2020年02月01日公開
美味しい釣り物の中でも、見た目も味覚も格段に“網獲り”と違うのはヤリイカではないだろうか。甘みのある透き通った刺し身を食べられるのは釣り人の特権。「身の厚いパラソル級が上がっている」との噂を聞き付け、千葉県・銚子外川港『福田丸』へと出掛けた。
平日に満船の大盛況!
『福田丸』の集合時間は午前4時。乗船場所は外川漁港にあるタンクが目印。船宿HPのアクセスマップを航空写真で見ると一目瞭然。停泊中の「福田丸」の前に車を停めて荷物を降ろし、数十mと離れていない駐車スペースへと車を移動する。乗船時に到着時間を聞かれ先着順に釣り座を選ぶので、着いた時間を必ずチェックしておこう。集合時間になると女将の福田るみ子さんが軽ワゴンで受け付け開始。乗船料を支払って氷を受け取った後、女将の声掛けで到着順の乗船となる。この日は平日にも関わらず、連日の好釣果を聞き付けたイカ釣りファンで満席の盛況。出船準備は滞りなく整い、午前4時45分「第二十一福田丸」は夜明け前の海へと出船した。
竿入れから好感触!
風が強く、ウネリの高い海を走ること2時間弱。犬吠埼灯台沖の水深140m前後の釣り場からスタート。オモリが着底するや否や、ヤリイカのノリを捕らえたのは左舷胴の間(中央)の山根さん(荒川区)。その後は船のあちらこちらで電動リールが唸りをあげ、50cm超えの見事なヤリイカが取り込まれた。イカからのアタリも多くノリも良いのだが、良いことばかりは続かない。この日は運悪くサバやサメの猛攻に遭い、取り込むまでにイカをバラしたり盗られてしまうケースが散見された。それでもツノ数を2本まで減らしたり、18cmプラヅノの直結仕掛けで猛スピードで巻き上げたりとあの手この手で対峙して、運が良ければイカを取り込めるような悩ましい釣況が暫し続いた。
サメが居ぬ間の着ノリ!
サメの猛攻にめげず忍耐強く釣り続けていると、やがてサメも満腹になったのか、1杯また1杯とヤリイカが取り込まれるようになった。しかも上がるイカは全長55cm前後とサイズアップ。オモリが着底するとすかさずツノを抱いてくる“着ノリ”や“2点掛け”も見られるようになり、釣り人たちは今が好機と手返し良く釣果を伸ばして行った。かくして、竿頭は16杯を釣った金杉さん(八潮市)。連日竿頭50杯前後をマークしてきた今期の中では釣果の谷間に当たってしまったが、なにしろ1人で1杯を食べ切れない程の良型揃い。サバやサメの攻撃を乗り越えた達成感もあって、船を降りる釣り人たちの表情には清々しさがあった。
ヤリイカ最盛期到来、今がチャンス!
今期のヤリイカについて、福田稔船長に訊いた。「濃いね、群れが。今日みたいにサメの横盗りが無ければ、慣れてる人なら50、60杯は行っちゃうよ。初心者でも船酔いしなければ20や30は釣れるはず」と太鼓判。なにしろ型が良いので、ツノに乗ればアタリが分かりやすく、入門にも最適だ。味が濃くて身の厚さに定評のある銚子沖の“パラソル級”ヤリイカ。最盛期はまだまだこれから。豊穣の海の美味とダイナミックな釣趣を、名物船長と女将の待つ『福田丸』で存分に味わって頂きたい。
この記事を書いたライター
6歳から釣りに親しみ、海・川・釣堀・湖のルアー・フライ・餌釣りに節操なくのめり込む釣り好き。2019年JGFA沖釣りサーキット・総合優勝/2010年JGFAオールジャパンゲームフィッシングコンテスト・マダイの部・優勝(10.2kg)…他