2020年11月04日公開
何かと例年通りに進まない2020年。夏が過ぎてもカワハギの釣果情報は長らく1ケタ台が続き、意気消沈していた折も折、「勝山沖の釣果が上向いてきた」との噂を聴き付け、喜び勇んで千葉県・内房、勝山港『宝生丸』へと乗り込んだ!
アクセス良好、勝山港!
勝山漁港は東京湾アクアラインで都心からおよそ1時間30分。富津館山道路・鋸南富山ICから僅か2kmとアクセス良好だ。『宝生丸』の船着場は漁港の一番奥。カーナビに入力するなら隣接する『鋸南町勝山漁協 活魚センター(千葉県安房郡鋸南町下佐久間3770)』が分かり易い。雨模様の取材日、受け付けは船着場にあるテーブルでは無く、当日のワラサ船「第二十一宝生丸」のキャビンで行われた。大型船の船室なので1人ずつ入ればソーシャルディスタンスは万全。日の出前の時間帯も手元足元が明るく快適だ。餌のアサリは“餌盗り”たちが活発とのことで皆さん受け付け時に2パックを購入。沖で切らしても船長から購入することが出来るので心配無用。更にこの港は船着場の目の前に駐車できるので乗船準備も楽々。定刻の午前6時ちょっと過ぎに「宝生丸」は滞りなく出船した。
1投目からアタリ、魚影は濃い!
穏やかな海を進むこと10分程で水深14mの釣り場に到着。1投目は“餌盗り”のキタマクラに邪魔されたものの、返す刀で船中1匹目のカワハギを掛けたのは内房の名手・鶴岡克則さん。この後も底を切って魚を誘い上げながら、アタリが無ければ仕掛けを降ろして様子を見るという組み立ての釣りで数を伸ばした。前評判通りアタリは多く、釣れるカワハギはキモ(肝臓)の発達した良型から20cm弱のアベレージサイズ、“ワッペン”と呼ばれる木の葉大の当歳魚と様々で、今シーズンのワキの良さ(新生魚の増加)が見て取れる。特筆なのは小振りなカワハギが釣れた時は手早く海へ返すという不文律の浸透で、個々の釣り師のこうした習慣が、豊かなフィールドを培っていることも覚えて置きたい。
美味しい“ゲストフィッシュ”たち
カワハギも“好釣”だが、さらに元気良く釣れて来る“ゲストフィッシュ”たち。確かにカワハギは美味しいのだが、それ以外の魚の味が劣るわけではないので紹介しよう。この船がこの魚の専門船だったらタイトルに“記録的大爆釣!”の見出しが躍ることになるトラギス。本来キスよりハゼに近い魚なのだが、近年じわじわ人気向上の秘密はその味覚にある。シロギスより好む人もいる天ぷらや、大型の個体は皮目を炙った刺し身もお試し頂きたい。キュウセンやササノハベラ等のベラ類は、生きている内に血抜きをすることで美味しく食べられる。氷水の中でウロコを落とすとヌメリも同時に取れてお薦め。煮付けが定番だが、素揚げも好まれる。そして浅場の根魚としてお馴染みのカサゴは、煮付けや唐揚げは勿論、アクアパッツァには最適の食材。一日釣りをしているとカワハギの何倍も釣れて来る美味しい“ゲストフィッシュ”たち。美味しく食べればこの釣りが更に楽しくなること請け合いだ。
船長に訊くカワハギ釣りのコツ
今シーズンのカワハギについて小滝俊之船長に訊いた。「去年、一昨年は奮わなかったんですが、今年は数が出てきてますね。まだ水温が高くて22度あるんで、これが下がって魚(群れ)が固まってくると面白いんじゃないかな」と楽しみな展望。これから来る方々へのアドバイスを尋ねると「餌の盗られが早いので、餌を確認することですね。餌見て、どのスピードで餌盗ってるかで誘い方を変えていく釣りです。餌の無い状態で釣りしてる方が結構居ますから」とのこと。タイムロスを減らすためにも、マメに仕掛けを取り込んで餌の状態を確認することが上達の近道となるそうだ。まだこの時期は釣れる水深も概ね15m以浅でアタリも取りやすく、仕掛けの上げ下げも億劫にはならないため、カワハギ入門にはまさにベストシーズン。名手と乗り合わせることの多い『宝生丸』では、エキスパートの釣りを見ながら自分の釣りをチェック出来ることも大きな手がかりとなるだろう。
【動画】シーズン到来!カワハギ釣り
今期有望、最盛期はこれから!
「今やっと釣れてきてます」と船長も嬉しそうなこの日の竿頭は鶴岡さんの30匹。シケ後の10月11日には釣果41匹をマークしたことも書き加えて置こう。20cm以上の個体には立派なキモ(肝臓)が詰まっているので、肝醤油で頂く刺し身や肝和えは極上の味覚。今期は数釣りも大型狙いも楽しみな内房・勝山沖のカワハギ。防寒着いらずで餌付けの手もかじかまない今こそ、腕利きのベテランには勿論、これからカワハギにチャレンジしてみたいビギナーの方々にも強くお薦めしたい。
今回利用した釣り船
出船データ
集合時間:午前5時30分(変動あり、予約時に要確認)
出船時間:午前6時
乗合船料金:8,500円(氷付き/餌別)
※HP割引き1,000円/女性・小中学生割引あり
餌:1,000円(1パック)
この記事を書いたライター
6歳から釣りに親しみ、海・川・釣堀・湖のルアー・フライ・餌釣りに節操なくのめり込む釣り好き。2019年JGFA沖釣りサーキット・総合優勝/2010年JGFAオールジャパンゲームフィッシングコンテスト・マダイの部・優勝(10.2kg)…他