2020年08月15日公開
「Super Light Jigging」。頭文字をとって「SLJ」。ゲーム性の高さが人気のジギングに新たな楽しみが加わった。ライトジギングより更に軽いジグを使い、今まで狙えなかった魚も狙おうというコンセプト。魚種が非常に豊富な千葉県・大原沖にまさに打ってつけだ。大原港『広布号』に出掛けた。
ゲーム性の高さで人気!!
餌を模したジグでアピールする高いゲーム性と、筋トレのようにシャクリ続けるスポーツ性から人気のジギング。これに新たな一石を投じたのが「スーパーライトジギング」だ。小型で軽いジグを使う事で多種の魚を狙う事が出来る。ジギングにも究極のライト化への流れが来ているようだ。
“本命”は釣り人が決める!多彩なターゲットが魅力
千葉県・大原港でこの釣りを一早く取り入れたのが『広布号』。大原沖はヒラマサ、ブリ等に代表される大型“青物”を狙うジギングで人気のエリア。しかし、野島幸一船長は、同じエリアにいながら取り切れていなかったマハタやマダイなどに目を付け、ジグを小さくすればこれらもターゲットになるのでは?と考えた。狙いは見事に的中。「“本命”は釣り人が決める」と言うほどに多彩な魚種がジグで釣れるようになった。
ロッドは汎用性が高いが、リールはスピニングがお勧め
ここ1、2年で脚光を浴び始めたSLJ。専用タックルも出始めたが、船長の話ではロッドの汎用性は非常に高い。軽いジグを動かせる穂先のロッドであればほぼ対応可能。一つテンヤ、タチウオジギングなどの流用がお勧め。リールも小型ベイトとスピニングリールとどちらでもOKだが、浅場のエリアで“ちょい投げ”して広く探るのと、ジグの落下スピードで圧倒的にスピニングリールが有利だという。
ジグの色や形状は狙う魚次第
この釣りの主役となる小型ジグ。主に使用するのは45~60g。比重の高いタングステン製のジグなどは非常に有効。狙う水深や潮流によっては100g程の重いジグを使う事があるので1、2本忍ばせておくといい。色は状況次第だが、マダイやマハタを狙うのであればグリーン系は鉄板だそうだ。ジグの形状も自分が狙う魚次第。“青物”系を狙うなら速く動くスリム系。マハタなどの根魚はリフト&フォールを繰り返して狙うのでオーソドックスなセンターバランスのものが良い。アシストフックはテールにシングルフックを1、2本。フォールで食わす釣りが多いのでテールにはハリが必須だ。
巨大なイワシの反応の中には大ダイがいるはずなのだが…
釣行日は10人が集まった。船を流しながらジグで幅広いエリアを狙うので糸が払い出した方が釣りやすい。この日は片舷に集まっての釣りとなった。最初に選んだのは前日、他船で“大ダイ”がいくつか上がったポイントでマダイ狙い。航程20分程で水深は20m前後。魚群探知機にはびっしりとイワシの反応。このイワシの中に間違いなく“大ダイ”がいる。しかし、期待と裏腹にアタリがない。餌で狙う他船もアタリがないとの事で時合いでないと判断。マハタ狙いでポイント移動。
良型マハタが取り込まれた!!
マハタのポイントは水深30~40m。岩礁帯で水深が頻繁に変わる。船長が「段々水深が浅くなりますよ」と言った直後。山崎さんのロッドにヒット。海面に姿を現したのは1.5kgオーバーの良型マハタ。日によって超高級魚・マハタが連続ヒットと言う事もあるとか。船長の息子さんの大威翔君にも1kg越えのマハタ。ポツリポツリとマハタが取り込まれるが、アタリが出るのは丁度船が根の際に来たときのみ。「いつもならフラットな海底でもアタリが出るのだが…」と船長。それでもマハタ、カサゴ、サバなどが取り込まれた。
4kg丁度の“大ダイ”で有終の美
最後は朝一に巨大なイワシの反応があったものの顔を見る事が出来なかったポイントで再びマダイ狙い。他船で2、3kgのマダイがポツリポツリ上がり始めたと言うので潮が変わったことに期待。水深は15m。トモ(船尾)の澤本さんが静かに竿を曲げている。「落ちている最中に軽くなったのでフォール中に何か食いました。でもそんなに大きくなさそうです」と謙遜していたが、海面にぽっかり姿を現したのはなんと4kg丁度の“大ダイ”。沖上がり30分前のラストチャンスを見事にものにした。
【動画】小さめジグをメインに!SLJゲーム
1週前には10kgのヒラマサも!!
「釣り人が狙いたい魚が“本命”」と“五目釣り”のような響きだが、この日の“本命”は紛れもなくマダイとマハタ。マダイはワンチャンスを見事に生かして4kgジャストをゲット。マハタは中々厳しい状況の中でも山崎さんは1.5kgオーバー2匹を含む計3匹でトップ。釣行日の1週前には山崎さんは10kgのヒラマサも仕留めたそうだ。小型のジグを用いて狙うSLJ。今まで釣れなかった魚種が釣れるのも魅力だが、このエリアでは勿論この釣法で大型の“青物”なども狙う事が可能だ。
今後SLJが新たな潮流を生む事は必至!
私自身も今日がSLJ初体験。従来のジギングの概念を覆す気軽さを実感した。船長も「ジギングでヒラマサを狙ったら中々まぐれでは釣れないけどSLJなら『釣れてしまった』が多いに有り得るんだよね」と言う。これならばゲーム性の高いジギングのハードルを大きく下げて楽しむ事が可能だ。まだまだ専門に遊べる船は少ないが、近い将来に確実に存在感を上げていく釣りであることは間違いない気がする。
今回利用した釣り船
出船データ
料金:午前船、午後船ともに1万1,000円(氷付き) 一日通しの場合は1,000円引き
午前船:集合午前5時00分・準備出来次第出船、11時沖上がり
午後船:集合午前11時30分・準備出来次第出船、17時30分沖上がり(電話確認)