングロッドにスロージギング用ベイトリールをセット。道糸はPE1.5~2号400mにFGノットでフロロ7号2尋(約3m)をリーダーとして結ぶ。ジグは250~300gのスロージギング専用のものを使う。アラが狙えるとは言え、あくまで五目船。その中で幻の魚・アラを釣るチャンスもあると言うスタンスの釣り。五目釣りのためアラ以外にも沖メバル、カガミダイ、マゾイ、マダラ、ホッケ、カレイなど多くの魚種が釣れて来る。
ひと流し目の1投目で3kg級のアラがヒット!
午前3時、新潟県・間瀬漁港「光海丸」の前に餌釣り2人、ルアー釣り3人の5人が集合した。船の前で乗船名簿を記入、クジを引いて釣り座を決めた。餌釣りはミヨシ(船首)側、ルアー釣りはトモ(船尾)側に釣り座を構えた。キャビンで餌、氷、仕掛け、オモリなどを購入、乗船料金を払い午前3時半、間瀬漁港を河岸払い。
2日前に日本海を通過した台風の影響もあってか朝の内は少しだけウネリが残っていた。この日の釣り場は佐渡沖だったが、日によって釣り場が異なるため、集合時間もそれにあわせて変更となる。予約時に集合時間を確認しておこう。佐渡沖への航程は約1時間半、キャビンに入り釣り場への到着を待った。午前5時過ぎに到着。雲の切れ間からうっすら陽が差し込んだ。左舷胴の間(中央)に座った常連の原田さんはスロージギングでアラを狙う。今シーズンはアラ狙いでオデコ無し、7kg級もキャッチしていると言う。「アラはね、刺し身で食べると最初はなんてことないと思うんだけど、後味で独特の甘みと旨味が口の中に残るんですよ。銭洲にもよく行くので色々な高級魚を食べてきたけど他の魚にはない味だね」と原田さん。そんな話をしている最中に船長から合図が出た。「はい、どうぞ、水深135mです」。乗船のたびにキャッチをしているという話を聞いていたため、1投目は原田さんの竿に注目した。着底後、30~50cmの幅で少しずつルアーを動かすように上げてくる。2、3回アクションしたところで竿先にカツカツ!とアタリが出た。すかさず合わせを入れる。すると、ズンッと竿先が入り無事にフッキング。強めの引きを堪能しながら上げてくると、途中でクビを振るような引きを見せる。「これ、1投目から“本命”じゃない?」と舵を握る小林聡船長と話す原田さん。海面に浮かんだのは3kg級のアラだった。1投目からの“本命”登場に歓声が上がった。
ベイトのスルメイカとニギスがジグにヒット!これはチャンスの予感!?
次の流し「おっ、何か来ましたね」と左舷大ドモの釣り人が巻き始めた。しかし、竿の曲がりがほとんどない。上がって来たのはニギス。そして、右舷大ドモの井上さんのジグにはスルメイカがヒットした。「スルメイカやニギスが釣れると言うことはチャンスです。アラはニギスやスルメイカが好物なので、それを食いにきています」と船長。その船長の言葉の裏付けが…。原田さんの釣ったアラの口には丸飲みしたスルメイカが入っていた。その後、餌釣り、ジギングともに30~35cm級の立派な沖メバルを数匹釣り上げた。すると、今度は左舷大ドモでヒット!ガクガクと竿先が震えた瞬間に「あ~っ」とため息が聞こえた。どうやらアラのようなアタリだった魚をバラしてしまったようだ。アラは警戒心の強い魚なので、バラシはご法度だとか。船長は小移動を決意した。
7.2kgの“大アラ”浮上!
午前7時過ぎ、狙う水深は140m。右舷大ドモの井上さんはボトムから30cm刻みでジグを操り、誘いをかけていく。すると、“本命”らしきアタリがあり合わせを入れる。ズシン…根掛かり?と思ったがその重みのままゆっくりと上がってくる。10m巻き上げたくらいだろうか…ジーーッ!ドラグが鳴り、魚が暴れ始めた。井上さんの目も「これはデカい!」と真剣な眼差し。ゆっくり慎重に巻いてきてくるとコバルトブルーの海面下にはお腹がパンパンに膨らんだ物体がみるみる上がってきた。デカイ!無事ネットにランディングされたアラは7.2kgの“大アラ”と呼べるサイズ。そのアラの口からはニギスが確認出来た。「井上さんは前回来た時に大きなアラに逃げられてしまったのでリベンジ成功ですね」と船長も笑顔で井上さんと握手。
沖メバルの8点掛けに1m級のシイラまで登場
その後、二枚潮でオマツリなどもあったが、この沖五目釣りの魅力は旨い魚はアラだけではない点だ。常連さんには見慣れた沖メバルだが、この時期のメバルはお腹に脂がたんまり乗っているため、塩焼きにするだけで最高に旨い。また地元の釣り人にも人気なのが珍しい魚種のカガミダイ。更に、餌釣りのアングラーはマイワシ餌でソイの中では高級な40cm超えのマゾイもゲット。仕掛けを沖メバル狙いにチェンジをすれば沖メバルはなんと、良型揃いで最高8点掛けのシーンもあった。午前11時、アラのアタリが遠のいた船内が一瞬にしてお祭り騒ぎ。左舷大ドモの釣り人がニギスを餌に1m級のシイラをヒットさせたのだ。激しいジャンプを見せてあがってきたのはルアー船でも簡単に釣る事が出来ない堂々たるサイズだった。
アラは12月一杯狙える!
正午に最後の流し。ここで4.2kgのアラを井上さんが釣り上げた。この日の竿頭は7.2kgと4.2kg、合計11.4kgのアラを釣り上げた井上さん、更に原田さんも3kg級のナイスサイズを2匹揃えた。アラは9月現在産卵シーズン真っ最中だが、12月の年内一杯まで沖五目船で狙う事が出来る。出船予定は『光海丸』のホームぺージに掲載されているので要チェック。夢のある超高級魚・アラ、それを手にした釣り人は暫くその感触を忘れないだろう。
今回利用した釣り船
〒953-0105 新潟県新潟市西蒲区間瀬4241-3
TEL:080-2291-5477
定休日:毎週火曜日(冬季11~3月は定休日なし) 釣果・施設情報 光海丸 ホームページ
出船データ
(午前3時集合3時半出船、正午沖上がり)
※船上での仕掛け販売あり、集合時間は予約電話時要確認