2020年01月01日公開
「初釣り」の釣果で新年の釣り運を占うなら、釣れないよりは釣れた方が良い。そんな折り「ウチ一番のお勧め!」と、俳句では、夏の季語であるシロギスを推薦するのは神奈川県・横浜本牧港の『長崎屋』。夏の風物詩を冬に求めるとはこれ如何に?真相を突き止めるべく、真冬の東京湾へと乗り出した。
冬もまた丁度良いショートシロギス乗合
『長崎屋』の集合場所となる店舗は、静かな住宅街の中にある。まだ暗い午前6時。ドアの開け閉めやアイドリングストップなど、釣り人たちの何気ない所作にも近隣への気遣いが感じられる。ストーブの焚かれた店内で乗船名簿の記入と支払いを済ませ、駐車証と氷を受け取ってD突堤入口付近の港へ向かう。『長崎屋』の店舗から船着場までは2km程。1度行けば難しくも何ともない8分程の道のりなのだが、初めての際はその旨を受け付け時に伝えて、常連さんの車に先導して貰うのが得策だ。釣り座は先着順なので、港に着いたら船縁に竿を挿して席の確保をしておこう。『長崎屋』のシロギス乗合船は“ショートシロギス”と呼ばれ、8時過ぎ出船の14時沖上がりと実釣時間が若干短縮されている。その分お手頃価格で、一日船では身体に堪える炎天下の釣りでは丁度良い印象を受けていたが、それは厳冬期の海上でも同じ事。また不思議なことに一日船の船宿と釣果がさほど変わらない。
竿入れから爆釣モード、しかも良型揃い!
この日の海上は北風が強く、波を被るのでキャビンへ待避するよう船長に促されて8時10分に出船となった。普段ならそんなに掛からず到着するであろう木更津沖に、風波を受けながら30分程で到着。船長の「準備出来ましたらどうぞ。(水深)17mね」のアナウンスでスタート。その舌の根も乾かぬうちに、左舷ミヨシ(船首)の鈴木さん(横浜市)に早速のヒット。そして2番手はもう誰だか分からない。全席一斉の爆釣モードに突入した。しかも釣れてくるのは全て20cm以上。25cmに迫る良型もあちらこちらで上がっている。仕掛けを煽って浮かせてみたり、逆に静止させて様子を見たり、あの手この手の攻略をするとアタリなり“餌盗り”なりと何かしらの反応が返ってくる。あまりに見事な釣れっぷりに、暫し釣りも忘れて見入ってしまう程の爆釣劇だった。
船長に訊く“数釣り”のコツ
水深15~17mの浅場を攻略したこの日、これだけ良く釣れているのに無粋だが、シロギスをより沢山釣るコツを長崎功船長に訊いた。「手返し良く釣ることは間違いないですね。意外と餌は替えなくて平気です。(キスに噛まれて)柔らかくなってる方が食いがイイんですよ。巧くすると同じ餌で5、6匹釣れる。餌を替える手間がないじゃないですか。すると手返しが早くなる」とのこと。この他、誘いのパターンや、餌付けやタラシの長さについては、知っているつもりでも船長に訊いてみると新たな発見があるかも知れない。1月からは弟さんの昭船長がシロギス船を担当するそうなので、乗船の際には船長の手が空いていそうなタイミングを狙って秘策を聴き出して頂きたい。
竿頭142匹、最大26cm。非の打ち所無き“絶好釣”!
かくして、この日の竿頭は船中1匹目を釣った鈴木さんの142匹。次点は132匹、3番手も129匹と、束釣り(100匹以上)達成者続出の好釣果に恵まれた。しかも25cm前後の良型を含む型揃い。みなさんクーラーボックス満タンで恵比寿顔の沖上がりとなった。この大きなシロギスは是非、塩水で洗ってお刺し身や昆布締めをお試し頂きたい。フライやしゃぶしゃぶ、“マース煮”などもお薦めだ。また取材日も相当数釣れたイシモチ(シログチ)は、釣れたら直ぐノドの部分を切って血抜きすると、お刺し身にしても美味しく食べられるのでお忘れ無く。ビギナーからベテランまで、間違いなく楽しめる真冬の東京湾のシロギス釣り。防寒着をしっかり着込んで乗り込めば、見たこともない良型の、驚くほどの数釣りに、心も身体も熱くなること請け合いだ。
今回利用した釣り船
出船データ
集合時間:午前8時までに船宿へ
出船時間:午前8時過ぎ(準備出来次第)
乗合船料金:8,000円(氷・餌付き)※船宿HPに割引券あり
駐車場:500円
貸し竿:500円
この記事を書いたライター
6歳から釣りに親しみ、海・川・釣堀・湖のルアー・フライ・餌釣りに節操なくのめり込む釣り好き。2019年JGFA沖釣りサーキット・総合優勝/2010年JGFAオールジャパンゲームフィッシングコンテスト・マダイの部・優勝(10.2kg)…他