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東京湾・“江戸前”のマコガレイ、産卵後の荒食いスタート!!

2020年01月15日公開

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秋の産卵前の荒食いからスタートした東京湾のマコガレイ。年末には、海水温が低下、産卵体制に入って一旦食いは止まるが、再び産卵後の荒食いが始まる。それがいつになるのか気になるこの時期、「江戸前ブランド」として大きな大会も開かれる。今期は海水温が高い状態が続き、シーズンが遅れている感じもあるが…。江戸川放水路・行徳『伊藤遊船』に出掛けた。

【この記事を書いたライター】山口 充

アクセス

『伊藤遊船』は、江戸川放水路川右岸にあり、首都高速湾岸線・千鳥町IC、京葉道路・市川ICが最寄。カーナビで「市川市妙典2-1-34」を設定すると、『伊藤遊船』待合所に通じる土手道の入り口に着く。電車の場合は、地下鉄東西線・妙典駅を下車、西船橋駅方面に歩いて7、8分だ。

タックル

現在の東京湾のマコガレイ釣りは、基本的に置き竿スタイルで数本の竿を並べて釣る。空いている時は4、5本並べて狙う事も可能だ。25号のオモリが基本で竿の長さは1.8~2.1m。食い込ませ、ハリ掛かりさせる迄に時間が掛かる為、やや軟調子の竿でオモリが船の揺れでも浮かない感じのセッティングが良い。広範囲に探るのでスピニングリールとの組み合わせが有効だが、キャスト出来る人はベイトリールでもOKだ。道糸はPE1~1.5号かオモリを浮かさない為に3~4号のナイロンラインを使う人も居る。ハリは様々だが、丸海津系のカレイバリがお勧め。2本バリでハリスはフロロカーボン2~3号。仕掛け全長は70cm前後。片テンビンを使う。

 

違和感なく食わせる事がカギ

午前5時30分に到着。船長の田島定行さんは、「年末から安定しない状況ですね」と渋い表情。先着の釣り人も「何回か来ましたけどダメだったんですよ」と嘆く。秋の乗っ込み、産卵前の荒食いも海水温が落ちない為にバラバラな印象が有った。年が明けてからの「産卵後の荒食い」がいつ始まるのかヤキモキしている状況だ。受け付けを済ませ待機。午前7時、釣り人が集まり艀(はしけ)に案内される。この日は、出船時間が干潮なので川の中央に停泊している大型船まで渡してくれる。準備が出来て出船、航程30分程でポイントへ到着した。船長がアンカーを入れてスタートの合図。水深は7m前後、餌の青イソメは房掛けにする。常連さんは絡まない様に調整しながら次々に投入して行く。やや糸がフケる状態にセット、船の揺れでオモリと仕掛けが出来るだけ動かない様にして、違和感が少なく食わせる様にするのが勘所。私は東北エリアのカレイ釣りは良く行くが、マコガレイの食い方は、東京湾も東北も似ている。小突く釣りで有るが、スローが基本でアタリよりも「重み」を捉える事が先になる。竿先に重みを感じたらテンションを抜いて食わせる。数回「聞く」操作をしてタイミングを見て合わせる訳だ。アタリが出る場合もあるが、そこで合わせても「すっぽ抜け」が起きてしまう事が多い。カレイの中でもやや下に口が伸びて吸い込む為、最もハリ掛りしづらいのがマコガレイと言われている。

上げ潮でヒット

スタート直後は、下げ潮一杯から上げ潮になった時間帯。私も2本の竿をセット、撮影の合間に様子を見る事にした。皆さんに話を聞きながら釣り座に戻り、竿を持つと重みがある。直ぐにテンションを抜いて仕切り直し。オモリが浮かない程度に竿を曲げて見るとオモリ以外の重さがあった。間合いを見て竿を上げて行くと重さが残る。巻き合わせるとヒット。間違いなくカレイの引きだ。上がったのは30㎝級のオスのマコガレイ。「やったね」と船長や釣り人も喜んでくれて嬉しい限り。「マコガレイが口を使った」と言うのは「もしかして」と期待出来る状況。その予感が当たり、左舷ミヨシ(船首)の田原さんにもヒット。同型のマコガレイが上がる。「昨年から何回か来たんですけどダメで」と言っていた崎さんにもマコガレイがヒット。「食って来たね」と、船長も嬉しそうだ。更にこの後、柿崎さんは2匹目に39cmのマコガレイを上げた。「スイッチ入ったかも!?」とニヤリ。これだから止められない。ただしクサフグ、ヒガンフグ、ドチザメの活性も上がってしまった様子。船長が「フグを制した者が勝つんです」と笑いながら話していた。

“荒食い”が始まったと実感

船長は、フグが多くなると船を移動、数回アンカーを打ち直しながらポイントを探る。雨が降り始めて釣り辛くなったが、2本竿を左右にキャスト。オモリが底に着いたら一旦タナを切り、仕掛けが張る状態にして竿掛けにセット。竿が曲がるか曲がらないかの微妙な位置で待つ。置き竿と言っても忙しい釣りで、道糸の張り具合や向き等を小マメに調整が必要で、竿が多ければ多い程、テクニックが必要になる。ラインを調整する為に竿を持つと重さを感じた。“居食い”している状態だ。タイミングを見て居た所でアタリが引きに変わった。合わせて巻き始めると中々の引き。上がって来ると何とマコガレイのダブル。更に大ドモ(船尾)の柿崎さんもダブル、ミヨシの田原さんもマコガレイを釣り上げた。トリプルヒットで一気に5匹。面白すぎる!右舷でも高木さんにヒット。予想以上の連続ヒットだった。時間も後半になり潮止まり。最後に下げ潮が効き始めると右舷トモの外山さんが2匹追加。柿崎さんは上手くアタリを捉え8匹目をヒット。そして、午後3時30分沖上がりの時間となった。
竿頭の柿崎さんは、「年末3回0匹だったんです。ようやく花開きました」と笑顔。この日の釣果は2~8匹で最大39cm。気になるのはサイズで判る通り、ほぼオスのマコガレイだという事。これから大型であるメスの荒食いが始まる。生憎の雨で寒かったが「熱い展開」に大満足。“江戸前”の大型マコガレイ、今シーズンは大いに期待出来そうだ。

今回利用した釣り船

千葉県 江戸川放水路・行徳 『伊藤遊船』
〒272-0111 千葉県市川市妙典2-2-14
TEL:047-358-5774
定休日:毎週火曜日(ボートは無休) 釣果・施設情報 伊藤遊船 ホームページ

出船データ

一日船カレイ
料金: 8,600円+消費税(餌・氷付き)
女性・4,300円+消費税
子供(11~18才)・4,300円+消費税
10歳までは2,000円+消費税
貸竿/オモリ・テンビン付き 500円+消費税
出船時間:午前7時出船
     
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この記事を書いたライター

山口 充
プロアングラーとしてテレビ出演、企画、撮影、雑誌執筆やカメラマンをこなしながら「旅と釣り」をテーマに日本中を釣り歩く。公益財団法人日本釣振興会神奈川県支部長・普及振興委員会。2016年JGFA・MVPアングラーズアワード受賞。伝統の和竿「横浜竿」を使い、2020年IGFAタチウオ世界記録を獲得。
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