2021年02月01日公開
巷の「鬼滅の刃」ブームを知ってか知らずか、東京湾の太刀魚(タチウオ)も連日“好釣”が続いている。しかも釣れるのは脂の乗った良型揃いと聴いたら、これはもう乗るしかない。防寒対策とコロナ感染予防対策を重ねに重ね、金沢八景の老舗船宿『弁天屋』へと馳せ参じた。
アクセス良好、電車釣行派にもお勧め!
『弁天屋』が店を構えるのは、京浜急行・金沢八景駅から徒歩3、4分「瀬戸神社前」交差点のすぐ近く。このアクセスの良さは電車釣行派にも嬉しい。駐車場は船着場の対岸、瀬戸橋を渡ってすぐの電器店脇を入ると船宿スタッフが駐車スペースを案内してくれる。到着したらまず船縁に竿を挿すなどして釣り座を確保。各船、操舵室付近に対象魚が書かれた看板が掲出されているので間違いなきよう。店内至るところに消毒液のポンプがあるので手指の消毒をして、受け付けはカウンターで名簿の記入と乗船料の支払い、乗船札を受け取る。仕掛けなどもここで購入出来る。貸し竿は勿論、救命胴衣や長靴にクーラーまでレンタルがあるので、これを利用する場合もここで確認を。道具を運んだりウェアを着込むのはその後でも大丈夫。店入口付近の冷凍庫から氷を受け取り、船に乗り込む。釣り座で船長が乗船札を回収するので、どこに仕舞ったか分からなくならないよう注意しよう。かくして定刻の午前7時15分「第八弁天丸」は滞りなく出船した。
有名船宿の船が大津沖に全集中!
穏やかな海を走ること30分弱。大津沖・水深70mの釣り場に到着。洋上に出る時と釣り場周辺で、仕掛けやオモリ、餌付けのアドバイスや釣り方の要点が船長からアナウンスされるので聴き逃さないよう注意を。「ハイ、どーぞ。65から50m!」の合図で釣り開始。この数字は魚群探知機に映るタチウオの反応の水深で、この場合“基本的には”65mまで仕掛けを沈めて、シャクリながら水深50mまでの15mを探る釣りとなる。一流し目からアタリはあるものの、巻き上げ中にバレたり、ハリスを切られる場面が散見される中、船中1匹目の魚を取り込んだのは左舷トモ(船尾)から2番目の山秀さん(北区)。3/0の太軸針で良型の上顎を射貫いた。やがて潮も落ち着く頃、各釣り師のシャクリもテンポが揃い始め、投入毎にアタリが出たり、ダブルヒットも珍しくなくなった。しかも押し並べて型が良く、小振りに見える個体でも手を当てて見れば“指4本”サイズあるから驚きだ。魚影の濃さと魚の活性は文句ナシ。刻一刻と変化する「アタる水深」と「シャクリのパターン」を捜しながら、釣果は手が合う釣り師から着実に伸びて行った。
胴の間(操舵席付近)は上達への特等席!
『弁天屋』では、流行りの「テンヤ」も、従来の「テンビン仕掛け」のどちらも楽しめるが、この日は全員がテンビン仕掛けで、1本バリと2本バリはおよそ半々。今期のタチウオをやり込んでいる人と、初めてないし久々な人も半々くらい。船長が個々の釣り方を見てアドバイスをくれるので、ビギナーは操舵席付近の釣り座を選んで、餌付けや取り込み方など分からないことは質問するのが得策だろう。実力が伸び悩んでいる上・中級者も、探るタナやシャクリ方など船長に相談してみれば、目からウロコの答えが得られるかも知れない。シャクリ疲れて置き竿にするくらいなら、餌を取りに行くついでに日頃の疑問をぶつけてみてはいかがだろうか。
船長に訊くタチウオ釣りのコツ
本田和芳船長にタチウオ釣りのコツを訊いた。「釣れなくなると道具を止めたがる人が増えるけど、止めないのが一番だね。アタリが出ても、そのままスッ、スッと、どんどんどんどん、上へ上へと上げて。止めちゃうとアタリを出せなくなっちゃう。だから常に攻め、常にシャクる。それが一番」とのこと。更に「餌付けは丁寧に。中心を縫って、真っ直ぐに。アタリがあって掛からなかったら、直ぐに仕掛けを上げてキレイな餌を付ける、ってのが秘訣ですよ」と船長。実にこの『弁天屋』で配られる餌、非常に美しい均等な厚みで造られたサバの短冊切りで、7枚くらいが1皿ずつ配られ、無くなったら操舵席へ取りに行くシステムになっている。この腹側(白い方)を真っ直ぐに切り落とすのが船長のお薦めで、まずは切れ味の良いハサミを持ち込むことと、詳しいことは船上で船長に確認頂きたい。
【動画】ヤイバに気をつけろ!タチウオ釣り
型良く20匹も釣ればクーラーは満タン!
大津~走水沖・水深70m前後の40~65mを攻略したこの日。竿頭は紅一点の坂野さん(横浜市)。釣果は108cmを頭に22匹と、数字だけ見ると大人しめだが、“指4本”以上の良型揃いで35ℓのクーラーからこぼれる程。また、この日は出なかったが120cmを超すような大物も取材日前後で上がっており、竿頭56本の大釣果も叩き出している。どうやら船長曰く「群れから離れた食いの良い魚」と言うのがキーワードとなりそうだ。体長が1mを超えると釣り味も食味も別格となる東京湾のタチウオ。定番の“刺し身”や“塩焼き”“ムニエル”は勿論、この時期脂の乗った個体は“蒲焼き”や“しゃぶしゃぶ”も絶品。また、この日2番手・元料理人の吴さん(口に天/読み:ゴ)のお薦めは“天ぷら”と、熟成させて“炙り刺し”だとか。『弁天屋』では感染予防対策として乗船人数に制限を設け完全予約制となっているので、釣行日が決まったらすぐに予約を入れて体調を整え、当日は広々とした釣り座でゲーム性の高いタチウオ釣りを心置きなく満喫して頂きたい。
今回利用した釣り船
出船データ
出船時間:7時15分
料金:9,000円(餌・氷付き)
駐車場代:500円(1台3人乗り合わせで無料)
※各種レンタル・割引きあり、詳細は船宿確認
この記事を書いたライター
6歳から釣りに親しみ、海・川・釣堀・湖のルアー・フライ・餌釣りに節操なくのめり込む釣り好き。2019年JGFA沖釣りサーキット・総合優勝/2010年JGFAオールジャパンゲームフィッシングコンテスト・マダイの部・優勝(10.2kg)…他